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2018年2月20日 (火)

スポーツ界の契約実態についてのヒアリング・アンケート結果(公取委)

 前回(本日朝)の「芸能界の契約実態についてのヒアリング・アンケート結果(公取委)」に引き続き、公正取引委員会「人材と競争政策に関する検討会」報告書に関連して、スポーツ選手関連の調査結果をご紹介します(詳しくは、前回の記事および前々回「「人材と競争政策に関する検討会」(公取委)報告書の公表」をご覧ください。)。

 前回同様に、これらの事項は公正取引委員会が違法とか違法のおそれを認定したということではありませんので、ご注意ください。

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 なお、この報告書の公表に関連して、昨日、日本ラグビー協会が、トップリーグの移籍に関する規約改定を発表しています。前所属チームの承諾書がないと移籍選手は一定期間公式戦に出場できなかったルールを廃止し、新たにチーム、選手双方に対して接触や交渉時の期間制限、懲罰規定を設けたというもので、次のシーズンから適用されるとのことです。これに関しては、公取委が調査をしていることについて当ブログでも昨年取り上げました。

→ 「「ラグビー トップリーグの移籍制限 公正取引委員会が調査」との報道(独禁法)」
                          
(2017/7/16) 

 ヒアリングやwebアンケートで寄せられたスポーツ関係の意見等は以下のとおり。どのスポーツかの記載はありませんが、わかる人にはわかるかもしれませんね。

  •  規約において、新人等一定の立場にある選手については、報酬額の上限を設けている。

  •  規約において、選手がマネージャーに支払うマネージメント料の上限(選手が得る賞金等に乗ずる割合の上限)が決められている(ほとんどの場合に当該上限額のマネージメント料が徴収されている。)。

  •  スポーツ選手と加盟団体との契約期間について、規約上、上限が決められている。

  •  クラブチームの承諾の無い移籍の場合は、規約上、当該選手に対し、一定期間試合に出場できないなどのペナルティが課されている。また、クラブチームの中には、契約期間が満了しているにもかかわらず、育成コストの回収を念頭に、選手に対する移籍交渉を拒否するクラブもある。

  •  選手が二重契約をして、過度な試合数が組まれ、選手の身体的安全が損なわれることを避けるため、規約上、選手がクラブチームを移籍する場合は、所属元から移籍承諾書をもらい、管轄団体に提出することになっている。

  •  選手育成のインセンティブを確保するため(指導者がどんなに良い選手を育てても単に引き抜かれるだけの環境だと、選手を育てるインセンティブが失われ、競技自体の衰退を招いてしまうため)、規約上、契約期間満了後においても、一定の条件に該当する移籍の場合は、移籍先のクラブチームは移籍元のクラブチームに対し、一定額の育成費用を支払うことになっている。

  •  クラブチームと選手間の契約の安定性を図るため、規約上、正当な理由による契約解除の場合を除き、契約期間中における選手の移籍については、当該選手及び移籍先クラブチームが連帯して所属元クラブチームに対して賠償金(移籍金)を支払うことになっている。

  •  下位リーグから上位リーグに移籍する場合は、育成費のコストを補填する趣旨で、規約上、上位リーグのクラブチームから下位リーグのクラブチームに一定金額を支払うことになっている。

  •  選手育成のインセンティブとして、クラブチームに、契約期間が満了する所属選手との優先契約交渉権が認められており、当該クラブチームが契約交渉をしない意思を表明しない限り、その他のクラブチームは当該選手との契約交渉を行うことができない。

  •  選手に支払うべき報酬が、当該選手の出場する試合のチケットなどの現物で支払われることがある。

  •  スポーツ選手が試合等に出場するためには、当該スポーツの管轄団体に加盟するか、管轄団体に加盟している事務所、クラブチーム等の加盟団体に所属する必要がある。管轄団体や加盟団体に所属するスポーツ選手は、管轄団体が定める規約等に従う必要があり、これに従わなかったスポーツ選手に対しては一定のペナルティが課されることになっている。

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