2020年6月25日 (木)

「独禁法務の実践知」(長澤哲也著 有斐閣)

 長澤哲也弁護士から近刊のご著書「独禁法務の実践知」(有斐閣)をご恵贈いただきました。ありがとうございます。
 長澤弁護士は、独占禁止法などの企業法務を専門とする企業法務実務家として著名な弁護士で、独占禁止法に関する著書、論文も多くかかれています。

 この本は、独占禁止法に関する実務的な解説書なのですが、はしがきに「独禁法に定められた違反類型ごとに解説するのではなく,戦略を立案する企業の視点から,問題となる行為を再構築している。」と書かれているように、独占禁止法について、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法などといった体系を順番に解説するのではなく、競争者との協調的取引、取引先間の競争阻害、競合的活動の一方的制限、第三者に対する排他的拘束、競争者に対する取引拒絶等、有利な取引条件による顧客の獲得、顧客による合理的選択の阻害、取引先に対する不利益行為という企業の行為の面に着目した体系になっています。

 これは、当ブログでも紹介したことのある長澤弁護士の「優越的地位濫用規制と下請法の解説と分析(第3版)」(商事法務)が、独占禁止法優越的地位濫用規制下請法の規制を横断的に行為類型ごとに解説するという構成であったものを、独占禁止法全体に拡げた書物ということができると思います。

 消費者問題的視点からすると、「顧客による合理的選択の阻害」の章が気になるので、そこから見てみたのですが、独占禁止法欺まん的顧客誘引とともに、景品表示法不正競争防止法による規制についても、もちろん触れられております。また、最近大きな問題となっているデジタル・プラットフォームに関しても各所で取り上げられており、最新の独占禁止法の状況を反映しているという点でも魅力的な本になっています。

 広く企業法務に携われる実務家の方にはお勧めできる1冊です。

 まったく蛇足ですが、「じっせんち」って、かな漢変換すると、「十センチ」になりますね(笑)

2020年5月19日 (火)

「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.1」(中里和伸弁護士著)

 新型コロナ自粛で、かえってバタバタしているような感じで、ブログ更新も途切れております。

 私が担当している法科大学院の講義も今年はZOOMによる遠隔web授業となり、教室でのリアルな講義とは違った難しさやら面白さがありますが、試行錯誤で学生さんたちに助けられながら進めております(昨日、第3回をやりました)。また、弁護士会関係の会議や消費者団体の理事会などもweb会議の利用が当たり前になり、先日の某研究会でも、大阪の研究会なのに九州など遠隔地の皆さんが地元から参加され、終了後にはweb呑み会に移行するという「新しい生活様式」が始まっていたりもします。


 さて、先日発行されました「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.1」(中里和伸弁護士著・LABO刊)を編集者からご恵贈いただきました。

この本は、同著者による「判例による不貞慰謝料請求の実務」「判例による不定慰謝料請求の実務 主張・立証編」2冊の続編です。この以前の本についても、当ブログでご紹介しています。

 → 「書籍の紹介:「判例による不貞慰謝料請求の実務」(中里和伸著)」 2015/8/5)

 → 「「判例による不貞慰謝料請求の実務〔主張・立証編〕」(LABO刊)」2017/3/ 3)

今回の3冊目は、上記の本の出版からそれぞれ5年、3年を経過し、その後も多くの裁判例が出ているため、その続編として、最新裁判例を集積し、分類して、解説を加えたものということになります。本の帯によれば、「平成28129.から令和元918までの最新判例全290例を新規に掲載」とのことで、不貞に関する慰謝料請求という狭い範囲のテーマで争われた裁判で、しかも、(和解などで終わらずに)判決にまで至っているものが、これだけの数があるのだ、ということに、一般の方は驚かれるかもしれません(おそらく公表されず、著者が入手できなかった判決も相当数存在すると思いますが)。

ということで、前2書より分厚くなっていて、ちょっとお高いですが、実務家、研究者、マニアの方には重要な資料かと思います。是非。

2019年12月12日 (木)

毎日新聞販売店の不当景品に対する措置命令など(大阪府)

 久々の更新です。

 一昨日(12/10)、大阪府が、毎日新聞の販売店に対して、景品表示法違反の不当な景品提供があったとして、措置命令を出しました。また、同時に、特定商取引法違反(書面記載不備)に該当するとして、指示処分も行っています。

