フォト

弁護士会関係リンク

無料ブログはココログ

2023年7月 7日 (金)

「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.2」(中里和伸弁護士著・LABO)

 ブログ更新が昨年9月以降できてなくて申し訳ございません。

 新型コロナ禍も落ち着いてきたようですが、沖縄県などでも感染者が激増しているようで、日本中でこでも、まだまだ油断もできませんので、皆さんご自愛ください。

  幸いにして、私はこれまで新型コロナに罹患しておりません。


 といういことで、久しぶりに、新刊書のご紹介です。

 「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.2」(中里和伸弁護士著・LABO)

です。

 以前、当ブログ(2020519日)で紹介した「『判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.1』(中里和伸弁護士著)」の続編で、最新の関連裁判例を新規に掲載しておられます。

 この著者の書籍については、以下のように当ブログで紹介しておりますが、今回の新刊書も我々の実務に大変役立つものだと思います。

  → 「書籍の紹介:「判例による不貞慰謝料請求の実務」(中里和伸)」 2015/8/5)

  → 「「判例による不貞慰謝料請求の実務〔主張・立証編〕」(LABO刊)」 2017/3/3)

  → 「判例による離婚原因の実務」中里和伸著(LABO)」2022/1/ 8)

 

 今回も、編集者様より、ご恵贈いただきました。ありがとうございます

2022年2月27日 (日)

「ピークパフォーマンス」(野上麻理著)のご紹介

 更新をさぼっている内に、新型コロナオミクロン株の感染は一気に増加し、また、最近はウクライナ情勢ということで、あまり明るくはないですね。それでも季節の移り変わりと同様に、暖かい世界になってほしいと思います。


 さて、ちょっとタイミングが遅くなってしまったのですが、パソコン通信時代以来の知人である、野上麻理さんが、昨年出版された書籍のご紹介です。

「ピークパフォーマンス ー 効率と生産性を高め、成果を出し続ける方法」(野上麻理著、WAVE出版)

 野上さんとは、パソコン通信NIFTYーServeの山歩きなど、その後、マラソン大会などに仲間たちと御一緒に参加するなどしていました(そのあたりは、59ページあたりに少し紹介されています)。ただし、ランのほうは、どんそん速くなられて、私が全く勝負にならない世界に行かれたうえに、最近はトライアスリートにまでなっておられます。
 ビジネス界でのご活躍については、ググってください(手抜き)。
 さて、本の話。最初にタイトルを聞いたときは、よくあるビジネス本のハウツー物かなと思いました(失礼!)。しかし、ご自分の経験を踏まえて、ビジネスパーソンの生産性をどう上げるのか、について具体的に紹介されているうえ、大変読みやすく書かれています。
私なんぞには、もう遅いかもしれませんが、働く若い方々には広く参考になるところが多いと思います。

2022年1月 8日 (土)

「判例による離婚原因の実務」中里和伸著(LABO)」

新年明けましておめでとうございます。
 事務所が3階から4階に移転したばかりで、いまだに片付け切れておりませんが、本年もよろしくお願い申し上げます。


 さて、新年最初のブログ記事は、昨年出版されました(奥付によると今年発行ですが)「判例による離婚原因の実務」のご紹介です。離婚原因というのが新年最初にふさわしいかどうかはご判断をまかせるとして。今回もご恵贈賜ったものですし。

 この本は、あの不貞慰謝料シリーズ(?)の中里和伸弁護士が出されたものです。このシリーズの3冊の本については、当ブログで既にご紹介しているところですので、このシリーズに興味がお有りの方はこの記事末尾のリンク先をご覧ください。

 さて、新刊の「判例による離婚原因の実務」ですが、なにしろ分厚い、そして、高い(税抜6600円)。

 しかし、離婚事件というのは世の中に沢山存在し、その内のある程度の数が調停や裁判といった法的な手続に乗るわけで、そこまでに行かなくても交渉案件として、我々弁護士が業務として取り扱うことになるわけです。したがって、離婚の法律や手続に関する実務書はこれまでにもたくさんあったのですが、実際に裁判例になった事案を網羅して整理した本書のようなものはほとんどなかったと言っていいかと思います(これは上記の「不貞慰謝料」についても同じなんですが)。
 ここでいう「離婚原因」というのは、一般的な話としての離婚の原因となった行為というのではなくて、民法上の裁判による離婚(つまり片方が離婚に応じない場合ですね)が、どのような場合に裁判所が認め、あるいは、認めなかったか、という事例の集積です。前著同様に、大変な作業でしょうねぇ。

