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2021年6月 8日 (火)

「悲劇の世界遺産 ダークツーリズムから見た世界」(井出明著 文春新書)

 大阪、関西も、新型コロナ感染者公表数はかなり減ってきました。規制は緩めてほしいですが、どこで緩めるべきか、というのは難しいところですよね。

 さて、知人の金沢大学准教授の井出明先生が、文春新書から新著を出されました。
 「悲劇の世界遺産 ダークツーリズムから見た世界」です。

 井出明先生の新書については、以前、当ブログで、「ダークツーリズム 悲しみの記憶を巡る旅」(幻冬舎文庫)を紹介させていただいたことがあります。

 → 「「ダークツーリズム」(井出明著)を読んで」 (2018/8/4)

 今回は、同じくダークツーリズムの観点から、世界遺産に焦点を当てて一般読者向けに書かれた本になります。

 構成としては、

第1章 世界遺産の本来の趣旨とダークツーリズム
第2章 アウシュビッツとクラクフから考える
第3章 産業遺産の光と影
第4章 ダークツーリズムで巡る島
第5章 潜伏キリシタン関連遺産を観る眼
第6章 復興のデザイン
第7章 コロナ禍で考える世界遺産
付章  カリブの旅

 というものですが、単に世界遺産として登録された各所それぞれをダークツーリズム的に案内するだけではなくて、「世界遺産」のシステムそのものや日本の観光というものに対して、ダークツーリズム的観点から興味深く、いわば多層的な解説になっていて、いろいろと考えさせるものとなっています。その他、アウシュビッツ、軍艦島、ハンセン病、広島長崎、東日本大震災、流刑などなど新書の限られたスペースに多くの情報を展開されているところは、上記の前著と同様に感心するところです。
 特に、第5章の潜伏(隠れ)キリシタンについては、個人的には今までには思ってみなかった切り口から述べられており、大変面白かったですね。また、第7章の新型コロナ禍の現在から見た観光については、観光関連の自治体、事業者の皆さんには参考になるのではないか、と思いました。

 ダークツーリズムという視点にこだわらず、一般の旅行好きの方にとっても、旅行の楽しみ方を一層深めることのできる内容ですので、お勧めです。

 

2019年7月 4日 (木)

「花粉を水に変える」など光触媒マスクに対する措置命令(景表法)

 昨年、当ブログの「花粉を水に変える?」 (2018/3/18)で書きました「花粉を水に変えるマスク」など光触媒の効果をうたうマスクについて、本日、消費者庁は、DR.C医薬株式会社(東京都新宿区)、アイリスオーヤマ株式会社(仙台市青葉区)、大正製薬株式会社(東京都豊島区)、玉川衛材株式会社(東京都千代田区)の4社に対して、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認表示)であるとして、措置命令を出しました。後記の通り、不実証広告制度によるものです。

 → 消費者庁公表資料 (PDF)

 この措置命令によると、

    •  DR.C医薬は、あたかも、本件商品を装着すれば、商品に含まれるハイドロ銀チタンの効果によって、商品に付着した花粉、ハウスダスト及びカビのそれぞれに由来するアレルギーの原因となる物質並びに悪臭の原因となる物質を化学的に分解して水に変えることにより、これらの物質が体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。
    •  アイリスオーヤマは、あたかも、本件商品を装着すれば、太陽光及び室内光下において、本件商品に含まれる光触媒の効果によって、商品表面に付着した花粉、ウイルス、細菌、ハウスダスト及び悪臭の原因となる物質を化学的に二酸化炭素と水に分解することにより、これらが体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。
    •  大正製薬は、あたかも、本件商品を装着すれば、太陽光及び室内光下において、商品に含まれる光触媒の効果によって、3商品表面に付着した花粉由来のアレルギーの原因となる物質、細菌、ウイルス及び悪臭の原因となる物質を化学的に分解することにより、これらが体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。

    •  玉川衛材は、あたかも、本件商品を装着すれば、太陽光下において、商品に含まれる光触媒の効果によって、商品表面に付着した花粉由来のアレルギーの原因となる物質、細菌及びウイルスを化学的に二酸化炭素と水に分解することにより、これらが体内に吸入されることを防ぐ効果が得られるかのように示す表示をしていた。

