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2021年3月の記事

2021年3月26日 (金)

新型コロナ検査キットの販売事業者5社に対する行政指導(消費者庁)

 消費者庁は、本日(3月26日)、新型コロナウイルスの検査キットの表示に関して、景品表示法違反の不当表示(優良誤認)に該当するおそれがあるとして、研究用抗原検査キットの販売事業者2社および抗体検査キットの販売事業者3社に対して、再発防止等の行政指導を行ったことを公表しました(行政指導は令和2年12月25日付)。
 また、FacebookやTwitterなどSNSを通じて一般消費者等への注意喚起を行いました。

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 正式の措置命令ではなくて、行政指導なので、事業者名などは公表されていません。

 → 消費者庁公表資料

 まず、研究用抗原検査キットの販売事業者2社についてです。
 ネット上の通信販売サイトなどで、「研究用」などとして流通している新型コロナウイルスの抗原検査キットについて、「厚生労働省承認済み【国内唯一】」、「厚労省令で定める医療機器届出番号 〇〇〇〇〇」、「ご注意ください!!唯一、認可され輸入が許されている商品です。」等の表示が行われています。
 こうした「研究用」として流通している新型コロナウイルスの抗原検査キットについては、厚生労働省が、「ドラッグストア、インターネット等を通じ、広告・販売されている研究用抗原検査キットは、薬機法(旧・薬事法)に基づく承認を受けたものではなく性能等が確認されたものではないこと、また、新型コロナウイルス感染症の罹患の有無を調べるために必要な検査の種類や検査結果の取扱いは各検査の特性・性能等に基づき医学的に判断する必要があることから、消費者の自己判断により、新型コロナウイルス感染症の罹患の有無を調べる目的で使用すべきではないこと」に留意すべきであるとの考え(令和3年2月25日厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)が示されています。
 これを踏まえて、今回、消費者庁は、あたかも、当該抗原検査キット厚生労働省によって承認等され、当該事業者と同種若しくは類似の商品を供給している他の事業者のものよりも品質、性能が著しく優良であるかのように示す表示によって、一般消費者が新型コロナウイルスの研究用抗原検査キットの効果について著しく優良であると誤認し、ウイルスの感染予防について誤った対応をしてしまうことを防止する観点から、行政指導の対象となった事例の概要を公表したものです。

 また、抗体検査キットの販売事業者3社については、抗体検査が新型コロナウイルス感染によって産生される抗体の有無を判定する用途に用いられるものであって、使用することによって、現在、新型コロナウイルスに感染しているかどうかを判定できないにもかかわらず、抗体検査キットが、「このキットはIgM + IgGの複合検査により、早期、中期、後期の各期をカバーでき、各期の感染者を正確に発見できます。」や、「新型コロナウイルスに感染しており、現在感染活動期であると考えられます。IgG抗体を産生している可能性があります。」等の表示が行われていることについて、優良誤認の恐れがあるとしたものです。

 抗体検査抗原検査の違いについて、理解できていない人も多いでしょうし、コロナ禍で、感染の不安に乗じて、このような検査キットの販売は、購入した消費者の期待を裏切って損害を与えるだけでなく、検査結果が感染防止にはつながらず、かえって他の人たちへの感染のリスクを増やすかもしれないことから、このように消費者庁が行政指導を行ったことは評価できると思います。最近、大々的にテレビや電車内などでCMを行い、あちこちに検査所を拡大するなどしている民間PCR検査の事業者についても、その信頼度や検査主体などが広告での表示を見ても判然としないので、大変心配になります。

2021年3月24日 (水)

パズル雑誌の懸賞企画の商品発送遅れについての不当表示(景品表示法)

 消費者庁は、本日、株式会社晋遊舎(秋田県大仙市)に対して、同社の懸賞付きパズル雑誌「特盛!まちがいさがしフレンズ」などの懸賞企画についての表示に関して、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認、有利誤認)であるとして、措置命令を出しました。

 → 消費者庁公表資料

 これは対象雑誌の表紙や誌面において、賞品や賞金、当選者数、応募締め切り日などを表示していて、あたかも、懸賞企画に応募して当せんすれば、応募締切日から相当の期間内に誌面上に表示された数の当せん者に賞品等が提供されるかのように示す表示をしていたところ、実際には、当選者に賞品等を発送したのは、応募締め切り日から8カ月弱~3年10カ月後であったというものです。賞品等は7~8000点ということですね。新聞報道などによれば、社内調査の結果、商品等が送られていないことが発覚した後に発送したようです。