 本書は全体で600ページ強の分量の内、半分以上の300数十ページが後半の「離婚原因裁判例一覧表」で、占められていて、これは法律実務家としては必携の書籍と言わざるを得ません。
 もうひとつの特徴としては、裁判による離婚手続において、大きな法的論点である「有責配偶者からの離婚請求の可否」について、かなりの紙幅をさいているところかと思います。これは、要するに、例えば、不貞(浮気)をした側といったような、婚姻を破綻させた原因を作った側(有責配偶者)からの離婚請求が認められるか否かというもので、以前から重要な論点で、私も同様の事件を取り扱ったことがあります。この部分だけでも1冊の本ができたのではないか、と思うくらいです。 

→ 「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.1」(中里和伸弁護士著)」
                              (2020/5/19)

→ 「「判例による不貞慰謝料請求の実務〔主張・立証編〕」(LABO刊)」
                                (2017/3/3)

→ 「書籍の紹介:「判例による不貞慰謝料請求の実務」(中里和伸著)」
                                (2015/8/5)

 

 

2021年8月 2日 (月)

「消費者法ニュース」7月号・消費者法白書

 大阪でも、またまた緊急事態宣言(8月末までの予定)が出されました。

 私自身はモデルナ・ワクチンの2回目接種を済ませたものの、安心できるわけでもなく、早く収まってほしいものです。夜に仕事してると、すぐに夕食難民状態になってしまいます。幸い、事務所近くにはスーパーやコンビニもあるのですが、毎回ではね。


  消費者法実務雑誌の「消費者法ニュース」(№218・2021/7)が届きました。「消費者法ニュース」のWebサイトはこちらなんですが、ブログ執筆時点では、7月号の発行の更新はされてないみたいですね(【追記】更新されました。№216のページ)。

 7月号の恒例は「消費者法白書」で、消費者法の各分野の昨年度の裁判例や動きなどを紹介するものです。

 私も長らく「消費者法白書」の「独占禁止法・景品表示法」の部分を担当してきており、今年も執筆しております。興味のある方はご覧ください。大きな図書館なら置いているところも多いかと思います。

 なお、今号の「特集」は、「特商法・書面交付義務の電子化に反対する」と「若者・未成年者の消費者被害への取組み」と、どちらもタイムリーな内容になっています。




2021年6月 8日 (火)

「悲劇の世界遺産 ダークツーリズムから見た世界」(井出明著 文春新書)

 大阪、関西も、新型コロナ感染者公表数はかなり減ってきました。規制は緩めてほしいですが、どこで緩めるべきか、というのは難しいところですよね。

 さて、知人の金沢大学准教授の井出明先生が、文春新書から新著を出されました。
 「悲劇の世界遺産 ダークツーリズムから見た世界」です。

 井出明先生の新書については、以前、当ブログで、「ダークツーリズム 悲しみの記憶を巡る旅」(幻冬舎文庫)を紹介させていただいたことがあります。

 → 「「ダークツーリズム」(井出明著)を読んで」 (2018/8/4)

 今回は、同じくダークツーリズムの観点から、世界遺産に焦点を当てて一般読者向けに書かれた本になります。

 構成としては、

第1章 世界遺産の本来の趣旨とダークツーリズム
第2章 アウシュビッツとクラクフから考える
第3章 産業遺産の光と影
第4章 ダークツーリズムで巡る島
第5章 潜伏キリシタン関連遺産を観る眼
第6章 復興のデザイン
第7章 コロナ禍で考える世界遺産
付章  カリブの旅

 というものですが、単に世界遺産として登録された各所それぞれをダークツーリズム的に案内するだけではなくて、「世界遺産」のシステムそのものや日本の観光というものに対して、ダークツーリズム的観点から興味深く、いわば多層的な解説になっていて、いろいろと考えさせるものとなっています。その他、アウシュビッツ、軍艦島、ハンセン病、広島長崎、東日本大震災、流刑などなど新書の限られたスペースに多くの情報を展開されているところは、上記の前著と同様に感心するところです。
 特に、第5章の潜伏(隠れ)キリシタンについては、個人的には今までには思ってみなかった切り口から述べられており、大変面白かったですね。また、第7章の新型コロナ禍の現在から見た観光については、観光関連の自治体、事業者の皆さんには参考になるのではないか、と思いました。