とされており、消費者庁が、景品表示法7条2項(不実証広告)に基づいて、4社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、4社から資料が提出されたが、提出された資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった、とされました。

 この件については、上記の当ブログ記事で、消費者庁不実証広告制度を活用して対応すべきと指摘いたしました。消費者庁が私のブログを見て動いたとは思いませんが、今回妥当な処分が下されたと評価します。今後は課徴金納付命令となると思われます。なお、大正製薬は、同社のプレスリリースにおいて、今回の措置命令に対して、法的な対応を検討する、と表明していますね。

 上記当ブログ記事については、公表後、やまもといちろう氏や科学者の天羽優子先生などにも取り上げて頂きました。

 また、花粉を水に変えるマスクの問題点については、最近も、医師であるNATROM氏が「花粉を水に変えるマスク」の臨床試験の結果は早く公表されるべきというブログ記事(2019/3/29)を書かれていました。

【追記】(2020/06/21)

 その後、大正製薬は審査請求の申立を行って、現在審査中です。

 また、DR.C社に対しては、2020年6月に課徴金納付命令が出されました。

 → 「「花粉を水に変えるマスク」DR.C社に課徴金納付命令(景表法)」 (2020/06/21)

2019年4月10日 (水)

楽天トラベルなどに立入検査(公取委)

 ここのところ、いわゆるGAFAなどプラットフォーム事業者に対する競争法などによる規制が話題になっていて、つい先日(3/30)に、私もお手伝いをした大阪梅田での講演会「デジタルプラットフォーマーの法的諸問題」も東京など遠方からも多くの方々に参加いただき、大盛況でした。(なお、基調講演をしていただいた泉水文雄先生から、プラットフォーム事業者を意味する「プラットフォーマー」という言葉は本来英語では使わないのではないか、とのご指摘がありました。)

 以下の案内ページには、当日の資料の一部がリンクしてありますので、関心のある方はごらんください。

 → 「情報ネットワーク法学会 ネット社会法務研究会 発足記念講演会のご案内」

 さて、本日、そのプラットフォーム事業者に対する事案が報道されました。

 独占禁止法違反(拘束条件付き取引)の疑いで「楽天トラベル」を運営する楽天(株)「ブッキング・ドットコム」(オランダ)の日本法人、「エクスペディア」(アメリカ)の日本法人の3社に対し、公正取引委員会が立入検査に入った、というものです。「楽天トラベル」は、まだ日立造船が運営していた「旅の窓口」時代から、私は利用してますので、なじみ深いところです。

 楽天は、立入検査の事実を認め、公正取引委員会に全面的に協力する旨、公表しています。

 → 楽天プレスリリース

 報道によれば、今回の容疑は、自社のwebサイトに掲載するホテルや旅館などに対し、宿泊プランの価格がほかのサイトより高くならないよう要求していたというもののようで、いわゆるMFN条項(最恵国待遇条項)の問題です。

 MFN条項については、以前、Amazonやペット取引のプラットフォーム事業者などの問題について、当ブログでも触れましたので、ご参考まで。

 → 「ペット仲介サイト運営業者に対する公取委立入検査と最恵国待遇(MFN)条項」 (2018/3/7)

2018年11月21日 (水)

県産品の納入業者に対する優越的地位濫用(独占禁止法)

 昨日は、大阪弁護士会館2階ホールにて、日本CSR普及協会近畿支部のセミナー「独禁法の最新動向 ~ 企業活動に関連するポイントの整理 ~」に参加してきました。私も所属している同協会近畿支部消費者公正競争研究会の担当セミナーです。

 独占禁法違反の疑いのある事案について公正取引委員会と事業者との間の合意により自主的に解決する制度「確約制度」を導入する改正法が成立して、来月から施行されます。この確約制度など最近の独占禁止法の動向について、公正取引委員会近畿中国四国事務所長の藤本哲也氏独占禁止法実務に詳しい籔内俊輔弁護士のご講演でした。


