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2019年9月 8日 (日)

自民党への公取委説明の報道(芸能界と独禁法)

 当ブログでも何度か取り上げてきた、芸能事務所と芸能人との独占禁止法の問題ですが、先日(8月27日)、「どういったケースが独占禁止法上問題となり得るか、公正取引委員会が具体例をまとめた。公取委が芸能界に特化してこのような見解を示すのは初めて・・」(朝日新聞)などと、マスコミで報道がありました。

 これは、公正取引委員会が、同日に自民党競争政策調査会に説明したことについての報道なのですが、当日配布資料は公表されていません。

 ただ、実際には、特に新しいことを説明したものではなく、基本的には、芸能界やスポーツ界を含めたフリーランスの契約関係について検討された、昨年2月の公正取引委員会「人材と競争政策に関する検討会」報告書の内容やその後の取り組みなどについて自民党に対して説明をしたということのようで、先日、公正取引委員会近畿中国四国事務所の方々とお話をした機会でも、そのようなニュアンスだとお聞きしました。つまり、上記の朝日の記事でいうと、新しいのは「芸能界に特化して」見解を示した、のが初めてということですね。

 この直後の本年9月4日の公正取引委員会事務総長定例記者会見においても、この問題については、事務総長のほうからは特に触れられず(「デジタル・プラットフォーマーと個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」のパブコメと、予算概算要求の2点でした。)、リクナビ問題が中心となった記者の質問の中で、「芸能事務所と所属タレントとの関係で,自民党の競争政策調査会で出された指針を今後どう徹底されていきたいか」という質問が出ました。

 これに対して、事務総長は、「・・人材分野に関して競争政策上の考え方というのを御説明いたしました。その際に、そのベースとなりましたのは、それより前に私どもが報告をしていただいております人材と競争政策に関する検討会や、それ以降の私どもの知見を踏まえた内容を調査会に報告いたしております。その際に、昨今、芸能分野について、人材と競争政策に関わる話が問題となっておりますので、芸能人と所属事務所といいますか、そういう契約相手方との間の関係について敷衍した考え方を説明いたしております。」、「今後につきましては、芸能関係だけでなく、スポーツ関係ですとか、更に広くフリーランスとして働いておられる方々との間の取引関係というのは、私ども、競争政策上の問題として考えなければいけない点だというふうに関心を持っておりますので、それぞれの分野につきましては、まず、独占禁止法上、あるいは競争政策上の観点から、色々な問題なり、注意をしていかなければいけない点があるんだということを理解していただくよう、今申し上げた様々な分野の方々に私どもの考え方というのを御説明して、御理解していただき、更に、できるものであれば、自主的な改善を進めていただくということが望ましいというふうに考えております。」という答弁をしています。

 この問題についての当ブログ過去記事については、下記の記事とそこからのリンクをたどっていただければ、と思います。この問題に興味のある方、詳しく知りたい方はご参考まで。

 → 「元SMAPメンバーの出演への圧力行為についての公取委の注意(独禁法)」 (2019/7/17)

 


2018年6月 4日 (月)

広瀬香美の独立と芸名使用継続について

 歌手の広瀬香美さんの事務所独立と芸名の使用禁止のニュースが話題になっているようです。

 この問題について、の芸名禁止契約条項について、この週末、いくつかの記事の中の弁護士コメントも見ましたが、間違っているとは言わないまでも、ちょっと粗っぽいな、と感じました(元コメントの問題ではなく、記者の側のまとめ方の問題かもしれませんが)。

 それと、今回の禁止条項はかなり古いものであり、効力がない、という解釈について、わざわざ独占禁止法を持ってこなくても、という感じもします(ただし、実際の具体的な条項の内容や経緯などはニュースの範囲内でしかわかりませんので、それを前提として)。また一方で、独占禁止法「不公正な取引方法」に違反する契約条項が、民事法上、当然に無効になるかといえば、そうではありません。

 これについては、既に壇俊光弁護士がブログに書かれているので、ほぼ同意見、ということで省略します(手抜き)。

 → 「独立の神様」 (壇弁護士の事務室)

