「判例による離婚原因の実務」中里和伸著(LABO)」
新年明けましておめでとうございます。
事務所が3階から4階に移転したばかりで、いまだに片付け切れておりませんが、本年もよろしくお願い申し上げます。
さて、新年最初のブログ記事は、昨年出版されました(奥付によると今年発行ですが)「判例による離婚原因の実務」のご紹介です。離婚原因というのが新年最初にふさわしいかどうかはご判断をまかせるとして。今回もご恵贈賜ったものですし。
この本は、あの不貞慰謝料シリーズ(?)の中里和伸弁護士が出されたものです。このシリーズの3冊の本については、当ブログで既にご紹介しているところですので、このシリーズに興味がお有りの方はこの記事末尾のリンク先をご覧ください。
さて、新刊の「判例による離婚原因の実務」ですが、なにしろ分厚い、そして、高い(税抜6600円)。
しかし、離婚事件というのは世の中に沢山存在し、その内のある程度の数が調停や裁判といった法的な手続に乗るわけで、そこまでに行かなくても交渉案件として、我々弁護士が業務として取り扱うことになるわけです。したがって、離婚の法律や手続に関する実務書はこれまでにもたくさんあったのですが、実際に裁判例になった事案を網羅して整理した本書のようなものはほとんどなかったと言っていいかと思います(これは上記の「不貞慰謝料」についても同じなんですが)。
ここでいう「離婚原因」というのは、一般的な話としての離婚の原因となった行為というのではなくて、民法上の裁判による離婚(つまり片方が離婚に応じない場合ですね)が、どのような場合に裁判所が認め、あるいは、認めなかったか、という事例の集積です。前著同様に、大変な作業でしょうねぇ。
本書は全体で600ページ強の分量の内、半分以上の300数十ページが後半の「離婚原因裁判例一覧表」で、占められていて、これは法律実務家としては必携の書籍と言わざるを得ません。
もうひとつの特徴としては、裁判による離婚手続において、大きな法的論点である「有責配偶者からの離婚請求の可否」について、かなりの紙幅をさいているところかと思います。これは、要するに、例えば、不貞(浮気)をした側といったような、婚姻を破綻させた原因を作った側(有責配偶者)からの離婚請求が認められるか否かというもので、以前から重要な論点で、私も同様の事件を取り扱ったことがあります。この部分だけでも1冊の本ができたのではないか、と思うくらいです。
→ 「「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.1」(中里和伸弁護士著)」
(2020/5/19)
→ 「「判例による不貞慰謝料請求の実務〔主張・立証編〕」(LABO刊)」
(2017/3/3)
→ 「書籍の紹介:「判例による不貞慰謝料請求の実務」(中里和伸著)」
(2015/8/5)
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