2021年8月 2日 (月)

「消費者法ニュース」7月号・消費者法白書

 大阪でも、またまた緊急事態宣言(8月末までの予定)が出されました。

 私自身はモデルナ・ワクチンの2回目接種を済ませたものの、安心できるわけでもなく、早く収まってほしいものです。夜に仕事してると、すぐに夕食難民状態になってしまいます。幸い、事務所近くにはスーパーやコンビニもあるのですが、毎回ではね。


  消費者法実務雑誌の「消費者法ニュース」(№218・2021/7)が届きました。「消費者法ニュース」のWebサイトはこちらなんですが、ブログ執筆時点では、7月号の発行の更新はされてないみたいですね(【追記】更新されました。№216のページ)。

 7月号の恒例は「消費者法白書」で、消費者法の各分野の昨年度の裁判例や動きなどを紹介するものです。

 私も長らく「消費者法白書」の「独占禁止法・景品表示法」の部分を担当してきており、今年も執筆しております。興味のある方はご覧ください。大きな図書館なら置いているところも多いかと思います。

 なお、今号の「特集」は、「特商法・書面交付義務の電子化に反対する」と「若者・未成年者の消費者被害への取組み」と、どちらもタイムリーな内容になっています。




2021年6月 8日 (火)

「悲劇の世界遺産 ダークツーリズムから見た世界」(井出明著 文春新書)

 大阪、関西も、新型コロナ感染者公表数はかなり減ってきました。規制は緩めてほしいですが、どこで緩めるべきか、というのは難しいところですよね。

 さて、知人の金沢大学准教授の井出明先生が、文春新書から新著を出されました。
 「悲劇の世界遺産 ダークツーリズムから見た世界」です。

 井出明先生の新書については、以前、当ブログで、「ダークツーリズム 悲しみの記憶を巡る旅」(幻冬舎文庫)を紹介させていただいたことがあります。

 → 「「ダークツーリズム」(井出明著)を読んで」 (2018/8/4)

 今回は、同じくダークツーリズムの観点から、世界遺産に焦点を当てて一般読者向けに書かれた本になります。

 構成としては、

第1章 世界遺産の本来の趣旨とダークツーリズム
第2章 アウシュビッツとクラクフから考える
第3章 産業遺産の光と影
第4章 ダークツーリズムで巡る島
第5章 潜伏キリシタン関連遺産を観る眼
第6章 復興のデザイン
第7章 コロナ禍で考える世界遺産
付章  カリブの旅

 というものですが、単に世界遺産として登録された各所それぞれをダークツーリズム的に案内するだけではなくて、「世界遺産」のシステムそのものや日本の観光というものに対して、ダークツーリズム的観点から興味深く、いわば多層的な解説になっていて、いろいろと考えさせるものとなっています。その他、アウシュビッツ、軍艦島、ハンセン病、広島長崎、東日本大震災、流刑などなど新書の限られたスペースに多くの情報を展開されているところは、上記の前著と同様に感心するところです。
 特に、第5章の潜伏(隠れ)キリシタンについては、個人的には今までには思ってみなかった切り口から述べられており、大変面白かったですね。また、第7章の新型コロナ禍の現在から見た観光については、観光関連の自治体、事業者の皆さんには参考になるのではないか、と思いました。

 ダークツーリズムという視点にこだわらず、一般の旅行好きの方にとっても、旅行の楽しみ方を一層深めることのできる内容ですので、お勧めです。

 

2021年5月31日 (月)

独占禁止法・下請法関係の書籍2題

 大阪は、医療従事者や飲食業関係者をはじめとして、多くの方々が大変な状況を強いられ続けている緊急事態宣言が明けない状態が続いていますが、ワクチン接種が拡大して、少しでも良い方向に進むことを祈るばかりです。


 さて、独占禁止法など経済法実務がご専門の大江橋法律事務所長澤哲也弁護士から、立て続けに、編著書のご恵贈を賜りました。

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 ひとつが、「Q&Aでわかる 業種別 下請法の実務」(学陽書房)、もうひとつが、「類型別 独禁民事訴訟の実務」(有斐閣)です。

 「Q&Aでわかる 業種別 下請法の実務」のほうは、最初に、独占禁止法の特別法である下請法の全体像(総論)の説明がなされ、その後に、繊維産業、金属産業から、アニメーション産業、広告産業までの17業種に分けて、それぞれの業種の実態に即してQ&A方式で解説されています。