 → 大阪府報道発表資料

 景品表示法に関しては、毎日新聞瓢箪山南販売所、北山本販売所、八尾北販売所の経営者1名(個人)が、一般消費者との毎日新聞の購読契約の締結に際に、3千円から1万円の商品券を提供したり、値引きや無料月の設定、スポーツ紙の無料提供などを行っていた、という行為が、景品表示法に違反する過大な景品類の提供に該当するとされています。

 なお、大阪府は、今年3月には、産経新聞に対して、不当景品として同様の措置命令を出しています。これについては、当時、当ブログでも取り上げておりますので、ご覧ください。

 → 「産経新聞社の過大景品提供に対する措置命令(大阪府)」 (2019/3/20)

 → 「新聞購読勧誘の不当景品に関する立入検査報道 (2019/2/14)

 このときの記事にも書きましたが、新聞の販売に関しては、一般の景品表示法の景品額規制とは異なり、「新聞業における景品類の提供に関する事項の制限」(告示)の基準によることになりますので、取引の価額の8%又は6か月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲ということになるところ、大阪府によれば、今回の場合、上限額は1,937円とのことです。

 また、特定商取引法に関しては、購読契約書について、月額購読料欄を空欄にする、または、「定価」や「定価-1,200」と記載するなどして、毎日新聞の販売価格を明らかにしなかった点、購読契約書に自らの氏名や担当した者の氏名を記載していなかった点が、それぞれ特定商取引法5条1項書面交付義務の違反(記載不備)に該当する、とされたものです。

 なお、私が検索したところでは、このニュースを報じた新聞は、読売新聞だけのようですね。

2019年11月12日 (火)

「判例から学ぶ消費者法〔第3版〕」(民事法研究会)が発行されました。

 「判例から学ぶ消費者法」の第3版(島川勝・坂東俊矢編)が発行されました。

民事法研究会サイト

 この本の初版から、「情報化社会と消費者」の章を書いており、今回も引き続き担当しています(第19章)。

 担当部分の裁判例2つの中身についてはあまり変わっていませんが、冒頭の「問題の所在」については、第2版(平成25年発行)以降の情報化社会の進展も激しく、それにまつわる事象の変化もありますので、アップデートのために加筆修正を行っています。

 私の担当個所以外でも、集団的被害回復制度の導入消費者契約法や民法(債権法)の改正など大きな動きがあり、それらをカバーする改訂内容となっています。

 本書の内容について、出版社サイトから以下に引用いたします。ご興味のある方は是非ご一読いただければと思います。


本書の特色と狙い

 約款、集団的消費者被害回復制度について新たに章を設け、民法(債権関係)、消費者契約法、特定商取引法、割賦販売法等の改正、消費者裁判手続特例法の立法から最新の重要判例も織り込んで約6年ぶりに改訂!

 訪問販売、クレジット取引、多重債務、金融商品取引、欠陥住宅、ネットオークションなど、消費者問題の各分野について重要な裁判例をもとに、消費者問題の理論と実務を解説!

 各分野の概説とともに、判決の概要・争点・判旨を紹介したうえで、判決の意義や社会に与えた影響などをわかりやすく示す!

 消費者法を学ぶ学生はもとより、消費者相談にあたる消費生活センター関係者、消費者事件を担当している弁護士・司法書士等の実務家にも必携となる1冊!

本書の主要内容

第1章 消費者問題総論

第2章 民法と消費者法

第3章 消費者契約法(1)─不当勧誘規制

第4章 消費者契約法(2)─不当条項規制

第5章 消費者団体訴訟制度

第6章 集団的消費者被害回復制度

第7章 約款と民法、消費者法

第8章 特定商取引法(1)─訪問販売、クーリング・オフ

第9章 特定商取引法(2)─継続的役務

第10章 特定商取引法(3)─マルチ商法とネズミ講

第11章 割賦販売法(1)─平成20年改正法とクレジット取引

第12章 割賦販売法(2)─クレジットカードの不正使用

第13章 多重債務と消費者

第14章 金融商品取引と消費者

第15章 保険と消費者

第16章 製造物責任と消費者

第17章 欠陥住宅と消費者

第18章 独占禁止法・景品表示法と消費者

第19章 情報化社会と消費者

第20章 宗教被害と消費者

第21章 医療サービスと消費者

2019年9月19日 (木)

昨日の杉本委員長発言と「潜入ルポamazon帝国」(横田増生著)

 昨日の当ブログ記事にも追記しましたが、杉本和行公正取引委員会委員長が、昨日の記者会見にで、「フェイクニュース」問題にも言及したということが報じられています。短い記事なので、どのような射程での発言なのかなどは現時点ではわかりません。ただ、先日も書いたような、ニセ科学的な宣伝で利益をあげているような事業者には、厳しく「欺まん的顧客誘引」を適用していただきたいと思うところです。

