「不貞慰謝料の算定事例集ー判例分析に基づく客観的な相場観ー」(新日本法規出版)
不貞、つまり浮気(ちょっとニュアンスが違うかな)に関する慰謝料の請求の事件というのは、世の中には結構あり、我々弁護士が取り扱うことは珍しくありませんし、私もこれまで結構な数の事案を扱ってきました。
こういった事案についての、慰謝料金額に関する法律実務の本としては、最近でも、LABO刊の 「判例による不貞慰謝料請求の実務」(中里和伸 ・著) とその姉妹本である 「判例による不貞慰謝料請求の実務 主張・立証編」(中里和伸 野口英一郎・著) があり、私も両書籍を当ブログでご紹介しましたので、内容については、こちらをご覧ください。この手の法律実務書にしては、よく売れていると聞きます。
→ 「書籍の紹介:「判例による不貞慰謝料請求の実務」(中里和伸著)」(2015/8/ 5)
→ 「「判例による不貞慰謝料請求の実務〔主張・立証編〕」(LABO刊)」(2017/3/3)
不貞関連のケースについての裁判や調停、交渉などの仕事の中で、実際にこれらの本の関係個所を引用して裁判で主張するなどして、活用させてもらっています。
さて、このほど、同様の書籍が新日本法規出版から出版されました。新日本法規出版さんからご恵贈いただき、ざっと読ませていただきましたのでご紹介します。
「不貞慰謝料の算定事例集ー判例分析に基づく客観的な相場観ー」 (久保田有子・著)です。大阪の弁護士さんたちの共著のようですね。
冒頭にあげたLABO版の本2冊は、どちらも裁判例の集積を体系的に整理したり、実際の裁判での主張や立証活動を念頭に置いて解説されています。
一方、今回の新日本法規版も、多くの裁判例を分析したものであることは同様ですが、ケース毎の事例紹介に重点が置かれていて、冒頭に「状況別慰謝料索引」として、裁判において、不貞の被害を主張する原告が被告に対して不貞慰謝料を請求した裁判例を分析して、状況別に分類したものが置かれています。そして、それぞれの裁判例を順次紹介するという形になっています。
両者それぞれ特徴があり、どちらがいいとかいうものではありませんが、損害賠償請求の法律上の体系的な整理や訴訟手続実務に関連して参照したい場合は、前者のLABO版を、具体的な事案をわかりやすく整理されたものを参照したい場合には後者の新日本法規版が適しているのではないかな、と思いました。もひとつ、LABO版がA5版の大きさであるのに対して、新日本法規版はB5版で一回り大きくなっており、本文や索引などの文字も大きくなっていますので、我々おじさんたちが、ナントカ・ルーペがなくても見やすいという点はいいですね。その分、置く場所は要りますが。
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