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2018年2月20日 (火)

芸能界の契約実態についてのヒアリング・アンケート結果(公取委)

 前回取り上げました「「人材と競争政策に関する検討会」(公取委)報告書の公表」ですが、この検討会の基礎資料とするために公正取引委員会事務局が、フリーランス、スポーツ、芸能といった各業界の事業者団体、事業者、個人、有識者など幅広くヒアリングを行い(合計91者)、また、フリーランス、スポーツ選手、芸能人などを対象に、webサイト上でアンケートを実施し、549件の回答を得ています。

 この結果については、「人材獲得競争に係る実態ヒアリング及びフリーランス等に関するウェブアンケートの結果」としてまとめられており、公正取引委員会競争政策研究センター(CPRC)の検討会ページに公表されています(「人材と競争政策に関する検討会」の「報告書」欄の「・別紙3(事務局ヒアリング及びアンケート結果)」からPDFファイルがリンクされています。

 今回は、この調査結果の中から、芸能人に関するところを抜粋してご紹介したいと思います。スポーツ選手関係は、またまとめたいと思います。

 なお、これらの事項は、公正取引委員会が違法とか違法のおそれを認定したということではありません。ただ、調査結果のとりまとめで、これらの事項を掲げているということは、少なくとも違法のおそれがあるかもしれない、ということで抽出されていることは推測できると思います。
 そして、この調査結果などを踏まえて、前回ご紹介の報告書ができていますので、公正取引委員会が今後どういう形で、関与していくか、について期待したいところです。

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 すぐにどうこうはないかもしれませんが、公正取引委員会から事情聴取もされた音楽芸能プロダクションの事業者団体である日本音楽事業者協会(音事協)が、芸能プロダクションと芸能人との契約のひな型の変更を行うとの報道もなされています。

 ヒアリングやwebアンケートで寄せられた芸能関係の意見は以下のとおり。

  •  多額の報酬を示唆することに基づく芸能人の引き抜きは行わない旨の共通認識があり、実際、芸能事務所間の芸能人の引き抜きは盛んではない。

  •  業界団体において、製作者が、出演交渉の相手方を固定化して、製作者が交渉相手を頻繁に変えなくてはならない事態にならないようにするため、芸能事務所が他の芸能事務所に対して引き抜きを行わないよう指導している(ただし、芸能人が自らの意思で移籍をすることは禁止していない。)。

  •  契約満了時に芸能人が契約更新を拒否する場合でも、芸能事務所のみの判断により、契約を一度更新できることが契約上規定されており、また、芸能事務所の判断で当該規定が実施される場合がある。

  •  楽器や移動車等の多くの経費が必要な芸能人や、アイドルのようにスカウト~育成~宣伝費等,発掘から売れるようになるまで経費が莫大にかかる芸能人については、多大なコストがかかることから、芸能事務所は、その投資回収が済むまでの間、所属芸能人の移籍を認めないことがある。また、デビュー前の所属芸能人との間で、退所から一定期間は他の芸能事務所に所属できない旨を盛り込んだ契約を締結することがある。

  •  ある芸能事務所は、契約を更新しない意思表示をした芸能人に対し、これを翻意させるため、契約期間中であるにもかかわらず、報酬の支払を遅延したり、当該芸能人の業務を受託しない場合がある。

  •  ある芸能事務所は、契約期間満了に伴い芸能事務所を移籍しようとした芸能人が移籍できないようにするため、当該芸能人が移籍しようとした芸能事務所に対し圧力をかける、芸名を使用させない、芸能人としてのブランドイメージを損なわせる虚偽情報を流布する等により移籍を妨害している。

  •  ある芸能事務所は、所属芸能人に対する移籍への萎縮効果を目的として、業務委託契約に伴い離籍した芸能人に関する悪評を流布し、当該芸能人と製作者等との間の契約成立を妨害した。

  •  ある芸能事務所は、契約期間中にある芸能人と契約期間延長交渉時に、実績を踏まえ報酬額アップを交渉されても、育成投資コストの回収が終わっていないことを理由に協議に充分応じなかった。

