2020年6月27日 (土)

次亜塩素酸水の新型コロナへの有効性についての関係省庁の公表

 新型コロナウイルス(以下、コロナと略します)に関して、これまであまり一般には聞きなれない「次亜塩素酸水」の有効性が話題になっていました。単なる拭き掃除とか、手指消毒だけでなく、空間噴霧とかの話まで出ていて、学校や飲食店などでの噴霧の是非も問題になりました。
 この問題はちゃんと分けて考えないといけないので(次亜塩素酸水に限りませんが)、整理する必要があります。
 次亜塩素酸水が、コロナの不活性化に有効なのか、仮に有効として、どういう濃度で、どういう使い方をすれば有効なのか。さらに、そもそも、「次亜塩素酸水」として販売されている商品にそれだけの濃度があるのか、また、これはかなり不安定な物質なのだが、保存状態はどうなのか。使い方として、手指消毒とか、空間噴霧は有効なのか、また、安全なのか。どうも、次亜塩素酸水として提供されている「水」には、そのあたりの表示がされていないことも多いようです。
 というところなので、単純に議論してもしゃあないかな、と科学素人の私でも思うわけです。
 その他に、次亜塩素酸水次亜塩素酸ナトリウムの違いという問題もありますが、ここでは省いて、あくまでも、次亜塩素酸水に絞ります。

 で、昨日(6/26)の経済産業省、厚生労働省、消費者庁および製品評価技術基盤機構(NITE)の公表について書こうと思いますが、全部きっちり書くと長くなるので、ひとまず、結論を書きます。

  1. 次亜塩素酸水で、ドアノブなどの物を拭く場合に一定の濃度以上のものであれば、有効ではある、ただし、あらかじめ、汚れをきれいに落としてから(そうでないと、次亜塩素酸水が有機物に反応して分解してしまう)、かなりヒタヒタ状態とか流水状態で使用する必要がある。
  2. NITEは、手指消毒や空間噴霧についての安全性の検証は行っていないし、効果についても何も言ってない。
  3. NITEの公表を踏まえた、経済産業省、厚生労働省、消費者庁の本日の公表では、空間噴霧について推奨しないことを明言している。

 ということで、本日の政府の発表内容(当然、皆さんですり合わせた結果と思われます)では、次亜塩素酸水の手指消毒とか空間噴霧については、お勧めしませんということが公式発表になります。Twitterなどを見ると、業界ヨイッショ!のアカウントでは、次亜塩素酸水の有効性が認められた、みたいなことを書いておられますが、上記のような政府の公表をちゃんとみれば、少なくとも、空間噴霧や手指消毒については、そうではないことは明らか過ぎる話になります。一部のマスコミの見出しが「有効性を認める」みたいになっていることをいいことに書いておられるのですが、困ったものですね。

 なお、物を洗浄する場合も、上の通りなんで、わざわざ次亜塩素酸水をジャブジャブと使わなくても、どうせ、あらかじめ汚れをきっちりと除かないといけないのならば、家庭用洗剤、食器洗剤などで、対象物をきっちりと拭き取ることをすれば、次亜塩素酸水が登場するまでもなく、OKということになるかと思います。

 もちろん、次亜塩素酸水については、これまで有効な使用法がされていたわけで、次亜塩素酸水が駄目というわけではありませんが、コロナ対策として、一般の家庭や学校が空間噴霧などで使うものではないと思います。

 なお、化学工業事業者の業界新聞と思える化学工業日報の社説(6月24日)【社説】「「次亜塩素酸水の効果」報道の危うさ」を見つけました。当然ながら業界に向けたメディアですが、ここでも、次亜塩素酸水についての一般的な擁護はされておりますが、ここでさえも、空間噴霧については否定しておられます。

消費者庁「消毒や除菌効果をうたう商品は、目的に合ったものを、正しく選びましょう。」

厚生労働省Q&A

 関係事業者の方々を含めて、真摯な反論であれば、勉強させていただきますので、よろしくお願いします。

 

2020年6月21日 (日)

「花粉を水に変えるマスク」DR.C社に課徴金納付命令(景表法)