 さて、本日、公正取引委員会が、独占禁止法違反事案について警告を行っています。

 これは、岩手県産株式会社(岩手県柴波郡矢巾町)が、独占禁止法の禁止する不公正な取引方法である優越的地位の濫用に該当するおそれがある行為を行っていたとされたものです。

 → 公取委報道発表資料

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 岩手県産は、岩手県内で生産された農水産物、菓子、工芸品などを、全国の小売業者に販売したり、百貨店などが開催する物産展や自社の直営店等において消費者に販売するなどしていたものですが、その商品の納入業者の一部に対し、仕入金額に応じた金額を「事務手数料」と称して、本来支払うべき代金から差し引いていたというものです。これは岩手県産が自社の収益状況を改善するために行っていたということです。
(※図は公取委資料より)

 今回は、排除措置命令ではなく、警告です。上記のような行為が優越的地位の濫用に該当するおそれがあるとして、公正取引委員会が、岩手県産に対して、今後、このような行為を行わないよう警告したものです。警告であっても、このように全件公表されます。

 経営が大変だということで納入業者に負担を押し付けたもので、もし、排除措置命令ということになれば、課徴金の納付も命じられるかもしれません。事業者としては、十分に注意しなければ余計に経済的負担を被ることにもなります。

2018年8月 4日 (土)

「ダークツーリズム」(井出明著)を読んで

 知人の井出明金沢大准教授が、このほど、 「ダークツーリズム 悲しみの記憶を巡る旅」(幻冬舎新書)を出版されたので、読みました。

 井出先生は、観光学者ですが、法学修士、情報学博士でもあります。

 ダークツーリズムという言葉はまだ日本では耳なじみがありません。私も、井出先生の研究をうかがって初めて知った次第です。

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 ダークツーリズムとは? という点は、第一章を見ていただくとして、本書では、井出先生が実際に各地(小樽、オホーツク(北海道)、西表島、熊本、長野、栃木・群馬、そしてインドネシア、韓国・ベトナム)を巡ったダークツーリズムの実践がまとまめられ、最後にダークツーリズムのこれから、が語られています。

 新書ですので、本文にして200頁ちょっとですが、中身は大変濃厚だな、と感じさせるものです。また、私自身が子どもだった頃のいろいろな事件、災害などとも結び付くものも多く、考えさせられるものでした。

 本書には、網走刑務所の話も出てきますが、この話は、つい最近閉鎖された奈良少年刑務所の今後とも直接的に繋がる話だな、と思って読んでました。
 そういえば、奈良少年刑務所が閉鎖後に一般公開された時に井出先生も見学に行かれていて、その後で一緒に天満で飲んだことを思い出しました。なお、新書の帯にある写真は、博物館網走監獄での囚人コスプレで、一番左の人が井出先生御自身とのことです。

 また、南樺太の真岡の話は、昨年でしたか、NHKスベシャルでドキュメンタリーになっていたのを偶々見ていて、それまで知らなかった歴史でしたし、番組を見て涙したことを思い出しました。

 その他、順不同に書けば、東日本大震災と足尾銅山、ナショナルトラスト、炭鉱、労働組合、公害病、ハンセン病、朝鮮人強制連行、慰安婦、女工哀史、観光ガイド、風評被害、インド洋津波というような話が次々と展開されていて、具体的にダークツーリズムというものを学べる内容となっています。

 若い人には、多くは過去の歴史的な話かもしれませんが、かなりの問題は私が子どもだったころにも残っていた同時代的なものであり、それらは、たかだか半世紀くらい前のことになります。

 もっとも、本書は、必ずしも、深くて重いテーマの本として読む必要はないのかもしれません。   
 各章の最後には、「旅のテクニック」として交通宿泊などについてのアドバイスも書かれていて、普通の観光コースの旅行には飽きてしまったような旅行のマニア、リピーターの人には興味深い紀行エッセイとしても十分に楽しめるものとなっていると思います。

 なお、井出先生は、本書と同時に、「ダークツーリズム拡張 ─近代の再構築」(美術出版社) も出されていますので、ご紹介しておきます。

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2018年3月 7日 (水)