 「類型別 独禁民事訴訟の実務」は、第1章において、独禁法に基づく差止請求(24条訴訟)、民法709条に基づく損害賠償請求、独禁法に基づく損害賠償請求(25条訴訟)、不当利得返還請求、という訴訟類型の解説があり、続いて、反競争的行為の私法上の効力、独禁民事訴訟特有の証拠収集方法についてと訴訟上重要な点について書き進められています。第2章以降は、独禁法違反行為類型に分けて、違反の要件や民事上の請求についての解説や裁判例の紹介がなされています。

 「下請法の実務」は、法律専門家以外にも、各業界の経営者など関係者(下請事業者に限らず、親事業者側も)が自分の事業分野における下請法関係の問題を理解し、活用するために理解しやすいものとなっています。一方、「独禁民事訴訟の実務」は、独占禁止法関係の訴訟を行う弁護士(これまで、独占禁止法事件をあまり担当したことのない弁護士は特に)など法律実務家向けの書籍です。

 昔は、独占禁止法下請法の書籍というと、理論的な体系書か公正取引委員会の運用状況に関するものがほとんどでしたが、最近は、こういった実務に直結した、法律実務家や企業の経営者、法務担当者が活用できるものが増えてきたことはありがたいですね。

 私自身も今現在、独占禁止法違反関係の訴訟の真っ最中ですので、ありがたく活用させていただきたいと思います。

2021年4月 2日 (金)

消費税総額表示義務について

 4月1日から、消費税の内税表示、総額表示の義務化となった、というニュースはご承知かと思います。
 ただ、この表現は正確に言うと間違いで、消費税法で、総額表示が義務化されたのは、17年前の平成16年(2004年)4月からです(現63条)。したがって、今回、義務化されたというのは不正確ですし、今回の義務化が消費税増税の伏線である、などと現政権の陰謀論的な見方は正しくないと思います(もちろん、政府は消費税増税を望んでいると思いますが、それはそれ。)。

消費税法63条(価格の表示)

 事業者(略)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(略)を行う場合(略)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない

 では、なぜ今回、総額表示の義務が問題となっているかというと、消費税の税率が引き上げられた時に、事業者が値札の貼り替えなどの事務負担に考慮して、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」の10条1項において、平成25年(2013年)10月から平成30年(2018年)9月まで、その後令和3年(今年)3月末日まで延長されましたが、猶予期間が設けられていました。もっとも、この猶予期間においても、無条件に外税表示が許されていたわけではなくて、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」(誤認防止措置)を講じることが要件になっていました。しかも、同法10条2項においては、この猶予期間の間であっても、できるだけ速やかに、総額表示するよう努めなければならないと規定していたものです。

 この猶予期間がいよいよ到来して、この4月から総額表示の例外が撤廃されたというわけです。

 この総額表示義務については、罰則などはありません。ただし、外税表示をわかりにくくして、消費者に対して、価格が安いと誤認させるような表示の仕方をすれば、景品表示法上の有利誤認に該当し、措置命令課徴金納付命令などの行政処分となる可能性はあります。
 小売店としては、総額表示への書き換え、貼り換えは面倒だし、それなりのコストがかかる話で大変だとは思いますが、上記の通り、これは以前からわかっていた話です。また、先日からの報道番組などを見ていると、小売商店の人がインタビューで「総額にすると、値上げしたような印象を消費者に与えて、売り上げが下がる」と話されているのを何度か見ました。店としての気持ちは良くわかりますが、もし、総額表示にしたために消費者が買い控えするとすれば、逆に言えば、消費者は、これまでの外税表示によって有利誤認させられていたことを実証したことになってしまいますね。
 総額表示の具体的な表記については、国税庁サイトにガイドラインがあります。

  → 「総額表示」の義務付け(国税庁)

 なお、総額表示義務は、全ての商品、役務について問題となりますが、特に、書籍の総額表示については、以前から出版業界は頭を痛めています。これは、出版物(著作物)については、独占禁止法上本来は禁止されている再販売価格拘束が例外的に許されていることから、出版物そのものに価格が記載(印刷)されていることが一般ですし、出版物は、出版社や書店に在庫がかなりの長期間置かれる性質の商品であることなど、消費税率の引き上げなどへの対応の難しさなど他の一般の商品等とは違う特殊な問題があるからですね。

2021年3月24日 (水)

パズル雑誌の懸賞企画の商品発送遅れについての不当表示(景品表示法)

