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2018年6月 5日 (火)

「八ツ橋」老舗の創業年表示についての訴訟(不正競争防止法)

 昨日、京都銘菓「八つ橋」の老舗である井筒八ッ橋本舗が、別の老舗聖護院八ッ橋総本店の「創業元禄二年」との表示が虚偽であるとして、不正競争防止法に基づき記載の差し止めと600万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こした、と報じられています。

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 報道によれば、井筒八ッ橋本舗は文化2年(1805年)に創業しているが、聖護院八ッ橋総本店の元禄2年(1689年)創業には根拠がないと主張されているようです。

 

 

 

 不正競争防止法という法律は、各種の不正競争行為を禁止する規定がおかれていて、コピー商品であるとか、営業秘密不正取得であるとか、営業誹謗行為であるとか、いろんな行為を禁止しているのですが、今回は、同法2条1項14号(追記:現在は20号)の誤認表示行為が問題となるものと思われます。

 

【不正競争防止法2条1項14号〔追記:現在は20号〕】   
 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為

 

 こういった行為につき、競争事業者は、当該行為の中止を求めたり(差止)、損害賠償の請求ができます。また、不正の目的で行った場合には、罰則が科されることもあります。

 

 なお、今回同様、和菓子の製造販売事業者の間で、この不正競争行為が問題となった事例(大阪高裁平成19年10月25日判決・判例タイムズ1259号311頁)があります。これは、「元祖」表示についてです。もう10年以上前ですが、当ブログにも書いていましたので、ご紹介しておきます。さて、本件と比べていかがでしょうか。
(※ この記事中の条文番号等は当時のもので、旧13号→現14号、旧14号→現15号となっていますので、お読み替えください。〔追記:その後20号、21号になっています。〕)

 → 「「元祖」表示が品質表示か?の判決(不正競争)」 (2007/10/30)

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 もっとも、私の子供の頃の八ツ橋は、昔からの焼き八ツ橋だったのですが、今の人は八ツ橋といえば、生八ツ橋のことを考える人が多くなったのではないでしょうか。生八ツ橋を大々的に売り出して、今のようにメジャーにしたのは「おたべ」(株式会社美十)ですね。

 

 

 

【追記】(2020/6/10)

 本日、京都地裁で、原告の請求を棄却する判決が出ましたので、新記事を書きました。

 → 「「八ッ橋」の創業年表示をめぐる訴訟の判決」

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