 ダークツーリズムという視点にこだわらず、一般の旅行好きの方にとっても、旅行の楽しみ方を一層深めることのできる内容ですので、お勧めです。

 

2021年5月31日 (月)

独占禁止法・下請法関係の書籍2題

 大阪は、医療従事者や飲食業関係者をはじめとして、多くの方々が大変な状況を強いられ続けている緊急事態宣言が明けない状態が続いていますが、ワクチン接種が拡大して、少しでも良い方向に進むことを祈るばかりです。


 さて、独占禁止法など経済法実務がご専門の大江橋法律事務所長澤哲也弁護士から、立て続けに、編著書のご恵贈を賜りました。

Dsc_4630-2 

 ひとつが、「Q&Aでわかる 業種別 下請法の実務」(学陽書房)、もうひとつが、「類型別 独禁民事訴訟の実務」(有斐閣)です。

 「Q&Aでわかる 業種別 下請法の実務」のほうは、最初に、独占禁止法の特別法である下請法の全体像(総論)の説明がなされ、その後に、繊維産業、金属産業から、アニメーション産業、広告産業までの17業種に分けて、それぞれの業種の実態に即してQ&A方式で解説されています。

 「類型別 独禁民事訴訟の実務」は、第1章において、独禁法に基づく差止請求(24条訴訟)、民法709条に基づく損害賠償請求、独禁法に基づく損害賠償請求(25条訴訟)、不当利得返還請求、という訴訟類型の解説があり、続いて、反競争的行為の私法上の効力、独禁民事訴訟特有の証拠収集方法についてと訴訟上重要な点について書き進められています。第2章以降は、独禁法違反行為類型に分けて、違反の要件や民事上の請求についての解説や裁判例の紹介がなされています。

 「下請法の実務」は、法律専門家以外にも、各業界の経営者など関係者(下請事業者に限らず、親事業者側も)が自分の事業分野における下請法関係の問題を理解し、活用するために理解しやすいものとなっています。一方、「独禁民事訴訟の実務」は、独占禁止法関係の訴訟を行う弁護士(これまで、独占禁止法事件をあまり担当したことのない弁護士は特に)など法律実務家向けの書籍です。

 昔は、独占禁止法下請法の書籍というと、理論的な体系書か公正取引委員会の運用状況に関するものがほとんどでしたが、最近は、こういった実務に直結した、法律実務家や企業の経営者、法務担当者が活用できるものが増えてきたことはありがたいですね。

 私自身も今現在、独占禁止法違反関係の訴訟の真っ最中ですので、ありがたく活用させていただきたいと思います。

2021年4月 2日 (金)

消費税総額表示義務について

 4月1日から、消費税の内税表示、総額表示の義務化となった、というニュースはご承知かと思います。
 ただ、この表現は正確に言うと間違いで、消費税法で、総額表示が義務化されたのは、17年前の平成16年(2004年)4月からです(現63条)。したがって、今回、義務化されたというのは不正確ですし、今回の義務化が消費税増税の伏線である、などと現政権の陰謀論的な見方は正しくないと思います(もちろん、政府は消費税増税を望んでいると思いますが、それはそれ。)。

消費税法63条(価格の表示)

 事業者(略)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(略)を行う場合(略)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない

 では、なぜ今回、総額表示の義務が問題となっているかというと、消費税の税率が引き上げられた時に、事業者が値札の貼り替えなどの事務負担に考慮して、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」の10条1項において、平成25年(2013年)10月から平成30年(2018年)9月まで、その後令和3年(今年)3月末日まで延長されましたが、猶予期間が設けられていました。もっとも、この猶予期間においても、無条件に外税表示が許されていたわけではなくて、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」(誤認防止措置)を講じることが要件になっていました。しかも、同法10条2項においては、この猶予期間の間であっても、できるだけ速やかに、総額表示するよう努めなければならないと規定していたものです。

