コロプラの不正課金によるランキング上昇行為に関する調査報告
オンラインゲーム事業者の株式会社コロプラ(東京都渋谷区)が、本年6月21日付謝罪文「当社従業員による不適切な取引について」の中で、同社従業員2名がセールスランキングの操作を目的として、同社のゲーム「最果てのバベル」に関して、同社の費用850万円で課金することを取引先に依頼し、取引先が課金を実施した疑いが判明した、と公表しました。
これについて、同社は特別調査委員会を設置して、調査を行い、本年8月13日、その調査報告書(公表版)が公表されました。概ね上記内容の課金実施の事実があったということですが、詳しくは調査報告書をご覧下さい。同時に役員らの処分も公表されています。
なお、景品表示法関連について、調査報告書では、この不正課金により一定程度セールスランキングは押し上げられたものと推察される、としたうえで(調査報告書17頁)、ランキングの順位(公表版では黒塗り)、上昇の程度が不明、App Store上ではセールスランキングが表示されない、などの事情から、実際より「著しく優良」といえるほどの誤認表示をしたと評価するには相当の躊躇を憶える、との表現がされています。ただし、「しかしながら、本件課金は、これが行われたことを知らない一般消費者に対し、本件タイトルが実際よりも好評なものと誤認させることになり得る点は否定できず、景品表示法が優良誤認表示を禁止する趣旨に悖るものであることは否定できない。」としています(同20~21頁)。
こういった不正行為によるランキングの上昇については、口コミサイトなどでのステルスマーケティング(ステマ)などで問題となってきたところで、当ブログでも何度も取り扱ってきました。そのうち、いくつかを下にリンクしておきます。
→ 「やらせ業者によるグルメサイト「食べログ」投稿」 (2012/1/5)
→ 「「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の改定(消費者庁)」 (2012/5/9)
→ 「ステマ口コミ投稿に対する損害賠償請求訴訟(米Amazon社)」 (2015/10/20)
→ 「第三者の比較サイトと見せかけた広告などが不当表示とされた事案(ステマ)」 (2017/11/2)
→ 「自社開設を隠した口コミサイトの操作が誤認惹起行為とされた判決(不競法)」 (2019/4/12)
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