 ところで、過去にアマゾンユニクロの社内潜入ルポを書かれているフリージャーナリストの横田増生氏の新刊書「潜入ルポ amazon帝国」(小学館)が出ました。私もちょっと取材に協力したということで、著者からご恵贈いただき、拝読しました。

 本書や以前の著書のタイトルなどから、横田氏がまたアマゾンに潜入した内容なのか、と思われるのではないか、と思います。しかし、この本では、潜入の直接のルポは第1章だけで、第2章から第10章にわたって、社員からの告発や、宅配問題、海外取材、創業者の人物像、amazonマーケットプレイスの問題点(ここらには独占禁止法問題が書かれています。)、フェイクレビュー、AWS、書店流通といったアマゾン全体に関する幅広い問題について、関係者への取材を交えて書かれています。したがって、アマゾンに関する最新の各種の問題について考えるにはいい本だと思います。

 私はフェイクレビューの第7章でちょっとだけコメントしていますが、短く圧縮されたコメントのため、わかりにくいかもしれません(申し訳ございません)。ただ、フェイクレビュー(出品者から対価を得て、商品に好意的に書かれているレビュー。ステマの一種ですね。)に関して、この本では、関係者への直接の取材がなされ、生々しい報告になっています。これまで以上に、アマゾン(だけじゃないでしょうが)のレビューは注意してみたいと思います。

 フェイクレビューというのは、まさに、冒頭に書いたような「欺まん的顧客誘引」行為なわけですので、プラットフォーム事業者フェイクニュースについて言及された杉本委員長の発言は、少なくともその範囲では応援したいと思います。

2019年9月18日 (水)

「デジタル時代の競争政策」(杉本和行・公取委委員長)を読んで

 最近、公正取引委員会が積極的な発言・活動を行っているように思えます。

 GAFAなど国際的な巨大プラットフォーム事業者への対応はもちろんのこと、昨年の「人材と競争政策に関する検討会」報告書以降の芸能人、スポーツ選手を含むフリーランスを対象とする独占禁止法適用や、コンビニ24時間営業問題に関連した一連の動き、また、現在、意見募集中の「デジタル・プラットフォーマーと個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」の公表など、これまで、あまり独占禁止法の対象とみられなかった分野(公正取引委員会の人は以前から外してません、と言われますが)に踏み込んできた感があります。

 このような中で、杉本和行公正取引委員会委員長が、 「デジタル時代の競争政策」(日本経済新聞出版社)を出版されました。

 公正取引委員会のトップの著書ではありますが、本書は、上記のような公正取引委員会の現代社会における役割について、わかりやすく書かれています。

 本書は3章の構成になっていて、第1章では、現在までの競争政策の動きが書かれており、第2章では、現在の独占禁止法行政(競争政策)について基本的な規制内容の平易な解説付で書かれていますので、独占禁止法、競争政策について、あまり知識のない方が独占禁止法の現在を知るのにも適当ではないか、と思います。そして、それらを踏まえて、第3章では、本書のタイトル「デジタル時代の競争政策」について、冒頭に掲げたような、経済のグローバル化、デジタル・プラットフォーム、フリーランス人材問題、独占禁止法改正などの諸問題の解説がなされています。

 一般向けの内容ではありますが、現在の諸問題に広く触れられているうえに、企業結合問題や、アメリカでの競争法違反への刑事事案など、あまり独占禁止法の教科書や新聞に大きく扱われていない部分にも比較的触れられているなど、一応独占禁止法を理解している法律家にとっても興味深く読めるのではないか、と思います。

【追記】(2019/9/19)

昨日午後に当記事をアップしたのですが、同じ頃に、杉本委員長が日本記者クラブで記者会見をされていて、その際に、「フェイクニュースやヘイトスピーチ、犯罪をあおる情報にさらされた消費者には不利益が生じる」と指摘して、競争政策の観点から、適切なニュースが提供される競争環境を最優先に整えるべきだとの問題意識を示した、と報道されています。短い新聞記事で、前後の発言や質問がわからないため、現段階でのコメントは控えますが、これも新しい動きのひとつになるかもしれませんね。
フェイクニュースなどで興味を引いてサイトに人を集めて、事業や広告で収益を上げるというような場合は、確かに競争上も問題になりますね。消費者を含めた取引先を騙して、というような不当な事業活動は(ネット上に限らず)、公正取引委員会も積極的に、例えば独占禁止法「欺まん的顧客誘引」の規制を活用するなどして、取り締まってほしいところです。

