独占禁止法・下請法関係の書籍2題
大阪は、医療従事者や飲食業関係者をはじめとして、多くの方々が大変な状況を強いられ続けている緊急事態宣言が明けない状態が続いていますが、ワクチン接種が拡大して、少しでも良い方向に進むことを祈るばかりです。
さて、独占禁止法など経済法実務がご専門の大江橋法律事務所長澤哲也弁護士から、立て続けに、編著書のご恵贈を賜りました。
ひとつが、「Q&Aでわかる 業種別 下請法の実務」(学陽書房)、もうひとつが、「類型別 独禁民事訴訟の実務」(有斐閣)です。
「Q&Aでわかる 業種別 下請法の実務」のほうは、最初に、独占禁止法の特別法である下請法の全体像(総論)の説明がなされ、その後に、繊維産業、金属産業から、アニメーション産業、広告産業までの17業種に分けて、それぞれの業種の実態に即してQ&A方式で解説されています。
「類型別 独禁民事訴訟の実務」は、第1章において、独禁法に基づく差止請求(24条訴訟)、民法709条に基づく損害賠償請求、独禁法に基づく損害賠償請求(25条訴訟)、不当利得返還請求、という訴訟類型の解説があり、続いて、反競争的行為の私法上の効力、独禁民事訴訟特有の証拠収集方法についてと訴訟上重要な点について書き進められています。第2章以降は、独禁法違反行為類型に分けて、違反の要件や民事上の請求についての解説や裁判例の紹介がなされています。
「下請法の実務」は、法律専門家以外にも、各業界の経営者など関係者(下請事業者に限らず、親事業者側も)が自分の事業分野における下請法関係の問題を理解し、活用するために理解しやすいものとなっています。一方、「独禁民事訴訟の実務」は、独占禁止法関係の訴訟を行う弁護士(これまで、独占禁止法事件をあまり担当したことのない弁護士は特に)など法律実務家向けの書籍です。
昔は、独占禁止法や下請法の書籍というと、理論的な体系書か公正取引委員会の運用状況に関するものがほとんどでしたが、最近は、こういった実務に直結した、法律実務家や企業の経営者、法務担当者が活用できるものが増えてきたことはありがたいですね。
私自身も今現在、独占禁止法違反関係の訴訟の真っ最中ですので、ありがたく活用させていただきたいと思います。
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