 消費者庁は、本日、株式会社晋遊舎(秋田県大仙市)に対して、同社の懸賞付きパズル雑誌「特盛!まちがいさがしフレンズ」などの懸賞企画についての表示に関して、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認、有利誤認)であるとして、措置命令を出しました。

 → 消費者庁公表資料

 これは対象雑誌の表紙や誌面において、賞品や賞金、当選者数、応募締め切り日などを表示していて、あたかも、懸賞企画に応募して当せんすれば、応募締切日から相当の期間内に誌面上に表示された数の当せん者に賞品等が提供されるかのように示す表示をしていたところ、実際には、当選者に賞品等を発送したのは、応募締め切り日から8カ月弱~3年10カ月後であったというものです。賞品等は7~8000点ということですね。新聞報道などによれば、社内調査の結果、商品等が送られていないことが発覚した後に発送したようです。

 本件では、この表示を、優良誤認および有利誤認の両方と認定しています。それぞれ対象商品表示を分けて認定していますが、どういう区別をしているかまでは、現時点で確認できてませんので、わかれば、付け加え(あるいは修正)いたします。

 これまでにも、雑誌等で表示されていた懸賞企画において、表示通りに実施されなかったというケース(表示されていた内容を下回る商品提供を行っていたもの)で、景品表示法違反の措置命令が出たものがあります。平成25年8月20日の秋田書店に対する措置命令、平成27年3月13日の竹書房に対する措置命令、平成27年12月8日のアイアに対する措置命令ですが、これらは、有利誤認単独の認定でした。

2021年3月14日 (日)

「大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年」(鴨志田祐美 LABO刊)

 鴨志田祐美弁護士の書かれた「大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年」を発行者のLABOさんからご恵贈いただいたので、早速読みました。大崎事件というのは、1979年に鹿児島県で男性が遺体となって発見され、その身内の数名が殺人、死体遺棄の犯人として逮捕、起訴され、有罪判決を受けて、服役したという事件で、服役した一人で中心人物とされた原口アヤ子さんが、服役後、えん罪であるとして再審の申立を重ねているものです(まだ続いてます。)。この事件の流れについては、本書の冒頭にある「大崎事件の概要」にわかりやすく書かれています。

 刑事裁判の専門家であれば、みな知っている再審事件である大崎事件です。しかし、再審手続とか、えん罪事件とかとなると、かえって、一般の方にはちょっと近寄りがたい印象があるかもしれません。全部で700ページくらいありますし。

 でも、読み始めると単に大崎事件の再審事件の記録というような固い話ではなく、鴨志田弁護士の半生記でもありますし、えん罪の判決がどのように作られ、それを再審手続で覆すことの大変さが平易な言葉で綴られています。

 優秀な厚労省官僚であったときに、虚偽公文書作成などで逮捕起訴され、後に無罪が確定した村木厚子さんが、この本の「推薦の辞」を書いておられ、これはAmazonのサイトで読むことができます。村木さんは、

「およそ700頁という本の分厚さに一瞬たじろいだものの、読み始めると一気に読み終えてしまった。ハラハラ、ドキドキ、そして泣いて、笑って、怒って。読み物としてとにかく面白いのだ。」、「頑なに再審の開始を阻もうとする検察や、再審に対する姿勢が裁判官によってまちまちの裁判所との闘いは、難しいゲームの攻略本のようにも読める。同時に、原口アヤ子と鴨志田祐美の「女の一代記」としても、この二人とともに闘う多くの強く心優しい人たちの人間ドラマとしても読める。」

と書かれていますが、私も全く同感です。

 一度、書店で、本書を手に取られて、最初の数頁の個所、つまり、「はしがき」(一部はAmazonに掲載されてます。)と「大崎事件の概要」を読んでもらうと興味を持たれる人も多いのではないかと思います。それに続く刑事裁判と再審に関する手続用語の基礎知識も一般の人向けにわかりやすく書かれています。はしがきの中で、鴨志田弁護士はこう書いています。

 「弁護士が自ら手がけている事件について書いたものなんて、きっと専門性の高い難解なものだろう、と思われるかもしれません。でも、どうか「食わず嫌い」にならずに読み始めてみてください。ここに書かれているのはすべて実話ですが、「ドラマ」とか「映画」とか「お芝居」と同じように楽しんでいただきたいと思います。」