 この猶予期間がいよいよ到来して、この4月から総額表示の例外が撤廃されたというわけです。

 この総額表示義務については、罰則などはありません。ただし、外税表示をわかりにくくして、消費者に対して、価格が安いと誤認させるような表示の仕方をすれば、景品表示法上の有利誤認に該当し、措置命令課徴金納付命令などの行政処分となる可能性はあります。
 小売店としては、総額表示への書き換え、貼り換えは面倒だし、それなりのコストがかかる話で大変だとは思いますが、上記の通り、これは以前からわかっていた話です。また、先日からの報道番組などを見ていると、小売商店の人がインタビューで「総額にすると、値上げしたような印象を消費者に与えて、売り上げが下がる」と話されているのを何度か見ました。店としての気持ちは良くわかりますが、もし、総額表示にしたために消費者が買い控えするとすれば、逆に言えば、消費者は、これまでの外税表示によって有利誤認させられていたことを実証したことになってしまいますね。
 総額表示の具体的な表記については、国税庁サイトにガイドラインがあります。

  → 「総額表示」の義務付け(国税庁)

 なお、総額表示義務は、全ての商品、役務について問題となりますが、特に、書籍の総額表示については、以前から出版業界は頭を痛めています。これは、出版物(著作物)については、独占禁止法上本来は禁止されている再販売価格拘束が例外的に許されていることから、出版物そのものに価格が記載(印刷)されていることが一般ですし、出版物は、出版社や書店に在庫がかなりの長期間置かれる性質の商品であることなど、消費税率の引き上げなどへの対応の難しさなど他の一般の商品等とは違う特殊な問題があるからですね。

2021年3月24日 (水)

パズル雑誌の懸賞企画の商品発送遅れについての不当表示(景品表示法)

 消費者庁は、本日、株式会社晋遊舎(秋田県大仙市)に対して、同社の懸賞付きパズル雑誌「特盛!まちがいさがしフレンズ」などの懸賞企画についての表示に関して、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認、有利誤認)であるとして、措置命令を出しました。

 → 消費者庁公表資料

 これは対象雑誌の表紙や誌面において、賞品や賞金、当選者数、応募締め切り日などを表示していて、あたかも、懸賞企画に応募して当せんすれば、応募締切日から相当の期間内に誌面上に表示された数の当せん者に賞品等が提供されるかのように示す表示をしていたところ、実際には、当選者に賞品等を発送したのは、応募締め切り日から8カ月弱~3年10カ月後であったというものです。賞品等は7~8000点ということですね。新聞報道などによれば、社内調査の結果、商品等が送られていないことが発覚した後に発送したようです。

 本件では、この表示を、優良誤認および有利誤認の両方と認定しています。それぞれ対象商品表示を分けて認定していますが、どういう区別をしているかまでは、現時点で確認できてませんので、わかれば、付け加え(あるいは修正)いたします。

 これまでにも、雑誌等で表示されていた懸賞企画において、表示通りに実施されなかったというケース(表示されていた内容を下回る商品提供を行っていたもの)で、景品表示法違反の措置命令が出たものがあります。平成25年8月20日の秋田書店に対する措置命令、平成27年3月13日の竹書房に対する措置命令、平成27年12月8日のアイアに対する措置命令ですが、これらは、有利誤認単独の認定でした。

2021年3月14日 (日)

「大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年」(鴨志田祐美 LABO刊)

 鴨志田祐美弁護士の書かれた「大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年」を発行者のLABOさんからご恵贈いただいたので、早速読みました。大崎事件というのは、1979年に鹿児島県で男性が遺体となって発見され、その身内の数名が殺人、死体遺棄の犯人として逮捕、起訴され、有罪判決を受けて、服役したという事件で、服役した一人で中心人物とされた原口アヤ子さんが、服役後、えん罪であるとして再審の申立を重ねているものです(まだ続いてます。)。この事件の流れについては、本書の冒頭にある「大崎事件の概要」にわかりやすく書かれています。

 刑事裁判の専門家であれば、みな知っている再審事件である大崎事件です。しかし、再審手続とか、えん罪事件とかとなると、かえって、一般の方にはちょっと近寄りがたい印象があるかもしれません。全部で700ページくらいありますし。

 でも、読み始めると単に大崎事件の再審事件の記録というような固い話ではなく、鴨志田弁護士の半生記でもありますし、えん罪の判決がどのように作られ、それを再審手続で覆すことの大変さが平易な言葉で綴られています。

 優秀な厚労省官僚であったときに、虚偽公文書作成などで逮捕起訴され、後に無罪が確定した村木厚子さんが、この本の「推薦の辞」を書いておられ、これはAmazonのサイトで読むことができます。村木さんは、