2019年7月31日 (水)

消費者法ニュース(7月号・消費者法白書)とモバイルバッテリー発火事故(消費者庁)

 今日は、7月最後の日ですが、ようやく消費者法ニュース7月号(№120)が出たようです(同号の目次。申込は目次の下の説明を見て下さい)。

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 7月号は毎年恒例の「消費者法白書」が中心になります。今年の「消費者法白書」でも例年通り、「独占禁止法・景品表示法」を担当して書いています。この1年の消費者問題視点からの独占禁止法景品表示法関連の話題をさらっと概観してもらうにはよいかと思いますので、よろしくお願いします。


 さて、消費者庁が本日、モバイルバッテリー(スマホやタブレットなどの充電に使用するための携帯用の充電池ですね。)の発火事故について注意喚起をしています。

 → 消費者庁「モバイルバッテリーの事故に注意しましょう!」

 「・・・取扱いを誤ると発熱によってやけどを負うこともあり、場合によっては事故につながることもあります。消費者庁には、モバイルバッテリーに関する事故情報が平成25年6月から令和元年6月末までに162件寄せられています。中には、公共交通機関の中で事故が起こり、運行が遅延したり、火災が発生した事例もありました。」とされていますが、詳しい報告内容(PDF)を見てみると、この162件の事故情報の内、昨年から今年6月末までの1年半の件数は、105件と急増していることがわかります。

 また、事故の事例として挙げられているのを見ると、

    1.  電車に乗っていたら、バッグの中で携帯電話の補助バッテリーが突然青っぽい火を噴き、バッグと電車の床のカーペットを焦がした。すぐに火は消えたが、電車は急停車し、近くの消防署が駆けつけた。
    2.  電車に乗っていたら胸ポケットのモバイルバッテリーが急に熱くなった。ホーム停車中だったため、慌てて電車から降りてホームにモバイルバッテリーを投げ出した。直後に火柱が上がり、駅員がバケツの水で消火した。
    3.  新幹線の中でかばんに入れていたスマートフォンのモバイルバッテリーが破裂し、両足にやけどをした。全治2週間と言われたが、1か月経過してもまだ治らず、通院中。
    4.  スマートフォン用のモバイルバッテリーを充電していたら、煙が出て発火した。指もやけどした。

といった、大事故に繋がりかねないものや、身体に重大な傷害を負わせたものなど、深刻かつ危険な例が出ています。

 また、消費者庁からのアドバイスとして、次の点が挙げられています。

    • (1)リコール対象製品でないか、リコール情報を確認しましょう。
    • (2)新規に購入する際は、PSEマークを必ず確認しましょう。
    • (3)製品本体に強い衝撃、圧力を加えない、高温の環境に放置しないようにしましょう。
    • (4)充電中は周囲に可燃物を置かないようにしましょう。
    • (5)膨らんでいる、熱くなっている、変な臭いがするなど、いつもと違って異常を感じたら使用を中止しましょう。
    • (6)充電コネクタの破損や水ぬれに注意しましょう。
    • (7)公共交通機関での事故を避けるため、持込規則を確認して、それに従いましょう。
    • (8)使用済みモバイルバッテリーはリサイクルに出しましょう。やむを得ず廃棄する際には他の家庭ごみと区別して出しましょう。

2019年7月25日 (木)

「会社法務A2Z」2019/8号に解説を書きました。

 吉本興業とかジャニーズとか世間ではいろいろと問題になっておりますね。芸能事務所と芸能人との契約関係などについては、当ブログでは何度も取り上げていますが、今回は、同じく独占禁止法、公正取引委員会がらみのテーマの雑誌記事を書きましたので、そちらの宣伝です。

 ※ なお、芸能事務所と芸能人に関する当ブログ過去記事はこの辺りで

 さて、当ブログに本年4月25日付で、「コンビニの24時間営業と優越的地位濫用(独禁法)」を書きましたが、その後の経過などを含めて、もう少し詳しくしたものを、第一法規の月刊誌「会社法務A2Z(エートゥージー)」の8月号に、「<時事解説>「コンビニ24時間営業」の見直しと今後の課題」というタイトルで書きましたので、ご興味のある方はご覧下さい。(なお、目次など詳細は、第一法規サイトへ。)

2019年7月 4日 (木)

「花粉を水に変える」など光触媒マスクに対する措置命令(景表法)

