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2021年4月の記事

2021年4月 2日 (金)

消費税総額表示義務について

 4月1日から、消費税の内税表示、総額表示の義務化となった、というニュースはご承知かと思います。
 ただ、この表現は正確に言うと間違いで、消費税法で、総額表示が義務化されたのは、17年前の平成16年(2004年)4月からです(現63条)。したがって、今回、義務化されたというのは不正確ですし、今回の義務化が消費税増税の伏線である、などと現政権の陰謀論的な見方は正しくないと思います(もちろん、政府は消費税増税を望んでいると思いますが、それはそれ。)。

消費税法63条(価格の表示)

 事業者(略)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(略)を行う場合(略)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない

 では、なぜ今回、総額表示の義務が問題となっているかというと、消費税の税率が引き上げられた時に、事業者が値札の貼り替えなどの事務負担に考慮して、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」の10条1項において、平成25年(2013年)10月から平成30年(2018年)9月まで、その後令和3年(今年)3月末日まで延長されましたが、猶予期間が設けられていました。もっとも、この猶予期間においても、無条件に外税表示が許されていたわけではなくて、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」(誤認防止措置)を講じることが要件になっていました。しかも、同法10条2項においては、この猶予期間の間であっても、できるだけ速やかに、総額表示するよう努めなければならないと規定していたものです。

 この猶予期間がいよいよ到来して、この4月から総額表示の例外が撤廃されたというわけです。

 この総額表示義務については、罰則などはありません。ただし、外税表示をわかりにくくして、消費者に対して、価格が安いと誤認させるような表示の仕方をすれば、景品表示法上の有利誤認に該当し、措置命令課徴金納付命令などの行政処分となる可能性はあります。
 小売店としては、総額表示への書き換え、貼り換えは面倒だし、それなりのコストがかかる話で大変だとは思いますが、上記の通り、これは以前からわかっていた話です。また、先日からの報道番組などを見ていると、小売商店の人がインタビューで「総額にすると、値上げしたような印象を消費者に与えて、売り上げが下がる」と話されているのを何度か見ました。店としての気持ちは良くわかりますが、もし、総額表示にしたために消費者が買い控えするとすれば、逆に言えば、消費者は、これまでの外税表示によって有利誤認させられていたことを実証したことになってしまいますね。
 総額表示の具体的な表記については、国税庁サイトにガイドラインがあります。

  → 「総額表示」の義務付け(国税庁)

 なお、総額表示義務は、全ての商品、役務について問題となりますが、特に、書籍の総額表示については、以前から出版業界は頭を痛めています。これは、出版物(著作物)については、独占禁止法上本来は禁止されている再販売価格拘束が例外的に許されていることから、出版物そのものに価格が記載(印刷)されていることが一般ですし、出版物は、出版社や書店に在庫がかなりの長期間置かれる性質の商品であることなど、消費税率の引き上げなどへの対応の難しさなど他の一般の商品等とは違う特殊な問題があるからですね。

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