 ここでも取り上げられている公正取引委員会CPRC「人材と競争政策に関する検討会」報告書については、当ブログで何度も取り上げましたので、詳細を知りたい方はこちらをご参照ください。

 → 「芸能プロダクションと芸能人との契約について公取委が調査との報道」
                             (2017/7/8)

 → 芸能プロ契約問題と「人材と競争政策に関する検討会」(公取委)
                             (2017/7/13)

 → 第5回「人材と競争政策に関する検討会」にて報告書案を討議
                             (2018/1/11)

 → 芸能界の契約実態についてのヒアリング・アンケート結果(公取委)
                             (2018/2/20)

2017年6月13日 (火)

美容室などを対象とした民事調停一斉申立(JASRAC)

 日本音楽著作権協会(JASRAC)が、公式サイトで、本日、BGMを利用する美容室などの店舗に対して全国一斉に法的措置(簡易裁判所への民事調停申立)を行ったことを公表しています。

 これは最近話題になった音楽教室から使用料を徴収する方針の件とは別の問題です。

 「BGMを利用していながら、著作権の手続きをしていない美容室など」に対して調停申立を行ったとのことですので、おそらくは、CDやダウンロードした音源を営業時にBGMとして顧客向けに流していたのではないかと思われます。調停の具体的内容は記載されていませんが、過去の使用料相当分の支払いと今後の契約締結でしょうね。調停や裁判にはなりませんでしたが、JASRACからこのような要求が来た、という相談は何度か受けたことがあります。

 本日の公表によれば、今回の一斉調停申立は、178事業者、352店舗に対して行われたとのことであり、そのうち163事業者、205店舗が美容室ということですので、美容室を主なターゲットにしたもののようです。

 JASRACは、昨年6月にも美容室を主な対象としてに一斉調停申立を行っています(プレスリリース)。このときは、187事業者、212店舗に対する調停申立で、そのうち132事業者、151店舗が美容室とのことです。

 この2016年6月のプレスリリースには、「BGMを流す施設の著作権管理を開始した14年前(2002年)は、有線音楽放送などの業務用BGMの利用が主流であり、著作権の手続きはそれらを提供している事業者が施設に代わって行っていたことから、ほとんどの施設が個別にJASRACに手続きをする必要はありませんでした。近年、BGMの音源が多様化(市販のCD、携帯音楽プレーヤー、パソコン、インターネットラジオ等)しており、こうしたBGMの利用については、施設ごとに著作権の手続きを行っていただく必要があります。」との記載がありますね。

 一昨年にも一斉申立を行っていて、このときは171事業者、258施設(美容室、理容店、アパレル店、飲食店他)が対象になっており(プレスリリース)、このような一斉申立は今回が3回目とのことです。

 この使用料請求は、現在の著作権法においては、当然にできるものと考えられますので、理美容室や飲食店などの経営者の方は気をつけないと、遡って多額の請求をされる可能性がありますので御注意ください。また、今後のBGM音楽使用については著作権法の専門家に相談されたほうがよいかと思います。著作権に関するネット上の情報は、法律的にはかなり間違ったものが出回っていますので。

2016年3月 8日 (火)

TPP関連法案の国会提出と著作権侵害罪の非親告罪化の対象

 本日、「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案」いわゆるTPP関連法案が閣議決定され、国会に提出されました。これには、農林水産品の輸入に関する法律や独占禁止法、特許法、著作権法などの改正が含まれています。

 この法律案や概要等の資料については、内閣官房のサイトに公表されています。

  → 内閣官房サイト第190回国会提出法案

 この内、著作権法に関しては、保護期間の延長などが内容となっているのですが、著作権法違反罪について、従前は親告罪(被害者=著作権者の告訴がないと起訴できない。)となっていたのを非親告罪化する改正も含まれています。ただし、漫画同人誌などでの二次創作、パロディまでが、告訴なしに捜査当局に立件されることに対しては強い反対があったため、非親告罪化する行為の対象を限定しています。

 なお、この非親告罪化問題については、当ブログでも過去に書いています。

 → TPPによる著作権非親告罪化と二次創作(2015/11/5)