 昨年、当ブログの「花粉を水に変える?」 (2018/3/18)で書きました「花粉を水に変えるマスク」など光触媒の効果をうたうマスクについて、本日、消費者庁は、DR.C医薬株式会社(東京都新宿区)、アイリスオーヤマ株式会社(仙台市青葉区)、大正製薬株式会社(東京都豊島区)、玉川衛材株式会社(東京都千代田区)の4社に対して、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認表示)であるとして、措置命令を出しました。後記の通り、不実証広告制度によるものです。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

 この措置命令によると、

    •  DR.C医薬は、あたかも、本件商品を装着すれば、商品に含まれるハイドロ銀チタンの効果によって、商品に付着した花粉、ハウスダスト及びカビのそれぞれに由来するアレルギーの原因となる物質並びに悪臭の原因となる物質を化学的に分解して水に変えることにより、これらの物質が体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。
    •  アイリスオーヤマは、あたかも、本件商品を装着すれば、太陽光及び室内光下において、本件商品に含まれる光触媒の効果によって、商品表面に付着した花粉、ウイルス、細菌、ハウスダスト及び悪臭の原因となる物質を化学的に二酸化炭素と水に分解することにより、これらが体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。
    •  大正製薬は、あたかも、本件商品を装着すれば、太陽光及び室内光下において、商品に含まれる光触媒の効果によって、3商品表面に付着した花粉由来のアレルギーの原因となる物質、細菌、ウイルス及び悪臭の原因となる物質を化学的に分解することにより、これらが体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。

    •  玉川衛材は、あたかも、本件商品を装着すれば、太陽光下において、商品に含まれる光触媒の効果によって、商品表面に付着した花粉由来のアレルギーの原因となる物質、細菌及びウイルスを化学的に二酸化炭素と水に分解することにより、これらが体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。

とされており、消費者庁が、景品表示法7条2項(不実証広告)に基づいて、4社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、4社から資料が提出されたが、提出された資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった、とされました。

 この件については、上記の当ブログ記事で、消費者庁不実証広告制度を活用して対応すべきと指摘いたしました。消費者庁が私のブログを見て動いたとは思いませんが、今回妥当な処分が下されたと評価します。今後は課徴金納付命令となると思われます。なお、大正製薬は、同社のプレスリリースにおいて、今回の措置命令に対して、法的な対応を検討する、と表明していますね。

 上記当ブログ記事については、公表後、やまもといちろう氏や科学者の天羽優子先生などにも取り上げて頂きました。

 また、花粉を水に変えるマスクの問題点については、最近も、医師であるNATROM氏が「花粉を水に変えるマスク」の臨床試験の結果は早く公表されるべきというブログ記事(2019/3/29)を書かれていました。

【追記】(2020/06/21)

 その後、大正製薬は審査請求の申立を行って、現在審査中です。

 また、DR.C社に対しては、2020年6月に課徴金納付命令が出されました。

 → 「「花粉を水に変えるマスク」DR.C社に課徴金納付命令(景表法)」 (2020/06/21)

2019年5月 9日 (木)

web雑誌「消費者情報」№488号が公開されました。

 (公財)関西消費者協会のweb雑誌「消費者情報」(2019年5月号 No.488)が、同協会webサイトに掲載されました。

「消費者情報」№488 (PDF)

 今号の特集は、「消費者庁・消費者委員会 創設10年のあゆみ」で、巻頭インタビューが元・内閣府消費者委員会事務局長原早苗さんの「消費者庁・消費者委員会創設10年に想うこと」です。

 その他、

岡村和美消費者庁長官
 「消費者庁発足10年「誰一人取り残さない」社会の実現を目指して」

髙巖内閣府消費者委員会委員長

 「消費者委員会創設10年と今後の展望」

松本恒雄国民生活センター理事長

 「消費者庁・消費者委員会創設10年のあゆみに寄せて」

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長(弁護士)

 「全国消費者行政ウオッチねっとが見た消費者庁・消費者委員会の10年」

が特集の内容となっています。

 もちろん、いつもの連載など他にも興味深い記事が満載ですが、詳しくは上記リンクからご覧下さい。

 なお、今回は、私の記事も載せていただいています。

 コンシューマー・トピック海賊版ダウンロード問題の現状と課題」 (PDF)で、マンガの海賊版サイト対策で問題となった著作権法のダウンロード規制拡大の最近の動きについて、一般の消費者問題関係の方向けに解説させていただいたものです。

 よろしければ、ご興味のある方は是非ご覧下さい。

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