 最近の新型コロナウイルス感染問題でのマスク騒動で、すっかり忘れられていたかもしれませんが、昨年7月に消費者庁から不当表示(優良誤認)として景品表示法に基づいて措置命令が出されていた「花粉を水に変えるマスク」について、このマスクを宣伝・販売していたDR.C医薬株式会社に対して、一昨日(6/19)、消費者庁課徴金納付命令を出し、857万円課徴金の支払いを命じました。

 → 消費者庁公表資料

 昨年の措置命令は、DR.C社を含む計4社のマスクの表示について出されたものですが、詳しくは、その当時に書いた次のブログ記事やそのリンク先をご覧下さい。

 → 「「花粉を水に変える」など光触媒マスクに対する措置命令(景表法)」 (2019/7/4)

 景品表示法課徴金は、対象期間の各商品の売上高に3%をかけた金額になりますので、857万円の課徴金ということは、計算すると、対象期間である平成30年1月1日から令和元年10月12日までの約1年9ヶ月間の売上高は約2億8600万円になるのではないかと思います(計算違いがあればお教え下さい。)。著名な人気歌舞伎役者を使ったあれだけの規模の宣伝広告をしていた割には少ないような気がしました(マスク市場の規模については、全くの素人なんで、単なる個人の感想です。)。

 なお、昨年の措置命令が出された4社のうち、大正製薬については、消費者庁に対して、この措置命令が不当だとして、現在係争中(審査請求)です。大正製薬は、DR.C社の宣伝とは異なり、「花粉を水に変える」とは表現していませんので、ご注意ください(各社の表示の概要は上記の昨年のブログに書いています。)。

 他の2社について、今回、課徴金納付命令が出されなかった理由は公表されていませんが、課徴金は、計算した結果150万円未満となった場合には課せられませんので、売上が低かったのかもしれません。



2020年2月18日 (火)

東京マラソン(一般参加)中止と参加料の不返金

 先日発行された「消費者法ニュース」1月号(№122)に、「海賊版ダウンロード対策問題の現状」という記事を書きました。もっとも、書いたのが12月初旬ですので、それ以降の改正作業動向は反映されていないのが残念ですが。


 ところで、昨日(2/17)、新型コロナウィルスの関係で、3月1日開催予定の東京マラソンが一般参加のレースについては中止となりました公式サイトのニュース。これによる参加料やチャリティ寄付金の返還がされないことが、話題になっています。

 私自身、参加予定だったマラソン大会が中止になったことが3回あります。台風で大会のちょっと前に由良川氾濫となった2004年と2013年の福知山マラソンと、当日の台風接近に伴う2017年の丹後ウルトラマラソンの3回です。一般に、台風などでマラソン大会などが中止になる場合は参加料の返金がされないことは普通ですが、大会により規約は異なるので、それを見ないといけません。2004年の時の記憶はないですが(返金なしじゃなかったかな。)、2013年の時は、送金料を引いて全額返金されました。このときの規約は「地震・風水害・降雪・事件・事故・疫病等による中止の場合 参加料返金の有無、額等についてはその都度主催者が判断し、決定します。」となっていて、9月の台風による洪水だったので(大会は1123日)、早めに判断できたからかな、と思います。2004年は10月の台風でしたね。2017年の丹後ウルトラは返金はなしで、特産品が送られてきました。

 今回の東京マラソンの規約は、「13. 積雪、大雨による増水、強風による建物等の損壊の発生、落雷や竜巻、コース周辺の建物から火災発生等によりコースが通行不能になった結果の中止の場合、関係当局より中止要請を受けた場合、日本国内における地震による中止の場合、Jアラート発令による中止の場合(戦争・テロを除く)は、参加料のみ返金いたします。なお、それ以外の大会中止の場合、返金はいたしません。」となっていて、今回の中止は「それ以外」とされて返金しないこととなったと思います。あくまでも想像ですが、返金となっている条件の場合は、イベント保険などの対象になっているのかな、とも思います(知らんけど)。

 だとすると、返金なしもやむを得ないのですが、こういった条項が有効か?ということも考えないといけません。

 消費者契約法8条とか10条の適用によって、規約の条項が無効となるか、という点を検討することになりますね。ただ、大会の直前の中止であって、大会に必要となる各種の経費の支出や契約は済んでいること、こういったマラソン大会では、参加料の収入は一部であって、スポンサーからの収入や税金などの公費の負担も大きいことも十分に考慮しなければならないので、単純ではありません。

