メルカリなどフリマへの出品と違法行為
10月に入って、新型コロナの緊急事態宣言が全国的に終了し、その後、ここまで急速に感染者が減少してきて、まだ油断はできないものの、少し明るさが出て来たような気がします。
さて、フリーマーケットアプリ「メルカリ」にて、ハッシュタグ(「#」)に他社商品名を表示して(#(商品名))、類似の出品物を宣伝する行為が商標権の侵害に当たるとした大阪地裁の判決が9月27日に言い渡されたことが報じられています。
→ 裁判所サイト
メルカリのようなフリマやオークションに出品する際に、法的な知識なく、売れるためにいろいろと工夫するのは良いのですが、結構法律的な問題が生じます。ここでは詳しくは触れませんが、消費者保護法(特定商取引法、消費者契約法、景品表示法、食品表示法などなど)や今回の商標法のような知的財産法(著作権法や不正競争防止法も含みます)、薬機法、健康増進法、もちろん、一般の民法なども含めて、それなりに理解して出品、特に何度も反復して出品するような人は、特定商取引法などの対象となる「事業者」に該当することになりますので、要注意です。
ところで、先日、消費者庁は、Webサイト「特定商取引法ガイド」に掲載されている「通信販売広告Q&A」を改定したようです。
特定商取引法では、通信販売の事業者に義務づけられている「特定商取引法に基づく表記」での「事業者の住所、電話番号」について、「住所」については現に活動している住所、「電話番号」については確実に連絡が取れる番号を表示する必要がありますが、「通信販売広告Q&A」のQ18では、以下のような措置が講じられ、住所及び電話番号について上記の要件が満たされる場合においては、通信販売の取引の場を提供するプラットフォーム事業者やバーチャルオフィスの住所及び電話番号を表示することによっても、特定商取引法の要請を満たすものと考えられます。」として、次のような場合は、自己の住所や電話番号を表示しないでよい、としています。ただし、「個人事業者、プラットフォーム事業者又はバーチャルオフィス運営事業者のいずれかが不誠実であり、消費者から連絡が取れないなどの事態が発生する場合には、特定商取引法上の表示義務を果たしたことにはなりません。」としています。
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個人事業者がプラットフォーム事業者の住所及び電話番号を表示する場合、当該個人事業者の通信販売に係る取引の活動が、当該プラットフォーム事業者の提供するプラットフォーム上で行われること
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個人事業者がプラットフォーム事業者又はバーチャルオフィスの住所及び電話番号を表示する場合、当該プラットフォーム事業者又は当該バーチャルオフィスの住所及び電話番号が、当該個人事業者が通信販売に係る取引を行う際の連絡先としての機能を果たすことについて、当該個人事業者と当該プラットフォーム事業者又は当該バーチャルオフィス運営事業者との間で合意がなされていること
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個人事業者がプラットフォーム事業者又はバーチャルオフィスの住所及び電話番号を表示する場合、当該プラットフォーム事業者又は当該バーチャルオフィス運営事業者は、当該個人事業者の現住所及び本人名義の電話番号を把握しており、当該プラットフォーム事業者又は当該バーチャルオフィス運営事業者と当該個人事業者との間で確実に連絡が取れる状態となっていること
実際には、ハードルは低くはないのですが、こういった条件が満たされない場合は、「事業者」となる出品者(本人が事業者とは思っていなくても)の出品は違法(特定商取引法違反行為)なものとなります。
一方、出品者が事業のためのオフィスを持っておらず、自宅で内職的に出品する場合は、上記の要件を満たさない限りは、原則として(Q15、Q17参照)、自宅の住所、電話番号を世界中に公開しないといけないわけですので、大変なことになるかもしれません。
したがって、安易に考えて、反復継続した出品を行うことは、事業者としての各種法律の義務、責任が生じることになってしまいます。つまり、冒頭に書いたように特定商取引法以外でも、消費者契約法、景品表示法や不正競争防止法、商標法などの知的財産法、薬機法、独占禁止法などに触れ、犯罪行為ともなることがありますので、メルカリやヤフオクなどで副業的に小遣い稼ぎをしようとする場合には十分な注意が必要ですし、念のためネット通販に関わる専門家に相談されたほうがいい場合もあると思います。
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