ペット仲介サイト運営業者に対する公取委立入検査と最恵国待遇(MFN)条項

 公正取引委員会が、「みんなのペットオンライン」(仙台市)に対して、ペット販売用のインターネット広告が、広告主のブリーダーを不当に囲い込んだ疑いがあるとして、2月27日に立入検査をした、と報道されています。

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 この会社は、ブリーダーの依頼によって子犬や子猫の写真と価格などを広告として掲載し、購入希望者との間で売買が成立すれば手数料を受け取るというシステムのネット仲介サイトを運営している、とのことですが、報道によれば、自社で広告を優遇する代わりに、競合する他のサイトで、自社より安く販売することを禁止したり、他社との契約を破棄して販売自体を止めるよう求めたりした疑いがあるということです。このような行為が独占禁止法の禁止する不公正な取引方法(拘束条件付取引、排他条件付取引など)に該当するおそれがある、ということのようです。

 昨年、世界的な民泊紹介サイト「Airbnb」への公正取引委員会の立入検査について当ブログで紹介しましたが、民泊を行う国内の業者に他の民泊紹介サイトに情報を掲載しないよう求めていたことが独占禁止法の問題になっているようでしたので、今回と似たようなケースですね。

 → 「AirbnbとAmazonの排他的取引の報道(独占禁止法)」 
                        (2017/11/19)

 他の事業者の条件と同等以上の扱いを相手方に対して義務づける契約条項は、最恵国待遇条項(MFN条項)などと呼ばれています。以前、Amazon(アマゾンジャパン合同会社)が、Amazonマーケットプレイスの出品者との間の出品関連契約において価格等の同等性条件を定めて、出品者の事業活動を制限している疑いがあるとして、公正取引委員会が、独占禁止法に基づいて審査を行ったことがありました。このときは、Amazonが、自発的な措置を速やかに講じるとの申出がなされたことにより、公正取引委員会が審査を終了しました。
 ここでの自発的措置とは、以下の4つです。

  1.  アマゾンジャパン合同会社は,当委員会による確認を経た上で速やかに,締結済みかつ有効な出品関連契約における価格等の同等性条件を削除し,又は当該契約における価格等の同等性条件及び品揃えの同等性条 件に係る同社の権利を放棄して行使しないこととするとともに,今後,当該契約において価格等の同等性条件及び品揃えの同等性条件を定めないことを誓約し,これらの旨を出品者に周知する。
  2.  アマゾンジャパン合同会社は,上記1の措置を講じた後に締結する出品関連契約において価格等の同等性条件及び品揃えの同等性条件を定めないことを誓約する。
  3.  アマゾンジャパン合同会社は,上記1の措置を講じた後速やかに,上記1及び2の措置を講じた旨について,出品者との交渉,出品者からの問い合わせ対応等を行う同社の従業員等に周知する。
  4.  アマゾンジャパン合同会社は,上記3の措置を講じた日から3年間にわたって年1回,上記1から3の措置の実施状況について,当委員会に書面により報告する。

 → 「アマゾンジャパン合同会社に対する独占禁止法違反被疑事件の処理について」
                        (2017/6/1)

 上の「Airbnb」の件も、現時点では、まだ公取委から処分等は出ていません。今回の件も併せて、どうなるのか注目したいと思います。

2018年3月 3日 (土)

徳島市が徳島市観光協会の破産手続開始を申し立てる

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 昨日(3/2)、徳島市が、阿波おどりを主催する徳島市観光協会の累積赤字が膨らんだことを理由として、同協会の破産手続の開始を徳島地裁に申し立てたことが報道されています。徳島市観光協会は、地元の徳島新聞社と共に阿波おどりを主催する公益社団法人です。

 観光協会破産手続の開始を申し立てるというのは異常な事態だと思いますけれども、阿波おどりの運営をめぐる、徳島市徳島市観光協会徳島新聞社の3者間での問題は以前から時々マスコミなどでも取り上げられています。