 なお、判決例はないのではないかと思いますが、これまでにも、適格消費者団体などの消費者団体が、マラソンの参加規約の同種の条項について、消費者契約法違反ではないか、として申入活動をした事例がいくつかありますので、参考のために挙げておきます。

【追記】(2/18)

 申入事例(福岡マラソン)をひとつ追加しました。

【追記】(2/21)

 実は、私が抽選で当選して走るはずだった、2月23日開催予定の姫路城マラソンも中止になりました。記念Tシャツとかもろもろは送っていただけるようですが、参加料の返金はやはりありませんね。
 もう30年くらい前からの古手の市民ランナーとしては、別にそれでいいと思うのですよ。そう思わない方もたくさんおられることは理解してますが。

【追記】(3/18)

 東京オリンピックの中止の場合の返金問題について、次の記事に書きました。

 → 「オリンピック中止とチケット代金返金問題」 (3/18)

【追記】(5/27)

 申入事例(金沢マラソン、富山マラソン)を追加しました。

2020年2月11日 (火)

楽天への公取委立入検査(優越的地位濫用)

 しばらくブログの更新ができず、これが今年最初の更新となってしまいました。

 例のパイプテクターに関しては、最近になって東京メトロの車両(他社乗り入れ車両は除く)から広告が消えた、との報告がTwitterなどで見かけますね。東京メトロの広告媒体者としての責任について、昨年、ちらっと書いたことがありますが、同社もいろいろと考えたのでしょうか。

 → 「赤さび防止効果に関する日本技術士会千葉県支部の見解書」(2019/8/20)


 さて、昨日(2/10)、通販サイト国内大手の「楽天市場」を運営する楽天の本社に公正取引委員会が立入検査に入った、と報道されました。

 これは、楽天市場において、3980円以上を購入すれば送料を出店者負担で無料にする新制度を3月から導入するとしていることに関して、独占禁止法違反(優越的地位の濫用)の疑いがあるという理由のものです。

 以下、ちょっと長くなりますが、これまでの経過をまとめてみました。

 この立入調査の3日前の2月7日には、楽天が、「公正取引委員会からの調査開始及び調査への協力について」として、公正取引委員会から、送料無料制度について調査を開始した旨の連絡を正式に受領したことを公表しており、その中で、「・・法令上の問題はないものと考えていますが、公正取引委員会からの調査につきましては、全面的に協力してまいります。」としていました。

 そもそも、楽天は1年前の2019年1月に、この新しい送料無料制度を導入することを公表していました。ただ、この時点では、送料の負担を楽天と出店者のどちらが負担するかについては明確にしていなかったのですが、8月になって、送料無料ラインを3980円以上(税込)とすることを発表し、これが出店者負担となることが明らかになり、この規約の変更について、出店者の中から不満が出ていたものです。

 なお、昨年1月から、公正取引委員会は、「デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査」として、オンラインモール運営事業者の取引実態に関するアンケート調査などを実施しており、楽天を含むオンラインモールも調査対象となっていました。この調査については、4月に中間報告がまとめられ、10月には実態調査報告書として、公表されています。この中でも、運営事業者によって、規約が一方的に変更されたことがある、と回答した出店者がかなり多く(楽天は93.2%の高率)、規約の変更の中に不利益な内容があったとする回答も多くありました。

 このような楽天の送料無料の強行に対し、不満を持つ出店者の一部が、10月に「楽天ユニオン」という組合を結成し、反対署名を集めたり、「優越的地位の濫用」だとして公正取引委員会に調査を求めるなどの活動を行っていました。また、12月19日の朝日新聞では、楽天の送料無料の方針について、公正取引委員会楽天に「独占禁止法違反のおそれがある」と伝えていたことがわかった、と報じられています。

 しかし、楽天は、12月に、出店者に対して、当初予定通り送料無料を今年3月から実施することを通告しました。

 このように双方が対立した状況の中、今年1月22日、「楽天ユニオン」が、公正取引委員会に対し、独占禁止法に基づく排除措置命令を求める措置請求書と、店舗の署名を提出したようです。

