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2019年4月12日 (金)

自社開設を隠した口コミサイトの操作が誤認惹起行為とされた判決(不競法)

 昨日(4/11)、大手リフォーム会社オンテックス(大阪市)が開設した口コミサイトで同社が「ランキング1位」と不正に表示したとして、大阪市内の同業者が損害賠償を求めた裁判で、大阪地裁はオンテックスに8万円の損害賠償の支払を命ずる判決を言い渡したことが報道されています。認容された8万円は、弁護士費用の一部とのことのようで、判決文を読んでませんので想像ですが、不正な表示と因果関係のある実損害額の立証が難しかったのかもしれません。

 この口コミサイトについて、オンテックスは、自社が開設したサイトであることを隠して、架空の投稿をするなどの操作をして、自社をランキング1位と表示していた、とのことで、これが、不正競争防止法の禁止する「品質等誤認惹起行為」にあたるとしたもののようです。「品質等誤認惹起行為」は、よく原産地偽装などのケースで使われるものですが、条文的には現時点では不正競争防止法2条1項14号なのですが、昨年の法改正により、いろいろと前に詰め込まれたため、今年7月以降は、2条1項20号となります。これまでも、この条項の前の営業秘密などの条項が挿入されて、どんどん番号がずれていくので、判決や文献を読んだりするときに、ややこしいです。

 口コミサイトを自社で開設しておいて、それを隠したうえで、その自社のランキングをあげるという一種のステマ事案については、一昨年(2017年)に、不正競争防止法ではなく、景品表示法違反(優良誤認表示)ということで、消費者庁措置命令を出したものがあります。これについては、当時、当ブログでも扱っています。

 → 「第三者の比較サイトと見せかけた広告などが不当表示とされた事案(ステマ)」 (2017/11/2)

 この措置命令の対象の1社に対しては、2018年6月に消費者庁から課徴金約5000万円の納付命令が出されています。

 不正競争防止法の場合、不正行為者に対して損害賠償や差止を請求できるのは、昨日の判決のような競争事業者であって、それによって被害を被った一般消費者は原告とはなれません。景品表示法であれば、適格消費者団体による差止請求が可能であり、不正競争防止法の場合も、事業者団体や消費者団体による請求を認めるべきという議論はかなり昔からあるのですが、今のところ動きはありません。

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