親告罪規定である著作権法第123条についての今回の改正法案を見ると、従前の第1項(親告罪規定)の後に、第2項、第3項を加えて(現在の第2項は新第4項に移る。)、新第2項の一号、二号に記載された有償著作物等(新第3項に定義)に関する行為に限り、親告罪規定(第123条1項)を適用しない(非親告罪化)とする形になっています。新第2項、新第3項については、後に貼り付けておきます。

 内閣官房サイトの概要の図表は次のようになっています。

Photo_2

 

 つまり、非親告罪となるのは、「有償著作物等」が対象とされ、それは有償で著作権法上適法に公衆に提供されたり提示されたりしているものです(新第3項)。

 そして、当該行為が「対価として利益を受ける目的」又は「著作権者等の利益を害する目的」で行われる場合で、しかも、「有償著作物等」を原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡したりや原作のままネット送信したりする行為(新第2項第2号)と、そのために複製する行為(新第2項第3号)のみが対象で、かつ、諸般の事情に照らして著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限定されています。

 したがって、コミケなどで売られているパロディや二次創作、個人的な少部数の販売などは原則として除かれることとなります。したがって、非親告罪の対象となる行為は、海賊版の販売で利益を得る場合などが典型的なものになります。

 ただし、もちろん、親告罪のままでも、従前通り、著作権法上、違法な行為であることには間違いなく、権利者らから告訴されたり、民事上の損害賠償等の請求がなされるリスクはありますので、その点はご注意ください。


(改正法案における著作権法第123条・・・第1項、第4項は略)

2 前項の規定は、次に掲げる行為の対価として次の各号のいずれかに掲げる行為を行うことにより犯した第119条第1項の罪については、適用しない。

一 有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。次号において同じ。)を行うこと(当該有償著作物等の種類及び用途、当該譲渡の部数、当該譲渡又は公衆送信の態様その他の事情に照らして、当該有償著作物等の提供又は提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限る。)。

二 有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信を行うために、当該有償著作物等を複製すること(当該有償著作物等の種類及び用途、当該複製の部数及び態様その他の事情に照らして、当該有償著作物等の提供又は提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限る。)。

3 前項に規定する有償著作物等とは、著作物又は実演等(著作権、出版権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権、出版権又は著作隣接権を侵害するもの(国外で行われた提供又は提示にあつては、国内で行われたとしたならばこれらの権利の侵害となるべきもの)を除く。)をいう。

2013年2月 9日 (土)

きたやまおさむ講演会行ってきました。

 今日は、きたやまおさむ講演会(主催:NPO 国際ビフレンダーズ 大阪自殺防止協会)に行ってきました。タイトルは「人生物語の紡ぎ方 潔く生きないように」でした。

 きたやまおさむ(北山修)さんといえば、言わずとしれたフォーククルセダーズのメンバーで、「戦争を知らない子供たち」「あの素晴らしい愛をもう一度」「花嫁」「さらば恋人」などのヒット曲の作詞でも知られるミュージシャンですが、もちろん、精神科医、精神分析家としても最近退官されるまで九州大学教授を務めておられた大家でもあります。

 私としては、小学校低学年時代の「帰って来たヨッパライ」以降、高石ともやなどと並んで、関西フォークの中心であり、フォークル解散以後、自切俳人(じきるはいど)時代を含めて、高校、大学時代まで、ずっと、その音楽やラジオパーソナリティとしての活動を追いかけてきた方です。もちろん、京都の宵々山コンサートなどでのライブも何度か拝見してきました。

 今日の講演でも、ミュージシャン時代の話を含めて軽妙なお話で会場を沸かせながら、日本人がこれまで潔い人生を求めすぎてきたのではないか、ダラダラした人生も肯定されるべきではないか、との話を、夕鶴などの異類婚姻譚や古事記などの説話を材料としてお話され、考えさせられました。加藤和彦が、かっこよく去ってしまったことについても、そうでなくて良かったのではないのか、というくだりは、北山氏の痛恨の思いから来るところなのでしょう。