 この日の記者会見において、記者からの質問に対し、公正取引委員会事務総長は、個別の案件については答えられないとしつつ、「自己の取引上の地位が、例えば、オンラインモール運営業者が出店者に対して優越していて、そういう場合に、不当に不利益を与えるようなやり方で取引条件を変更するという場合には、独占禁止法でいえば優越的地位の濫用に当たる可能性はある。」と答えています。

 また、報道によれば、2月5日の記者会見において、公正取引委員会杉本委員長は、この問題に関連し、一般論と断った上で「独占禁止法違反の疑いがあれば調査し、違反であれば厳正に対処する」と述べた、とのことです。

 こういった流れの中での昨日の立入検査ですが、これに対し、楽天は、立入検査があったことを認めたうえで、今後も調査に対して全面的に協力する、としつつ、送料見直しについては、現時点で予定通り実施する、としていると報じられています。

 立入検査があったばかりで、公正取引委員会が結論を出すのは、まだまだ先になると思います。けれども、GAFAをはじめとするプラットフォーム事業者については、プラットフォーム事業者の取引透明化法案など、国内外で、その問題点や規制の在り方についての検討が行われており、今回のような出店者との関係のほか、消費者との関係においても、さまざまな議論がなされているところですので、この案件は各方面から注目を集めることになりますね。

2019年12月23日 (月)

口コミ代行業者に関する記事にコメント載りました。

 ネットニュースのJ-CASTニュースの12月22日の記事「口コミ代行が横行?「1件6000円~」も 弁護士が指摘する問題点」にコメントが掲載されました(一番最後のところです。)。

 ご興味のある方は是非お読みいただきたいのですが、私のコメント関連のところをちょっと補足したいと思います。

 景品表示法に関して、「処分対象は依頼側となる可能性が高く」というのは、景品表示法に基づく措置命令課徴金納付命令のような正式な法的処分については、その対象となる事業者は、「自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項」の表示をした者となっていますので、広告会社や広告媒体者(新聞、雑誌、テレビなど)は対象とならず、「依頼側」(=広告主)に対する処分に限られることになるからです。ただし、広告会社などにも、正式な法的処分ではありませんが、違反行為が起こらないように必要な措置を採るように消費者庁が「要請」を行うようなことは考えられます。例としては、2010年末のおせちで問題になった、いわゆる「スカスカおせち事件」では、消費者庁は、2011年2月に、おせちを販売していた会社に措置命令を出すと同時に、そのおせち商品を掲載していたグルーポンに対して、必要な措置(二重価格表示に関して)を要請したことがあります。

 → 「バードカフェおせち事件に関する措置命令及び要請(景品表示法・消費者庁)」 (2011/2/22)

 ただ、この要請は、法的処分ではなく、法的な拘束力があるわけでもありません。不当表示に関係した広告会社や広告媒体者については、上記の通り、景品表示法の行政処分の対象にはなりませんので、何らかの立法対応が必要ではないかと思います。なお、もちろん、詐欺的な宣伝に荷担したような場合は、詐欺や不法行為ということで、広告会社などに法的責任が追及される可能性はあります。

 また、記事にある「消費者庁の景表法ガイドライン」というのは、「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(PDF)のことです。該当個所は、これの4~5頁ですね。

 最後に、不正競争防止法(品質等誤認惹起行為)の判決(ライバル業者からの損害賠償請求訴訟)の紹介がありますが、これについては、当ブログの「自社開設を隠した口コミサイトの操作が誤認惹起行為とされた判決(不競法)」(2019/4/19)で取り上げています。

2019年11月29日 (金)

パイプテクター問題「田村淳の訊きたい放題!」で生討論

 例のパイプテクター問題について、先日、メーカーの日本システム企画の熊野社長が出演して、討論する生放送番組がありました。

 東京メトロポリタンTV(MX)の「田村淳の訊きたい放題!」の11月23日放送分(再放送11月26日)です。

 パイプテクターを取り付けた水道管に赤さびを黒さびに変えるという効果などはない、とする小波秀雄京都女子大名誉教授と天羽優子山形大准教授が主張するのに対して、熊野社長がどう応戦するのかが楽しみでしたが、なぜか社長の隣にはもっともらしい名前の団体の肩書(一般社団法人持続可能事業支援機構・専務理事)をつけた本間という人が座っていますけど、この人は、古くからのパイプテクターの販売代理店(株式会社エヌ・エフ・ジー)の社長ですよね(苦笑)