 本件では、この表示を、優良誤認および有利誤認の両方と認定しています。それぞれ対象商品表示を分けて認定していますが、どういう区別をしているかまでは、現時点で確認できてませんので、わかれば、付け加え(あるいは修正)いたします。

 これまでにも、雑誌等で表示されていた懸賞企画において、表示通りに実施されなかったというケース(表示されていた内容を下回る商品提供を行っていたもの)で、景品表示法違反の措置命令が出たものがあります。平成25年8月20日の秋田書店に対する措置命令、平成27年3月13日の竹書房に対する措置命令、平成27年12月8日のアイアに対する措置命令ですが、これらは、有利誤認単独の認定でした。

2021年3月14日 (日)

「大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年」(鴨志田祐美 LABO刊)

 鴨志田祐美弁護士の書かれた「大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年」を発行者のLABOさんからご恵贈いただいたので、早速読みました。大崎事件というのは、1979年に鹿児島県で男性が遺体となって発見され、その身内の数名が殺人、死体遺棄の犯人として逮捕、起訴され、有罪判決を受けて、服役したという事件で、服役した一人で中心人物とされた原口アヤ子さんが、服役後、えん罪であるとして再審の申立を重ねているものです(まだ続いてます。)。この事件の流れについては、本書の冒頭にある「大崎事件の概要」にわかりやすく書かれています。

 刑事裁判の専門家であれば、みな知っている再審事件である大崎事件です。しかし、再審手続とか、えん罪事件とかとなると、かえって、一般の方にはちょっと近寄りがたい印象があるかもしれません。全部で700ページくらいありますし。

 でも、読み始めると単に大崎事件の再審事件の記録というような固い話ではなく、鴨志田弁護士の半生記でもありますし、えん罪の判決がどのように作られ、それを再審手続で覆すことの大変さが平易な言葉で綴られています。

 優秀な厚労省官僚であったときに、虚偽公文書作成などで逮捕起訴され、後に無罪が確定した村木厚子さんが、この本の「推薦の辞」を書いておられ、これはAmazonのサイトで読むことができます。村木さんは、

「およそ700頁という本の分厚さに一瞬たじろいだものの、読み始めると一気に読み終えてしまった。ハラハラ、ドキドキ、そして泣いて、笑って、怒って。読み物としてとにかく面白いのだ。」、「頑なに再審の開始を阻もうとする検察や、再審に対する姿勢が裁判官によってまちまちの裁判所との闘いは、難しいゲームの攻略本のようにも読める。同時に、原口アヤ子と鴨志田祐美の「女の一代記」としても、この二人とともに闘う多くの強く心優しい人たちの人間ドラマとしても読める。」

と書かれていますが、私も全く同感です。

 一度、書店で、本書を手に取られて、最初の数頁の個所、つまり、「はしがき」(一部はAmazonに掲載されてます。)と「大崎事件の概要」を読んでもらうと興味を持たれる人も多いのではないかと思います。それに続く刑事裁判と再審に関する手続用語の基礎知識も一般の人向けにわかりやすく書かれています。はしがきの中で、鴨志田弁護士はこう書いています。

 「弁護士が自ら手がけている事件について書いたものなんて、きっと専門性の高い難解なものだろう、と思われるかもしれません。でも、どうか「食わず嫌い」にならずに読み始めてみてください。ここに書かれているのはすべて実話ですが、「ドラマ」とか「映画」とか「お芝居」と同じように楽しんでいただきたいと思います。」

 この本は、刑事裁判に関わる法律家(弁護士はもちろん、裁判官、検察官を含めてですが)はもちろんのこと、法律、裁判に興味をお持ちの一般の人、特に法律を学んでいる、あるいは、将来学ぼうとする若い人たちに是非読んでいただきたいですね。学生さんには刑事訴訟法の良い勉強にもなりますよ。

2021年3月11日 (木)

次亜塩素酸水商品の不当表示に対する措置命令(景品表示法)

昨日と本日、消費者庁は、次亜塩素酸水の販売事業者3社に対して、それぞれ、景品表示法に違反する不当表示(優良誤認)があったとして、措置命令を行っています。消費者庁は、コロナ禍の中で、コロナウイルス対策を標榜する商品の不当な表示について、監視を強めており、これまでにも各種商品について、措置命令や注意喚起などを行っています。