「およそ700頁という本の分厚さに一瞬たじろいだものの、読み始めると一気に読み終えてしまった。ハラハラ、ドキドキ、そして泣いて、笑って、怒って。読み物としてとにかく面白いのだ。」、「頑なに再審の開始を阻もうとする検察や、再審に対する姿勢が裁判官によってまちまちの裁判所との闘いは、難しいゲームの攻略本のようにも読める。同時に、原口アヤ子と鴨志田祐美の「女の一代記」としても、この二人とともに闘う多くの強く心優しい人たちの人間ドラマとしても読める。」

と書かれていますが、私も全く同感です。

 一度、書店で、本書を手に取られて、最初の数頁の個所、つまり、「はしがき」(一部はAmazonに掲載されてます。)と「大崎事件の概要」を読んでもらうと興味を持たれる人も多いのではないかと思います。それに続く刑事裁判と再審に関する手続用語の基礎知識も一般の人向けにわかりやすく書かれています。はしがきの中で、鴨志田弁護士はこう書いています。

 「弁護士が自ら手がけている事件について書いたものなんて、きっと専門性の高い難解なものだろう、と思われるかもしれません。でも、どうか「食わず嫌い」にならずに読み始めてみてください。ここに書かれているのはすべて実話ですが、「ドラマ」とか「映画」とか「お芝居」と同じように楽しんでいただきたいと思います。」

 この本は、刑事裁判に関わる法律家(弁護士はもちろん、裁判官、検察官を含めてですが)はもちろんのこと、法律、裁判に興味をお持ちの一般の人、特に法律を学んでいる、あるいは、将来学ぼうとする若い人たちに是非読んでいただきたいですね。学生さんには刑事訴訟法の良い勉強にもなりますよ。

2020年9月18日 (金)

「NMRパイプテクタ-」(日本システム企画)についての記事(週刊新潮)

 昨日発売の週刊新潮(2020年9月24日号)に、小さな記事ですが、「自治体が続々採用 防錆装置にインチキの声」という記事が載っていました。記事では、この防錆装置が日本システム企画「NMRパイプテクタ-」を指すことが明記されています。

 当ブログでも「パイプテクタ-」に関しては何度も取り上げてきましたので(少し,次にリンク貼っておきます。)、新潮のこの記事を読んでみました。

 → 「「「バッキンガム宮殿採用」装置にダメ出し続々」(論座の記事)」 (2019/10/5)

 → 「パイプテクター問題「田村淳の訊きたい放題!」で生討論」 (2019/11/29) 

 この新潮の記事では、日本システム企画は、パイプテクタ-を導水管に設置すると赤錆を防ぎ、赤錆も黒錆に変えることで寿命を10年以上延ばせるなどといった効果やこれまでの設置の実績をうたっているけれども、千葉県浦安市で、導入を巡って紛糾していることを紹介しています。

 そして、浦安市の市議のお一人は、浦安市パイプテクタ-を市民施設で2018年に既に試験導入しており、今度は、新たに競争入札なしに1700万円以上をかけて、2件目の導入を進めているが、科学的根拠に疑いの声が噴出している現状でもあって、憤慨している、ということのようです。たぶん、市議会でも取り上げるんでしょうね。こういった批判に対しての浦安市がどのように対応するのかが非常に注目されます。浦安市民の税金を使うわけですから、当然、市の責任問題とならないためにも批判に対抗できるような技術的な評価をきちんとしていかなければいけませんですね。

 また、続けて、この記事は、20年近く前から、研究者などからのインチキではないかという指摘が相次いでいるとしていて、天羽優子山形大学准教授のコメントとして、2001年に原理的にあり得ないと指摘したところ、日本システム企画は、東大宇宙研の先生も認めている理論だと抗議したため、その研究者の名前を聞いたが教えてくれなかった、結局、訴えると通知してきただけで、訴状は届いていない、とのことです。

 このような報道に対して、日本システム企画の反論も聞きたいところなのですが、記事によると、日本システム企画に聞いても「担当者から返事させる」と言ったきりで、期限までに回答はなかった模様です。浦安市はこういった企業の対応について、どう考えるのでしょうか。

 商品の技術の効果の真偽についての会社側からの反論が、批判者の発言などへの個人攻撃のような内容を自社サイトなどに掲載するばかりで、自社の技術が正しいものであることの科学的な説明を社会に向かって行わない、という同社のこれまでの一貫した態度は大変不思議としか言いようがないですね。

より以前の記事一覧

最近のトラックバック