 熊野社長はなぜ出演をOKしたのか、と思う内容でしたが、いくつか、客観的なポイントを指摘しておきます。

  1. パイプテクターが赤さびを黒さびに変える理論的な根拠はわからない、と熊野社長自身が言い切った。
  2. 理論が分からなくても効果があるということはある、万有引力の発見される前からりんごは落ちる、との熊野社長の明快な解説。
  3. 理論はわからないといいながら、学会での発表とか、推薦状とかを持ち出す。
  4. 小波教授が持ってきたパイプテクターが本物か偽物かはわからない、本物だとすれば、だれかが盗んだものとどうでもいいことを言う。
  5. そのパイプテクターを分解すれば、安い磁石しか入ってなくて、特許に書かれているような構造ではないことを小波教授が指摘。
  6. それを見ても、本物か偽物かわからない、以前、中国などがそっくり商品を作っていた、と熊野社長と本間氏。(社長や長年の販売代理店の人が見てもわからないなら、本物だろうが偽物だろうが、本物とそっくりな構造であることを認めたものであり、中身が磁石だけ、ということを認めていることになる、と私は思う。)
  7. 小波教授らからの質問に対して、正面から全く答えず、司会の田村淳から、「Q&Aなんだから、QにはAで答えてください、AではなくBで答えているから、議論にならない。」と何度か突っ込まれる。
  8. 出演者の憲法学者木村草太先生が、この装置ではエントロピーが減少していくのか、と熊野社長に質問する。これは、日本システム企画が、パイプテクターに設置してある「黒体放射焼結体」の内部のエントロピーがじわじわと低下する時に電磁波を出す、と主張していることを踏まえてのものである(もっとも上記の5,6によれば、そもそも黒体放射焼結体は設置されていないはず)。これに熊野社長はまともに答えられず、本間氏がエントロピーが減少する、と説明する。木村先生が念を押すが、途中で、エントロピーではなく酸化還元、などと意味不明の言いかえを行う。 なお、エントロピー減少について熊野社長が語っていることは、論座「「バッキンガム宮殿採用」装置にダメ出し続々 ネット注目の#謎水装置 開発者を直撃」にも紹介されている。上記1の通り、この番組では理論的な根拠はわからないと明言しているので、ここでも矛盾がある。
  9. 長期間の効果をうたいながら、1年間しか返金保証しないのはおかしいとの天羽准教授の指摘に対しても明確な回答はなし。一方で、1年では効果ははっきりしないが、10年経過するとはっきりした効果が出ていると主張。では、10年での返金保証はしないのか、という指摘には答えず。

 ここまで来れば、評価ははっきりしているようにも思いますけれども、公平を期さないといけませんので、熊野社長からの反論をお待ちしています。

2019年10月 6日 (日)

消費生活センター、マンション管理組合など昨日記事の補足

 昨日の記事の続きです。

 長野剛記者は論座の記事「「バッキンガム宮殿採用」装置にダメ出し続々」(4ページ目)の中で、各地の消費生活センターについて、「ただ、設置根拠となる消費者安全法では「消費者」は「個人」です。消費者庁の担当者は「マンション管理組合は消費者にはならないと解釈しています」とし、消費生活センターの救済対象ではないとの認識でした。」と書かれています。

 確かに、消費者安全法には、地方自治体の消費生活センターの設置が規定されていますが、この消費生活センターは国の機関や独立行政法人などではなく、あくまでも都道府県市町村が設置する組織です(多くは消費者安全法(平成21年施行)のずっと以前から存在しており、その設置の根拠は地方自治体の条例。)。したがって、名称についても、「消費者生活センター」以外にいろいろあって、たとえば、京阪神でも、大阪府は「消費生活センター」ですが、大阪市は「消費者センター」、兵庫県は「消費生活相談センター」、神戸市は「消費生活センター」、京都府は「消費生活安全センター」、京都市は「消費生活総合センター」になっています。東京都は「消費生活総合センター」ですね。なお、「国民生活センター」という独立行政法人がありますが、これは、「消費生活センター」とは違うもので、元々は50年前に国の特殊法人として設立されており、「独立行政法人国民生活センター法」を設置の根拠とするものです。