 また、精神分析家としてクライアントとのパーソナルコミュニケーションのお話もされていましたが、作詞家の仕事とも通ずるというお話や、クライアントとの通訳として1人ひとりで違った辞書を持つ必要があるというお話は、我々弁護士の仕事とも相通ずるもので、面白く聴いていました。奥さんとの会話も何度か入れておられましたが、私も同感でした(いろいろ支障があるので詳細は省きます。)

 深層心理のお話も本題の中でされていました。それに関しては、一般向け新書として、最近このような本を出されています。

 この本は、半年前に、タイトルを見て、フォークルセダーズ時代などについてエッセイ的な軽く読める新書かと思って、旅行前に買ったものの、読み出すと結構重い内容で、途中で止まったままになっていました。
 今日もお話されていましたが、借金して300枚作ったレコードがほとんど売れなかったのが、突然数ヶ月で300万枚売れてしまったという事件が自身に与えた影響あたりから書き起こされているものですので、今回の講演をきっかけに、ちゃんと読み直そうと思っています。

2011年6月18日 (土)

「エンターテインメント法」(金井重彦・龍村全、編著)読んでます。

 著作権を勉強していても、抽象的な議論だけではよくわからないことがあったり、現実の著作権ビジネスなどがどのように行われているのか知らない部分も多いという反省から、先日出版された「エンターテインメント法」(金井重彦・龍村全 編著、学陽書房)を購入しました。600頁近い内容なので、全部を通し読みはできてませんが、最初の音楽関係のところだけでも充分に面白い。なかなか外部からはわからない業界慣行(配分の相場とか)についても触れられています。ちょっと値段は張りますが、内容的にも分量的にも値打ちはあると思いました。

 本書は、著作権だけを対象にしているわけではありませんが、著作権の勉強に限っても、現実の社会での立体的な理解に大変役立つと思います。著作権法の教科書には、具体的な当事者(音楽でいえば、作詞者、作曲者、歌手、バックミュージシャン、編曲者、プロデューサー、音楽出版社、レコード会社、JASRACなどなどなど。)の間の現場での権利関係や慣行などについてはほとんど触れていないですからね。

 ジャンル的には、「音楽」「映画・ビデオ」「出版」「ゲームソフト」「演劇・舞台芸術」「グラフィックアート・写真」「プロスポーツ」「テレビCM」「放送」「インターネット配信」「商品化」「パブリシティ権」と、今の著作権関連ビジネスを網羅してます。

2010年8月13日 (金)

携帯音楽プレーヤー「iPod nano(第1世代)」のバッテリー過熱事故

 お盆ですね。私自身はあまり関係なく仕事してます。

 さて、今日(8/13)のニュースで、今朝、東急電鉄田園都市線を走行中の電車内で、携帯音楽プレーヤーの「iPod」(米アップル社製)から煙が出るという騒ぎがあったということです。幸い大したことはなかったようですが、社内に焦げ臭いにおいが立ち込めたようですね。

 現時点での報道では、この「iPod」の型式などは不明のようなので、以下の問題と直接の関係があるかどうかはわからないのですが、「iPod nano」という商品(第1世代)については、充電中に製品本体が焼損し、使用者が軽傷を負うなどの事故が多数発生しています。

 経済産業省によれば、重大製品事故6件を含む61件の製品事故が報告されているとのことです。
 → 経済産業省サイト 報道発表

 この問題については、7月28日付で、経済産業省が、消費生活用製品安全法に基づいて、アップルジャパン(株)に対して報告の徴収を行っており、同社の報告を経て、8月6日に同社に対して、今後の消費者に対する注意喚起及び再発防止の徹底について指示を行っています。詳細については上記リンク先の各資料をご覧下さい。この指示内容からすれば、アップルジャパン社の自社サイトに情報を出しておかねばならないのですが、あまり判りやすい場所ではありませんですね。
 → アップルサポート
 
「iPod nano (1st generation):バッテリーが過熱する特殊な事例について」

 ここでは、「ごくまれなケースとして 2005 年 9 月から 2006 年 12 月の間に販売された初代 iPod nano バッテリーが過熱を起こし、使用できなくなったり変形したりしていることを確認しました。」とされていますね。バッテリーの交換に応じるようです。この第1世代の商品をお持ちと思われる方は、このアップルのサイトで確認してみて下さい。