 この本は、刑事裁判に関わる法律家(弁護士はもちろん、裁判官、検察官を含めてですが)はもちろんのこと、法律、裁判に興味をお持ちの一般の人、特に法律を学んでいる、あるいは、将来学ぼうとする若い人たちに是非読んでいただきたいですね。学生さんには刑事訴訟法の良い勉強にもなりますよ。

2020年9月18日 (金)

「NMRパイプテクタ-」(日本システム企画)についての記事(週刊新潮)

 昨日発売の週刊新潮(2020年9月24日号)に、小さな記事ですが、「自治体が続々採用 防錆装置にインチキの声」という記事が載っていました。記事では、この防錆装置が日本システム企画「NMRパイプテクタ-」を指すことが明記されています。

 当ブログでも「パイプテクタ-」に関しては何度も取り上げてきましたので(少し,次にリンク貼っておきます。)、新潮のこの記事を読んでみました。

 → 「「「バッキンガム宮殿採用」装置にダメ出し続々」(論座の記事)」 (2019/10/5)

 → 「パイプテクター問題「田村淳の訊きたい放題!」で生討論」 (2019/11/29) 

 この新潮の記事では、日本システム企画は、パイプテクタ-を導水管に設置すると赤錆を防ぎ、赤錆も黒錆に変えることで寿命を10年以上延ばせるなどといった効果やこれまでの設置の実績をうたっているけれども、千葉県浦安市で、導入を巡って紛糾していることを紹介しています。

 そして、浦安市の市議のお一人は、浦安市パイプテクタ-を市民施設で2018年に既に試験導入しており、今度は、新たに競争入札なしに1700万円以上をかけて、2件目の導入を進めているが、科学的根拠に疑いの声が噴出している現状でもあって、憤慨している、ということのようです。たぶん、市議会でも取り上げるんでしょうね。こういった批判に対しての浦安市がどのように対応するのかが非常に注目されます。浦安市民の税金を使うわけですから、当然、市の責任問題とならないためにも批判に対抗できるような技術的な評価をきちんとしていかなければいけませんですね。

 また、続けて、この記事は、20年近く前から、研究者などからのインチキではないかという指摘が相次いでいるとしていて、天羽優子山形大学准教授のコメントとして、2001年に原理的にあり得ないと指摘したところ、日本システム企画は、東大宇宙研の先生も認めている理論だと抗議したため、その研究者の名前を聞いたが教えてくれなかった、結局、訴えると通知してきただけで、訴状は届いていない、とのことです。

 このような報道に対して、日本システム企画の反論も聞きたいところなのですが、記事によると、日本システム企画に聞いても「担当者から返事させる」と言ったきりで、期限までに回答はなかった模様です。浦安市はこういった企業の対応について、どう考えるのでしょうか。

 商品の技術の効果の真偽についての会社側からの反論が、批判者の発言などへの個人攻撃のような内容を自社サイトなどに掲載するばかりで、自社の技術が正しいものであることの科学的な説明を社会に向かって行わない、という同社のこれまでの一貫した態度は大変不思議としか言いようがないですね。

2020年6月25日 (木)

「独禁法務の実践知」(長澤哲也著 有斐閣)

 長澤哲也弁護士から近刊のご著書「独禁法務の実践知」(有斐閣)をご恵贈いただきました。ありがとうございます。
 長澤弁護士は、独占禁止法などの企業法務を専門とする企業法務実務家として著名な弁護士で、独占禁止法に関する著書、論文も多くかかれています。

 この本は、独占禁止法に関する実務的な解説書なのですが、はしがきに「独禁法に定められた違反類型ごとに解説するのではなく,戦略を立案する企業の視点から,問題となる行為を再構築している。」と書かれているように、独占禁止法について、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法などといった体系を順番に解説するのではなく、競争者との協調的取引、取引先間の競争阻害、競合的活動の一方的制限、第三者に対する排他的拘束、競争者に対する取引拒絶等、有利な取引条件による顧客の獲得、顧客による合理的選択の阻害、取引先に対する不利益行為という企業の行為の面に着目した体系になっています。

 これは、当ブログでも紹介したことのある長澤弁護士の「優越的地位濫用規制と下請法の解説と分析(第3版)」(商事法務)が、独占禁止法優越的地位濫用規制下請法の規制を横断的に行為類型ごとに解説するという構成であったものを、独占禁止法全体に拡げた書物ということができると思います。