  → 消費者庁公表資料

対象となった次亜塩素酸水商品は、

  1. 株式会社OTOGINO(大分県日田市)が販売する「OX MIST」
  2. 株式会社マトフアー・ジヤパン(神戸市中央区)が販売する「微弱酸性次亜塩素酸水 アクアトロン🄬 MATFER JAPAN」
  3. 株式会社遊笑(福井県福井市)が販売する「コロバスター」

です。

今回、優良誤認とされたのは、商品の容器のラベルや自社webサイトにおける「有効塩素濃度に係る表示」「除菌効果に係る表示」の2つの点です。

まず、「有効塩素濃度に係る表示」については、3社は、それぞれ、対象商品の有効塩素濃度を記載していたのですが、実際には、対象商品の有効塩素濃度は表示を大幅に下回るものでした。

そして、「除菌効果に係る表示」については、

  1. 上記1では、対象商品を使用することで、対象商品の内容物に接した菌及びウイルスが瞬時に99.9パーセント除菌及び除去される効果があるかのように示す表示をしていた。
  2. 上記2では、対象商品を使用することで、対象商品の内容物に接した新型コロナウイルスを20秒で99.99パーセント不活性化する効果があるかのように示す表示をしていた。
  3. 上記3では、対象商品を使用することで、対象商品の内容物に接した菌が瞬時に99パーセント除菌される効果があるかのように示す表示をしていた。

というものでしたが、これらの表示について、消費者庁が、3社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、OTOGINO及びマトフアー・ジヤパンから資料が提出されたものの、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであり、遊笑からは資料が提出されなかったため、不実証広告制度(景品表示法7条2項)に基づいて、優良誤認表示であると認定されたものです。

2021年3月 9日 (火)

TOONMEとAI著作権

顔の画像をコミック化するというTOONMEというのを(PCでもスマホでもできます)やってみました。
顔写真を提供するので、そこは自己責任でお願いしますね。

ディズニー風やジブリ風になります。いろいろやってみて、ヒゲのある人の写真もやってみたところ、ヒゲは反映されないようですね。

それに、猫の顔の写真とか、いらすとやさんの顔のイラストとか、フエキくんの画像とかは、エラーになりました(笑)

で、私は、ジブリ風だと(左下の写真を変換してくれます)

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ディズニー風だと、皆さん寄り目気味になるようで

で、これは、何風かしりませんが(笑)

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お遊びとしてはとても面白いですね。ただ、こういった技術を法律面からみると、AIやロボットの創生物の著作権をどう考えればいいのか、という最先端の議論になるのですよね。

 

2021年3月 5日 (金)

デジタルプラットフォーム事業者規制の消費者保護法案、今国会提出へ

 本日は、消費者庁関連の重要な内閣提出法案2つが閣議決定されています。

 → 第204回国会(常会)提出法案


 ひとつは、特定商取引法預託法などを改正して、定期購入商法預託商法の規制を強化するものです。ただし、この改正法案には、合わせて、所定の書面の電子化の改正も含まれていますので、この点については、かえって消費者の保護に反するものであるとして反対の意見も大きいところです。


 もうひとつは、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案」で、新規立法になります。

 この新法の立法理由として、「情報通信技術の進展に伴い取引デジタルプラットフォームが国民の消費生活にとって重要な基盤となっていることに鑑み、取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売に係る取引の適正化及び紛争の解決の促進に関し取引デジタルプラットフォーム提供者の協力を確保するため取引デジタルプラットフォーム提供者による消費者の利益の保護に資する自主的な取組の促進、内閣総理大臣による取引デジタルプラットフォームの利用の停止等に係る要請及び消費者による販売業者等情報の開示の請求に係る措置並びに官民協議会の設置について定める必要がある。」としています。

 対象となる「取引デジタルプラットフォーム」とは、、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(昨年成立した巨大IT規制法などと略称されている法律です。)の第2条1項で定義されている「デジタルプラットフォーム」(※1)のうち、それにより提供される場が、ネット通販やネットオークションの機能を有するもの、とされています。

 概要としては、

  1. 取引デジタルプラットフォーム事業者に対して、以下の措置の実施などについての努力義務を定める。
    ① 販売業者と消費者との間の円滑な連絡を可能とする措置
    ② 販売条件等の表示に関し苦情の申出を受けた場合における必要な調査等の実施
    ③ 販売業者に対し必要に応じ身元確認のための情報提供を求める

