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2020年7月 8日 (水)

マンション管理組合と消費者安全法についてのメモ

昨日、マンション向けの製品の問題について、あるメディア関係者と話をする機会があり、いつものようにマンション管理組合(以下、管理組合)消費者法の適用についてご説明をし、また、私なりの考えを述べていました。そういった問題については、このブログで何度か書いており、最近では、以下の記事になります。

→ 「消費生活センター、マンション管理組合など昨日記事の補足」 (2019/10/6

 要するに、そのマンションが個人の居住用マンション(分譲)であっても、管理組合は団体だから、消費者安全法の対象にならない、というのはおかしいでしょ、という内容です。これは、景品表示法についても同じような議論で、管理組合向けのセールスが、消費者(個人)向けの表示とは解釈できないのか、という話になるかと思います。

 で、昨日のメディア関係者にも、そういう話をしていたので、さきほどちょっと考えてたら、ん?と思ったので、メモ書きするつもりで、この記事を書いています。なので、文章を整理する余裕がないので、箇条書きですみません。間違ってたりする点が多々あるかもしれません。法律家等各位のご指導がいただければ幸いです。


  •  管理組合が法人でない場合、管理組合が契約当事者になるとしても、共有部分に関して、物品を購入したり、何かの工事をして設備が付加されたりした場合、その物品や設備は管理組合が所有するのではなく、区分所有者個人の共有になる。
  •  だとすれば、管理組合が形式的に介在するとしても、消費者問題を考えるうえでは、区分所有者個人が契約当事者と考えてよいのではないか。
  •  消費者契約法特定商取引法の文言を厳しく解するかどうかは置いておいて、上記のブログ記事にも書いたように、消費者安全法、さらに景品表示法の対象を考えるうえでは、そのほうが法律の趣旨から考えても適当なのではないか。
  •  実際に、消費者安全法に基づいて設置されている消費者安全調査委員会は、平成26年7月18日に、居住用マンションの機械式立体駐車場で発生した事故に関する事故等原因調査報告書を公表している。


  •  もちろん、管理組合が設置工事の契約をした立体駐車場(管理組合法人所有であろうと、区分所有者個人共有であろうと)を除外するわけではなかろうし、利用者が消費者個人であるため当然。
  •  もっとも、この消費者安全調査委員会の調査は、消費者安全法「生命身体事故等」を対象とするものであり、財産的被害(同法の「多数消費者財産被害事態」)は対象とはなっていない(ですよね)。
  •  「消費者事故等」の定義の同法2条5項3号は「虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であって、政令で定めるものが事業者により行われた事態 」である。
  •  消費者安全法施行令3条には、政令で定める行為の1号として「商品等又は役務について、虚偽の又は誇大な広告又は表示をすること。」とする。2号以下は、消費者契約に関するものであることが明記されているが、1号には、その限定文言がない。
  •  同法2条8項は、「多数消費者財産被害事態」の定義として、2条5項3号の事態のうち、「同号に定める行為に係る取引であって次の各号のいずれかに該当するものが事業者により行われることにより、多数の消費者の財産に被害を生じ、又は生じさせるおそれのあるものをいう」とし、1号が、「消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引であって、事業者が消費者に対して示す商品、役務、権利その他の取引の対象となるものの内容又は取引条件が実際のものと著しく異なるもの」、2号が「前号に掲げる取引のほか、消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引であって、政令で定めるもの」である(2号は未指定ですかね?)。
  •  すなわち、「多数消費者財産被害事態」とは、「商品等又は役務について、虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であって」、「商品等又は役務について、虚偽の又は誇大な広告又は表示をする」行為のうち、「消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引であって、事業者が消費者に対して示す商品、役務、権利その他の取引の対象となるものの内容又は取引条件が実際のものと著しく異なるものに該当する」行為が「事業者により行われることにより、多数の消費者の財産に被害を生じ、又は生じさせるおそれのあるもの」ということになる。
  •  「消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引」というのは、文言からしても、厳密にその「取引」にかかる契約の当事者が個人かどうかによるものである必要はない。
  •  とすれば、「多数の消費者の財産に被害(おそれを含む)を生じ」れば、対象となることとなる。実際に購入したマンションが複数あり、かつ、広く広告宣伝を繰り広げているというような事情があるのであれば、この多数要件は満たすのではないか。
  •  したがって、生命身体には影響を及ぼさないが、財産的被害が生じる物品をマンションに売りつける行為、たとえば、この装置を取り付ければ節電効果が高く、購入代金は数年で元が取れる、というセールストークで高価な節電器(照明器具でも、空調装置でも、通信設備でも、配管工事でもいい。)を売りつける行為を続けている業者がいたとすれば、個人である区分所有者もしくは居住者の財産的被害につながるのであるから、管理組合が契約当事者であったとしても、消費者安全法の規定(40条4項勧告、5項命令、38条1、3項公表等)による対応は可能ではないか。
  •  そして、景品表示法における消費者向けの表示というのも同様に考えればいいのではないか。

 なお、蛇足ですが(前にも書いたような気もします)、区分所有者ではなくて、ライバル(競業)業者が、不正競争防止法に基づいて、差止とか損害賠償を求めるような場合は、この議論は不要なんで、悪い業者が虚偽の広告で管理組合と契約をするため、自社の営業に影響がある、というまともな業者さんが闘おうという話があればよろしいんですが。

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