 消費者問題的視点からすると、「顧客による合理的選択の阻害」の章が気になるので、そこから見てみたのですが、独占禁止法欺まん的顧客誘引とともに、景品表示法不正競争防止法による規制についても、もちろん触れられております。また、最近大きな問題となっているデジタル・プラットフォームに関しても各所で取り上げられており、最新の独占禁止法の状況を反映しているという点でも魅力的な本になっています。

 広く企業法務に携われる実務家の方にはお勧めできる1冊です。

 まったく蛇足ですが、「じっせんち」って、かな漢変換すると、「十センチ」になりますね(笑)

2020年5月19日 (火)

「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.1」(中里和伸弁護士著)

 新型コロナ自粛で、かえってバタバタしているような感じで、ブログ更新も途切れております。

 私が担当している法科大学院の講義も今年はZOOMによる遠隔web授業となり、教室でのリアルな講義とは違った難しさやら面白さがありますが、試行錯誤で学生さんたちに助けられながら進めております(昨日、第3回をやりました)。また、弁護士会関係の会議や消費者団体の理事会などもweb会議の利用が当たり前になり、先日の某研究会でも、大阪の研究会なのに九州など遠隔地の皆さんが地元から参加され、終了後にはweb呑み会に移行するという「新しい生活様式」が始まっていたりもします。


 さて、先日発行されました「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.1」(中里和伸弁護士著・LABO刊)を編集者からご恵贈いただきました。

この本は、同著者による「判例による不貞慰謝料請求の実務」「判例による不定慰謝料請求の実務 主張・立証編」2冊の続編です。この以前の本についても、当ブログでご紹介しています。

 → 「書籍の紹介:「判例による不貞慰謝料請求の実務」(中里和伸著)」 2015/8/5)

 → 「「判例による不貞慰謝料請求の実務〔主張・立証編〕」(LABO刊)」2017/3/ 3)

今回の3冊目は、上記の本の出版からそれぞれ5年、3年を経過し、その後も多くの裁判例が出ているため、その続編として、最新裁判例を集積し、分類して、解説を加えたものということになります。本の帯によれば、「平成28129.から令和元918までの最新判例全290例を新規に掲載」とのことで、不貞に関する慰謝料請求という狭い範囲のテーマで争われた裁判で、しかも、(和解などで終わらずに)判決にまで至っているものが、これだけの数があるのだ、ということに、一般の方は驚かれるかもしれません(おそらく公表されず、著者が入手できなかった判決も相当数存在すると思いますが)。

ということで、前2書より分厚くなっていて、ちょっとお高いですが、実務家、研究者、マニアの方には重要な資料かと思います。是非。

2019年12月12日 (木)

毎日新聞販売店の不当景品に対する措置命令など(大阪府)

 久々の更新です。

 一昨日(12/10)、大阪府が、毎日新聞の販売店に対して、景品表示法違反の不当な景品提供があったとして、措置命令を出しました。また、同時に、特定商取引法違反(書面記載不備)に該当するとして、指示処分も行っています。

 → 大阪府報道発表資料

 景品表示法に関しては、毎日新聞瓢箪山南販売所、北山本販売所、八尾北販売所の経営者1名(個人)が、一般消費者との毎日新聞の購読契約の締結に際に、3千円から1万円の商品券を提供したり、値引きや無料月の設定、スポーツ紙の無料提供などを行っていた、という行為が、景品表示法に違反する過大な景品類の提供に該当するとされています。

 なお、大阪府は、今年3月には、産経新聞に対して、不当景品として同様の措置命令を出しています。これについては、当時、当ブログでも取り上げておりますので、ご覧ください。

 → 「産経新聞社の過大景品提供に対する措置命令(大阪府)」 (2019/3/20)

 → 「新聞購読勧誘の不当景品に関する立入検査報道 (2019/2/14)

 このときの記事にも書きましたが、新聞の販売に関しては、一般の景品表示法の景品額規制とは異なり、「新聞業における景品類の提供に関する事項の制限」(告示)の基準によることになりますので、取引の価額の8%又は6か月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲ということになるところ、大阪府によれば、今回の場合、上限額は1,937円とのことです。

 また、特定商取引法に関しては、購読契約書について、月額購読料欄を空欄にする、または、「定価」や「定価-1,200」と記載するなどして、毎日新聞の販売価格を明らかにしなかった点、購読契約書に自らの氏名や担当した者の氏名を記載していなかった点が、それぞれ特定商取引法5条1項書面交付義務の違反(記載不備)に該当する、とされたものです。

 なお、私が検索したところでは、このニュースを報じた新聞は、読売新聞だけのようですね。

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