医療広告ガイドライン案が承認される(厚生労働省検討会)
「医療に関する広告」(医業、歯科医業、病院、診療所に関する広告)については、医療法により制限されています。しかし、従前、webサイト(ホームページなど)については、原則として、法律上の規制対象とはなっていませんでした(業界の自主取組や行政指導の対象)。
しかし、特に美容医療(美容整形)に関する相談件数が増加するなど、問題が指摘され、消費者委員会からも、医療機関のwebサイトに対する法的規制が必要である旨の建議がなされ、昨年(平成29年)、医療法の改正により、他の広告媒体と同様に規制の対象とし、虚偽又は誇大等の表示を禁止し、是正命令や罰則等の対象とすることとされました。
なお、今回の改正は、美容医療における行き過ぎた広告の問題がきっかけとなっていますが、規制対象は美容医療だけでなく、全ての医療機関に関する広告全般が対象となっていますので、医師、歯科医、病院等の関係者は、webサイトやブログなどでの表現について改めてチェックしておく必要があります。また、医療法だけではなく、景品表示法、医薬品医療機器等法(旧・薬事法)、健康増進法、不正競争防止法などの他の広告・表示の規定が適用されていることも要注意です。
この医療法改正に伴って、省令、ガイドラインの内容を検討してきた厚生労働省の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(1月24日開催)で、省令案、医療広告ガイドライン案(仮称「医療若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針」)が先日、承認されています。このまま正式決定を経て、本年6月1日から施行される予定になっています。
改正医療法は、その6条の5第1項において、何人も、医業、歯科医業、病院、診療所に関して、文書その他いかなる方法によるを問わず、広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示(以下、単に「広告」)をする場合には、虚偽の広告をしてはならない、として虚偽広告を禁止しています(従前も虚偽広告自体は禁止されていました。)。
そして、さらに同条2項において、医療を受ける者による医療に関する適切な選択を阻害しないように、広告の内容及び方法の基準が定められています。
それは、
- 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告をしないこと。
- 誇大な広告をしないこと。
- 公の秩序又は善良の風俗に反する内容の広告をしないこと。
- その他医療に関する適切な選択に関し必要な基準として厚生労働省令で定める基準
となっており、比較広告、誇大広告、公序良俗に反する広告を禁止しています。4番目の省令で定める基準について、上記の検討会の省令案では、
- 患者その他の者の主観又は伝聞に基づく体験談の広告をしてはならないことはならないこと
- 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告をしてはならないこと
とされていて、個人体験談による広告の禁止及びいわゆるビフォーアフター広告の禁止が規定されています。
医療広告ガイドライン案のほうは、さらに具体的に詳しく書かれており、実務的には興味深いところですが、長くなりますので、改めて別の記事にしたいと思います。
【追記】(2/6)
昨年の医療法改正については、当ブログで書いていますので、興味のある方はご覧下さい。
→ 「医療機関の広告規制強化(医療法改正)」 (2017/6/14)
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