 話がそれましたが、消費者安全法消費生活センターについての規定があるのは、上記記事の通りではあるのですが、要するに「消費者安全の確保」に関する相談やあっせんなどの事務を行うというものです。そして、消費者安全法においては、「消費者」は個人であり(団体は除外)、「消費者安全の確保」とは、消費者の消費生活における被害を防止し、その安全を確保すること、となっています。では、マンション管理組合は団体であり個人ではないので、消費生活センターの業務の対象外と言えるのでしょうか。

 法律における「消費者」という用語全般については、1年ほど前に「法律と「消費者」」 (2018/6/30)というのを書きましたが、法律によって表現は違うけれども、基本的に、「消費者」は個人となっています。しかし、消費者契約法では、「消費者契約」の契約締結時の問題とか契約条項の内容についての規制が定められているので、規制が及ぶのは、消費者と事業者との契約関係に限られます(救済裁判例もありますが、省きます。)。したがって、団体であるマンション管理組合と事業者との契約は残念ながら対象外となってしまいます。長野記者が消費者庁の担当者の見解として書いているのは、消費者安全法を含む、こういった法律上の「消費者」の解釈によるものかと思います。

 しかし、消費者安全法は、「消費者契約」のみを対象とするものではなく、例えば、直接の契約関係にはない、商品の製造業者であっても、欠陥商品などによる消費者安全に関する問題については対象となります。そして、居住用のマンションの住民たちそれぞれは、まさしく個人たる「消費者」であり、マンション管理組合が購入、設置した商品を、実質的には自分らの個人財産から代価を支払い、共有物として所有し、利用するわけですので、それによって、住民たちに生ずる損害に関する問題は、消費者安全法の守備範囲です。

 なお、安全という言葉からは、生命や身体の被害が思い浮かびますが、消費者安全法は「消費者事故等」の定義として、それ以外に、「虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を疎外する恐れがある行為であって政令で定めるものが事業者により行われた事態」(同法2条5項3号)も含めています。そして、政令では、「商品等又は役務について、虚偽の又は誇大な広告又は表示をすること。」(施行令3条1号)となっています。ここでは、広告、表示を直接消費者個人に向けられたものに限られておらず、広告、表示が誇大、虚偽であることに基づいて、消費者の利益を不当に害するものであればよいと考えるべきです。

 しかも、居住用のマンション管理組合は、実態的にみても、個人の塊の非営利団体であって、一般的な流通の中の卸業者とか小売業者のように独立した存在ではありませんから、なおさらだと思います。事業者からの購入も、住民らの総会や理事会の決議で決まるのですから、多数決とはいえ、基本的には、直接それぞれ個人の意思判断にかかるものであり、事業者によるマンション管理組合に対する広告、表示は、実際には住民たる個人に向けられているといえます。

 このように、長野記者が取り上げたマンション管理組合相手のセールスも消費者安全法の対象と考えるべきであり、まぎれもなく消費者問題そのものです。したがって、消費生活センター国民生活センターも、マンション管理組合が個人であることを理由に取り上げないのは疑問です。

 ただ、取り上げられた問題は、科学的・技術的な性能を謳う高額商品ですので、各地域の消費生活センターが判断することは難しいといえます。ただでさえ、予算や人員が減らされて疲弊しており、商品テストの人材、設備がない所がほとんどで、相談員などの職員の皆さんはその中で頑張っておられます。

 となると、やはり国民生活センターや製品評価技術機構(nite)といった国の機関(独立行政法人)で何とか当該商品のテストができないものかな、と思います。

 なお、最後に付け加えると、前にもちょこっと書いたように、独占禁止法の規制する「不公正な取引方法」の中の「欺まん的顧客誘引」に該当するのであれば、公正取引委員会が乗り出せるのではないか、と思っています。
 また、民事的には、住民やマンション管理組合から以外に、同業者などの関係業者が、不正競争防止法誤認惹起行為(同法2条1項20号)に基づく請求を行うということも考えうるところです。