 たとえば、   

  •  「阿波おどりの運営を巡るトラブルで辞職を迫られたとして、徳島市観光協会の近藤宏章会長が16日、公務員職権乱用の疑いで、同市の遠藤彰良市長に対する告発状を徳島地検に提出した。予備的に強要容疑の告訴内容も含めている。」(2017/3/16産経)      
  •    
  •  「この夏、「阿波おどり」に中止の危機 徳島の地元財界は大騒ぎ!」(2017/6/3現代ビジネス〔週刊現代サイト〕)    
  •    
  •  「徳島市の阿波踊り(8月12~15日)で演舞場の設営工事や入場券販売に関する事務が実行委の定める要領に従わずに行われているとして、徳島市の岡孝治市議が事務処理の停止を求めていた仮処分命令の申し立てについて、徳島地裁が25日までに「(停止する)理由がない」と却下する決定を出したことがわかった。徳島地裁はこの日までに、阿波踊りを主催する市観光協会徳島新聞社などの関係者に決定を送達した。」(2017/7/26毎日)      
  •    
  •  「徳島市の阿波踊りで長年続いている累積赤字解消に向け、市は21日、主催者の市観光協会へ地方自治法に基づく調査に入った。市職員や弁護士、公認会計士らが22日まで、徳島市の阿波おどり会館内にある協会事務局から資料の提供を受け、収支の疑問点がないか調べる。」(2017/11/22毎日)      
  •    
  •  「公益社団法人徳島市観光協会(近藤宏章会長)は1日、現在協会が担っている阿波おどり会館(徳島市)などを運営する次期指定管理候補者に、徳島新聞社などが選定されたことが協会に損害を与えるとして、同社社長ら2人を特別背任の疑いで徳島地検に告訴した。」(2017/12/2毎日)      
  •    
  •  「市から委託を受け、協会の累積赤字について調べていた調査団は5日に市に提出した報告書で、協会内部で赤字解消策が議論された形跡がほとんどないことなどを指摘。協会が阿波踊り事業を続けることが「極めて困難」などとした。」(2018/2/8徳島新聞)    
  •    
  •  「徳島市の阿波踊りに多額の累積赤字が発生している問題で、市は9日、主催者の一つの市観光協会に対し、清算手続きに入るよう求める通知を出した。市は本年度、協会が金融機関から借り入れた4億3600万円の損失補償をしており、年度内に協会が返済できなくなれば市が負担しなければならない恐れがある。このため、保有する財産が減る前にできる限り返済に充ててもらうとしている。」(2018/2/9徳島新聞)

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 こう見てくると、何がどうなっているのか、外部からはさっぱりわかりません。上にもあるように、徳島市は外部の弁護士、公認会計士、学者4名による「阿波おどり事業特別会計の累積赤字の解消策等に関する調査団」に調査をさせており、その調査報告書が今年2月5日付けで出されています。簡単に言うと、徳島市観光協会が多額の累積赤字を解消しつつ、阿波おどり事業を継続していくことは困難であることを指摘していますね。

 → 「阿波おどり事業特別会計の累積赤字の解消策等に関する調査報告書について」 (徳島市サイト)

2017年11月19日 (日)

AirbnbとAmazonの排他的取引の報道(独占禁止法)

 独占禁止法に関連する米系企業の2つのニュースが続けて流れてきました。

 1つは、いわゆる「民泊」の世界最大の紹介サイトを運営しているアメリカのIT企業「Airbnb」(エアビーアンドビー)が、民泊を行う国内の業者に対し、他の民泊紹介サイトに情報を掲載しないよう求めていたとして、公正取引委員会が、独占禁止法違反の疑いで、10月に日本法人Airbnb Japan(東京都)に立入検査をしていたことがわかった、というものです。

 もう1つは、インターネット通販大手のAmazonが自社の人工知能(AI)スピーカー「Amazon Echo」(アマゾン エコー)を国内発表した11月8日以降、競合するLINEのAIスピーカー「clova wave」(クローバ ウェーブ)のAmazon内での販売を禁止したことがわかった、というものです。LINEAmazon内に正式サイトを出店していて、このclova waveも販売していたのですが、Amazonの商品一覧から削除されたとのこと。

 Airbnbの事案は、取引先である民泊業者に対して、ライバル業者と取引するな、という形であるのに対して、Amazonの事案は第三者への圧力ではなく、自社の通販サイトでの販売をできなくさせた、という形で、少し異なりますが、市場において強い支配力を持つ企業が、ライバル業者の事業を妨害する結果となる点では似ています。