 なお、この問題については、消費者庁も、消費者安全法に基づいて、同様の調査、指示を行っています。
 → 消費者庁サイト 消費者事故情報

 なお、経済産業省消費者庁からの「消費者への注意喚起」は、次のようなものです。

「アップルジャパン株式会社が輸入した携帯型音楽プレーヤー iPod nano(第一世代)をお持ちの方は、機器の過熱にご注意ください。バッテリーが実際に過熱したり、バッテリーについて不安をお持ちの方は、アップルサポートに連絡し、バッテリー等の交換手続きを行ってください。」

2010年3月 4日 (木)

iTunes社からの回答書と再度の質問書(消費者庁)

 今、ちょっと試験的に、メールによる法律相談を始めようかと思い立って準備をしています。週末には試験運用を開始するつもりです。たぶん、このブログのサイドバーに申込窓口を付けることになると思います。

 さて、2月17日の当ブログ記事に、消費者庁iTunes社に照会文書を出したというのを書きました。詳しい内容は、そちらを見ていただくとして・・・
 → 「音楽情報サイトiTunes社に対する文書照会(消費者庁)」
                            (2/17)

 本日、iTunes社からの回答(2日付)を、消費者庁が公表しています。
 → 消費者庁サイト
 「照会事項に対する音楽情報サイト運営事業者からの回答について」

                            (PDF)

 消費者庁の照会事項に対しての回答は、概略、後記のようなものです(詳しくは上記リンクの回答書参照)。しかし、消費者庁は、この回答書に対して、さらに補足的な質問書面を本日付にて送付しています。「消費者が安心して安全に音楽情報サイトを利用することができる環境を整えるため、いくつかの点についてさらに詳細な情報が必要であると思われますので・・・」ということです。補足的といいながら、今回の質問事項のほうが長いので省略しますが、詳しくは、以下のリンクの消費者庁の公表資料をご覧ください。個人的には、回答から2日間の速攻で消費者庁が再質問文書を出したという点に大変興味が引かれています。
 → 消費者庁サイト
   「音楽情報サイト運営事業者に対する補足的な質問について」

                          
(PDF)

【3/2付 ITunes社から消費者庁への回答要旨】

  1. iTunes Storeでは、心当たりのない利用料金が請求された事例をどの程度把握しているか、その詳細は?

    (回答)利用者のプライバシーの問題等でコメントは差し控える。
        自社からの情報漏洩を示す証拠は認められない。
  2. iTunes Storeでは、その原因は何と考えているか、原因究明の方針、予定は?

    (回答)考えられるのは、①クレジットカード詐欺、②メールアカ
        ウント流出、などだが、iTunesに特有の問題ではない。し
        かし、厳重なモニター体制は継続する。
  3. iTunes Storeでは、ID・パスワード情報、クレジット情報等の保護にどのような努力が払われているか?

    (回答) 略
  4. 心当たりのない利用料金請求に、どのような対応をしているのか?
     (1)相談窓口等のサポート
         (回答) 略
     (2)ID使用停止等の措置は迅速に講じられているか?
         (回答)不正が強く疑われる場合はアカウントを無効
             にするなどしている。
     (3)クレジット会社、利用者に対し、利用状況の確認等に必要な情
        報は提供されているか?
         (回答) 略
     (4)利用事実がない場合、請求を中止するなどの措置が講じられる
        余地はあるか?
         (回答)返金に応じている。
  5. iTunes Store利用者からの電子メールによる質問等の回答にどの程度の時間がかかっているか?電子メール以外に電話等の受付窓口を設ける予定はないか?
    (回答)利用者からの質問には迅速に返答しており、自社の顧客満
        足度は業界最高水準。メールによるサポートが最も効果的
        かつ効率的な方法である。

2010年2月22日 (月)

音楽情報サイト問題について続報(消費者庁)

 昨日あたりから昼間は暖かいですね。私は、昨日の日曜は泉州国際市民マラソンに参加しました。数年前に一度出たフルマラソンのレースですが、今回はちょっと暖かすぎるくらいの良いコンディションでした。無事に制限時間内に完走することができました。心配していたのですが、フルマラソンの連続完走記録を何とか継続することができました。

