電子商取引及び情報材取引等に関する準則の改訂(経産省)
本日、経済産業省が、 「電子商取引及び情報材取引等に関する準則」につき、AIやブロックチェーン等最新技術が取引環境にもたらす変化等を踏まえた改訂を公表しています。
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」は、電子商取引や情報財取引等に関する様々な法的問題点について、民法をはじめ、関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにすることにより、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的として、平成14年3月に策定されたもので、毎年のように改訂がなされています(前回改訂は、平成29年6月)。
今回の改訂内容は以下の通りです。
1.取引環境の変化に応じた改訂を要する論点
Ⅰ-10
AI スピーカーを利用した電子商取引(新規)
電子商取引の分野においても、AI やブロックチェーンを初めとする新たな技術を活用したサービスが登場・普及しつつある。こうした新たなサービスの利活用の促進、未然の紛争防止等を目的に、準則においても先進的なサービスを巡る法的論点を取り上げることとし、本論点では、いわゆる AIスピーカー(スマートスピーカー)を対象に、サービス事業者の責任について解説している。
Ⅰ-10-1
AIスピーカーが音声を誤認識した場合(新規)
AI スピーカーが発注者の発言がないのに誤って音声を認識し、発注処理をした場合、ユーザにどのような救済が与えられるかを整理している。
Ⅰ-10-2
AIスピーカーに対して発注者が言い間違いをした場合(新規)
発注者が AI スピーカーで音声発注をしようとして、うっかり言い間違えをしてしまったため、発注者の意図と異なる物品が発注された場合に、発注者にどのような救済が与えられるのかを整理している。
Ⅲ-14
ブロックチェーン技術を用いた価値移転(新規)
ブロックチェーン上で管理される財産的価値(トークンや仮想通貨等)の移転を約する契約(例:ビットコインによる商品・サービスの購入など)において、相手方が契約違反をした場合、当該財産的価値の移転を内容とする請求が可能かについて解説している。
Ⅳ-7
国境を越えた取引に関する製品安全関係法の適用範囲(新規)
公法規制の国境を越えた取引における適用は、今日の電子商取引・情報財取引における大きな課題となっていることを踏まえ、製品安全関係法(消費生活用製品安全法、電気用品安全法、ガス事業法、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律)が海外の事業者に適用される場合がある場合について解説している。
2.特定商取引法施行規則改正に伴う改訂
Ⅰ-2-4
自動継続条項と消費者契約法第 10 条等
Ⅱ-4-2
特定商取引法による通信販売に係る広告規制
3.論点の削除
Ⅰ-1-3
インターネット通販における分かりやすい申込画面の設定義務
(消費者庁のガイドラインを参照しているのみであるため、削除)
4.その他
Ⅰ-1-2
自動継続条項と消費者契約法第 10 条等
(消費者庁のガイドラインへの参照を追記)
Ⅰ-7-1
ユーザー間取引に関するサービス運営事業者の責任
(ユーザー間取引にフリマサービスを含むことを明確化)
Ⅱ-6
インターネット上への商品情報の掲示と商標権侵害
(ユーザー間取引にフリマサービスを含むことを明確化)
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