 Airbnbの事案については、公正取引委員会が立入検査を行ったのは、各社の報道では同社も認めているということですが、公正取引委員会は現段階では何らの公表を行っていないので、どういった疑いで調べているのかは明らかではありません。

 公正取引委員会の流通・取引慣行ガイドラインでは、

市場における有力な事業者が,例えば次のように,取引先事業者に対し自己又は自己と密接な関係にある事業者の競争者と取引しないよう拘束する条件を付けて取引する行為取引先事業者に自己又は自己と密接な関係にある事業者の競争者との取引を拒絶させる行為取引先事業者に対し自己又は自己と密接な関係にある事業者の商品と競争関係にある商品の取扱いを制限するよう拘束する条件を付けて取引する行為を行うことにより,市場閉鎖効果が生じる場合には,当該行為は不公正な取引方法に該当し,違法となる(一般指定2項(その他の取引拒絶),11項(排他条件付取引)又は12項(拘束条件付取引))。」

とされています。

 Amazonの事案は、上記の通り、取引先事業者に対する行為ではないので、Airbnbの事案とは異なります。また、こちらは、現時点で公正取引委員会が動いたとかの事案ではありませんし、Amazonがどのような規制をかけたのかが明らかではありませんが、産経新聞の記事では、舟田政之立教大名誉教授が、独禁法違反の可能性もある、というコメントが出されていますね。   
 こちらのほうは、私的独占とか単独の取引拒絶(ボイコット)などが思い浮かぶのですが、AIスピーカーという新しい商品分野に関して、Amazonが後発で発売している状況であり、しかも、LINEは自社サイトを含め他の流通ルートでの販売は可能ですので、そこらあたりをどう考えるかでしょうか。   
 なお、Amazonによる販売禁止商品に関しては、Apple TVAmazonで販売ができない状態が続いているようです(最近、和解したとかのようですが。)。

2015年9月 1日 (火)

「ダークツーリズム」/消費者契約法・特定商取引法改正についての説明会

維新の党も山口組も内紛、分裂したり、東京五輪エンブレムはとうとう撤回されたり、また、安全保障法制反対のデモも徐々に拡大していくなど、慌ただしく、ゆらゆらしている夏の終わりです。   

 

  そんな中、ちょっと面白そうな雑誌が創刊されました。「負の遺産」を旅する「ダークツーリズム」の魅力を紹介する旅行雑誌「ダークツーリズム・ジャパン」(ミリオン出版)です。   

 

井出明追手門大学准教授が協力して発刊された雑誌(季刊)ということで楽しみです。「ダークツーリズム」には抵抗のある向きもおられると思いますが、ご紹介しておきます。   

 

  Amazonへ → 「DARK tourism JAPAN Vol.1」 (ミリオンムック)

 
 

  前々回に書きました消費者契約法改正中間取りまとめ特定商取引法中間整理についての説明会を、消費者委員会が東京・大阪で開催するとのことです。 
  私も大阪の説明会に申し込みました。   
  ただ、今の所、下記ページは上層からのリンクが貼られていないようなんで、ちゃんと申し込んだことになってるのかな、と不安ではあるのですが。 
 【追記】ようやく内閣府トップページに案内リンクが貼られました。   

消費者契約法専門調査会「中間取りまとめ」及び特定商取引法専門調査会「中間整理」に関する説明会(東京・大阪)の開催について

2014年1月 1日 (水)

新年あけましておめでとうございます

謹賀新年 2014.1.1.

 本年も宜しくお願い申し上げます。

 大阪近辺は、曇りがちで風も少しありましたが、比較的暖かな元日となりました。

 私は実家の箕面に少し寄ってから、枚岡神社(東大阪)に初詣に行きました。人がいっぱいで参拝はしないまま、御神酒をいただき、おみくじとお守りを授かってきた次第です。

 おみくじは小吉でした。

 枚岡神社は花園ラグビー場も近いからか、「ラグビー守」もありましたが、私は「健脚守」をいただいてきました。

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