  •  芸能人は、通常、芸能活動を行うに当たり、芸能事務所との間で「芸能人は専属芸術家業務を行うこと」及び「芸能事務所はプロダクション業務を行うこと」を内容とする契約を締結している。芸能事務所の事業者団体は、契約書の雛形を作成し、加盟する芸能事務所に対して、当該契約書の使用を推奨している。契約書の雛型には、契約満了時に芸能人が契約更新を拒否する場合でも、芸能事務所のみの判断により、契約を一度更新できることが規定されている。

  •  芸能事務所の提示する条件に応じず移籍を求めた場合には、芸能事務所とトラブルを生じたといったネガティブな印象が業界に広がり(場合によっては、芸能事務所がそのような情報を流布し)、テレビ局などが仕事を発注しなくなり、芸能活動が困難となるため、提示された条件で契約せざるを得ない。

  •  日本では、素人の新人を芸能人として育成するために、人材育成投資費用(レッスン代、オーディション代、衣食住等に係る費用)を芸能事務所が負担していることがあり、また、投資・育成期間は長期間になることがある。かかる費用の回収を図るために、芸能事務所が芸能人の移籍や独立を容易には認めない場合がある。

  •  芸能事務所の中には、芸能人の育成投資費用について、芸能人個々人ではなく、所属芸能人全体で計算していることがあり、いわゆる「売れっ子」の芸能人の売上げを、まだ育成期間中にある他の所属芸能人の費用や、売れていない・売れなかった所属芸能人に対する投資の回収に充てている。

  •  (取引条件等についてやむを得ず同意したのは)伝統的な慣習が大半のため。

  •  キャンセルになった仕事の分を自分で新しく探さねばならず、ひと月強ほど、収入が減少した。

  •  言われたことに納得がいかず、反発したり断ったりすると「仕事なくなるよ」等の脅迫的言辞を幾度となく言われたことがある。実際そうなると思ったし、業界丸ごとそうなっているのは事実であるから仕方なく従わざるを得ない。

  •  契約書などの書面を作成すると言っておきながら、それを数ヶ月にわたって放置される。また、書面が存在しないため、実質の責任が相手に発生しない。

  •  芸能人は、通常、芸能活動を行うに当たり、芸能事務所との間で「芸能人は専属芸術家業務を行うこと」及び「芸能事務所はプロダクション業務を行うこと」を内容とする契約を締結している。芸能事務所の事業者団体は、契約書の雛形を作成し、加盟する芸能事務所に対して、当該契約書の使用を推奨している。契約書の雛型には、契約満了時に芸能人が契約更新を拒否する場合でも、芸能事務所のみの判断により、契約を一度更新できることが規定されている。

  •  芸能事務所の提示する条件に応じず移籍を求めた場合には、芸能事務所とトラブルを生じたといったネガティブな印象が業界に広がり(場合によっては、芸能事務所がそのような情報を流布し)、テレビ局などが仕事を発注しなくなり、芸能活動が困難となるため、提示された条件で契約せざるを得ない。

  •  日本では、素人の新人を芸能人として育成するために、人材育成投資費用(レッスン代,オーディション代、衣食住等に係る費用)を芸能事務所が負担していることがあり、また、投資・育成期間は長期間になることがある。かかる費用の回収を図るために、芸能事務所が芸能人の移籍や独立を容易には認めない場合がある。

  •  芸能事務所の中には、芸能人の育成投資費用について、芸能人個々人ではなく、所属芸能人全体で計算していることがあり、いわゆる「売れっ子」の芸能人の売上げを、まだ育成期間中にある他の所属芸能人の費用や、売れていない・売れなかった所属芸能人に対する投資の回収に充てている。

  •  (取引条件等についてやむを得ず同意したのは)伝統的な慣習が大半のため。

  •  キャンセルになった仕事の分を自分で新しく探さねばならず、ひと月強ほど、収入が減少した。

  •  言われたことに納得がいかず、反発したり断ったりすると「仕事なくなるよ」等の脅迫的言辞を幾度となく言われたことがある。実際そうなると思ったし、業界丸ごとそうなっているのは事実であるから仕方なく従わざるを得ない。

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