 さて、先日ご紹介しました消費者庁iTunes社に対する照会文書に関連して、消費者庁は、今月19日、社団法人日本クレジット協会に対して以下のような文書を出しています。この問題については、消費者庁は積極的に文書発出、情報公開を続けていますね。
 → 消費者庁サイト
  「音楽情報サイトの利用を巡る消費者相談への対応状況の照会について」

 ここで、消費者庁がクレジット協会に対して、クレジットカード会社各社に確認したうえで回答を求めたのは、以下のような事項です。

  1. 音楽情報サイトの利用者において、心当たりのない利用料金の請求を受けたといった事例が発生しているという実態を把握しているか。
  2. 同種事例の発生、拡大を防止するため、音楽情報サイト運営事業者に対して、原因究明を求めたり、措置を講ずるよう働きかけたりなどしたことがあれば、事業者別に教えてほしい。
  3. これらの事例の、月別、請求金額、内容。
  4. 発生原因。
  5. 対応策。
  6. 発生防止のため、どのような活動が有益、必要であるか。

 しかし、いまだにiTunes社のサイトには、この問題についての発表ないですね。

2010年2月17日 (水)

音楽情報サイトiTunes社に対する文書照会(消費者庁)

 今朝は國井先生の告別式に出席しました。哀しい場ではありますが、何人かの懐かしい顔にも会うことができました。

 さて、本日、消費者庁が、iTunes社に対して照会書面を出したことを公表しています。
 実は、2月12日に、消費者庁は、「インターネットをめぐる消費者トラブルについて」の第4弾として、「音楽情報サイトの利用者が心当たりのない利用代金の請求を受ける事例の発生について」という広報を行っています。
 ここでは、会社名は出さずに、「インターネットを介して、有料で音楽を配信するサービスを提供する音楽情報サイトの利用者が心当たりのない代金の請求を受けた事例に関する情報が、消費者庁の消費者情報ダイヤルや各地の消費生活センターに寄せられています。」「これらの事例の多くは、利用者がクレジットカードの利用履歴や請求書の明細等を確認した際、心当たりのないクレジットカードの利用履歴等が記載されていることに気付いたというもので、中には高額の代金が請求された事例も含まれています。」として、情報提供、注意喚起が行われています。
 → 消費者庁
 「インターネットをめぐる消費者トラブルについて」(#4「音楽情報サイト」)

 そして、今日は、この問題に関連して、iTunes社に対して、消費者庁消費者情報課長名で、照会文書を発したことを公表したものです。
 → 消費者庁 「音楽情報サイト運営事業者に対する照会について」

 いわば公開質問状ですが、対象会社を特定して、この段階で迅速に公表しているというのは、それだけこの問題の被害について、消費者庁が深刻に考えているからだろうと思われます。今後のiTunes社の回答、対応が注目されるところですが、今見たところでは、iTunes社のサイト上でのニュースリリースはありませんでした。
 今回の消費者庁による照会事項の概要は以下の通りです。

  1. iTunes Storeでは、心当たりのない利用料金が請求された事例をどの程度把握しているか、その詳細は?
  2. iTunes Storeでは、その原因は何と考えているか、原因究明の方針、予定は?
  3. iTunes Storeでは、ID・パスワード情報、クレジット情報等の保護にどのような努力が払われているか?
  4. 心当たりのない利用料金請求に、どのような対応をしているのか?
     (1)相談窓口等のサポート
     (2)ID使用停止等の措置は迅速に講じられているか?
     (3)クレジット会社、利用者に対し、利用状況の確認等に必要な情
        報は提供されているか?
     (4)利用事実がない場合、請求を中止するなどの措置が講じられる
        余地はあるか?
  5. iTunes Store利用者からの電子メールによる質問等の回答にどの程度の時間がかかっているか?電子メール以外に電話等の受付窓口を設ける予定はないか?

【追記】(2/22)
 追加情報を別記事にしました。
 → 「音楽情報サイト問題について続報(消費者庁)」(2/22)

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