  2. 内閣総理大臣は、危険商品等が出品され、かつ、販売業者が特定不能など個別法の執行が困難な場合、取引DPF提供者に出品削除等を要請することができる。

  3. 消費者が損害賠償請求等を行う場合に必要な範囲で販売業者の情報の開示を請求できる権利を創設する。

 などとなっています。

 なお、施行は、公布日から1年を超えない範囲内において政令で定める日、また、施行状況及び経済社会情勢の変化を勘案した施行後3年目途の見直しを規定しています。

※1 同法第2条1項

 この法律において「デジタルプラットフォーム」とは、多数の者が利用することを予定して電子計算機を用いた情報処理により構築した場であって、当該場において商品、役務又は権利(略)を提供しようとする者の当該商品等に係る情報を表示することを常態とするもの(次の各号のいずれかに掲げる関係を利用したものに限る。)を、多数の者にインターネットその他の高度情報通信ネットワーク(放送法(略)第二条第一号に規定する放送に用いられるものを除く。)を通じて提供する役務をいう。

 当該役務を利用して商品等を提供しようとする者(略)の増加に伴い、当該商品等の提供を受けようとする者(略)の便益が著しく増進され、これにより被提供者が増加し、その増加に伴い提供者の便益が著しく増進され、これにより提供者が更に増加する関係

 当該役務を利用する者(略)の増加に伴い、他の当該役務を利用する者の便益が著しく増進され、これにより当該役務を利用する者が更に増加するとともに、その増加に伴い提供者の便益も著しく増進され、これにより提供者も増加する関係

 

 

2021年3月 3日 (水)

アフィリエイト広告について消費者庁が続けて出しました。

 本当に久しぶりのブログ更新で恐縮です。

 さて、一昨日(3月1日)と本日(3月3日)、消費者庁が、アフィリエイト広告に関して、消費者安全法に基づく注意喚起と景品表示法に基づく措置命令を行っています。それぞれ、別業者です。

 アフィリエイト広告とは、ある広告媒体のウェブサイト(ブログなどを含みます)に設置された広告によってウェブサイトの閲覧者が広告主の商品等を購入し、生じた利益に応じて広告媒体に客引きの成功報酬を与える形態の広告です。いろんなサイトの横などにバナー広告があって、クリックするとその商品のページに飛ぶものがよくありますが、ああいったものですね。


 まず、3月1日に消費者安全法に基づく注意喚起がなされたのは、株式会社Libeiroが販売する化粧品「エゴイプセビライズ」と、株式会社シズカニューヨークが販売する医薬部外品「シズカゲル」についてのもので、この商品のアフィリエイト広告を見て、通信販売の化粧品を購入した消費者から、「シミが消えるなどと表示されていたので信じて購入したが、表示されていたような効果はなかった。」 といった相談が、各地の消費生活センターなどに数多く寄せられている、というもので、消費者庁は、消費者安全法に基づいて、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表して、消費者に注意を呼びかけました。

→ 消費者庁公表資料

 次に、本日(3月3日)の景品表示法違反不当表示に対する措置命令は、株式会社T.Sコーポレーションに対して、同社の育毛剤「BUBKA ZERO ブブカゼロ」に係る表示について、優良誤認表示と認められたものです。

 → 消費者庁公表資料

 詳しい表示内容は消費者庁の上記公表資料を見ていただきたいですが、

a 「『有名大学がマウス実験で実証』 医療関係者も勧める『90% がフサフサになった育毛剤』がヤバイ!」

b 「【新常識!薄毛の原因は●●だった】世界的な科学誌が推奨の毛 髪再生法 有名医科大のマウス実験で実証済!試した90%以上が ボリューム復活!?」

などと、あたかも、本件商品を使用するだけで、商品に含まれる成分の作用により、短期間で、外見上視認できるまでに薄毛の状態が改善されるほどの発毛効果が得られるかのように示す表示をしていたというものです。

 当ブログでも何度か書いていると思いますが、景品表示法の措置命令の対象となる事業者は、当該商品等を供給する事業者であって、広告代理店や広告媒体などは対象事業者とならないのですが、アフィリエイト広告の内容を供給事業者が決定しているような場合は、その供給事業者を対象とする措置命令が出されることになります。

(参考)「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(PDF)

 なお、2月17日に、公正取引委員会から、「デジタル・プラットフォーム事業者の取引慣行等に関する実態調査(デジタル広告分野)について(最終報告)」が公表されていますので、ご参考まで。

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