2019年10月 5日 (土)

「「バッキンガム宮殿採用」装置にダメ出し続々」(論座の記事)

 先日、「パイプテクター」なる商品について取り上げました。

 → 「赤さび防止効果に関する日本技術士会千葉県支部の見解書」8/20

 → 「NMRパイプテクターはどうかな♡の話。続編。」9/3

 この中に紹介した山本一郎氏の「謎水事件」日本システム企画社のNMRパイプテクター事案が熱い!」もよく読まれたようですが、本日になって、朝日新聞「論座」サイトに、

 「「バッキンガム宮殿採用」装置にダメ出し続々 ネット注目の#謎水装置 開発者を直撃」

という朝日新聞長野剛記者による記事が掲載されました。

 当該業者の社長を含め、いろいろと関係者に取材されている記事ですので、是非読まれることをお勧めします。

 

 

 「実は対応可能な消費者行政」以下の内容に関連して、もう少し書いておきたいことはあるのですが、長くなりますので、また別稿にて。

2019年9月19日 (木)

昨日の杉本委員長発言と「潜入ルポamazon帝国」(横田増生著)

 昨日の当ブログ記事にも追記しましたが、杉本和行公正取引委員会委員長が、昨日の記者会見にで、「フェイクニュース」問題にも言及したということが報じられています。短い記事なので、どのような射程での発言なのかなどは現時点ではわかりません。ただ、先日も書いたような、ニセ科学的な宣伝で利益をあげているような事業者には、厳しく「欺まん的顧客誘引」を適用していただきたいと思うところです。

 ところで、過去にアマゾンユニクロの社内潜入ルポを書かれているフリージャーナリストの横田増生氏の新刊書「潜入ルポ amazon帝国」(小学館)が出ました。私もちょっと取材に協力したということで、著者からご恵贈いただき、拝読しました。

 本書や以前の著書のタイトルなどから、横田氏がまたアマゾンに潜入した内容なのか、と思われるのではないか、と思います。しかし、この本では、潜入の直接のルポは第1章だけで、第2章から第10章にわたって、社員からの告発や、宅配問題、海外取材、創業者の人物像、amazonマーケットプレイスの問題点(ここらには独占禁止法問題が書かれています。)、フェイクレビュー、AWS、書店流通といったアマゾン全体に関する幅広い問題について、関係者への取材を交えて書かれています。したがって、アマゾンに関する最新の各種の問題について考えるにはいい本だと思います。

 私はフェイクレビューの第7章でちょっとだけコメントしていますが、短く圧縮されたコメントのため、わかりにくいかもしれません(申し訳ございません)。ただ、フェイクレビュー(出品者から対価を得て、商品に好意的に書かれているレビュー。ステマの一種ですね。)に関して、この本では、関係者への直接の取材がなされ、生々しい報告になっています。これまで以上に、アマゾン(だけじゃないでしょうが)のレビューは注意してみたいと思います。

 フェイクレビューというのは、まさに、冒頭に書いたような「欺まん的顧客誘引」行為なわけですので、プラットフォーム事業者フェイクニュースについて言及された杉本委員長の発言は、少なくともその範囲では応援したいと思います。

2019年7月25日 (木)

「会社法務A2Z」2019/8号に解説を書きました。

 吉本興業とかジャニーズとか世間ではいろいろと問題になっておりますね。芸能事務所と芸能人との契約関係などについては、当ブログでは何度も取り上げていますが、今回は、同じく独占禁止法、公正取引委員会がらみのテーマの雑誌記事を書きましたので、そちらの宣伝です。

 ※ なお、芸能事務所と芸能人に関する当ブログ過去記事はこの辺りで

 さて、当ブログに本年4月25日付で、「コンビニの24時間営業と優越的地位濫用(独禁法)」を書きましたが、その後の経過などを含めて、もう少し詳しくしたものを、第一法規の月刊誌「会社法務A2Z(エートゥージー)」の8月号に、「<時事解説>「コンビニ24時間営業」の見直しと今後の課題」というタイトルで書きましたので、ご興味のある方はご覧下さい。(なお、目次など詳細は、第一法規サイトへ。)

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