「履くだけで痩せる」レギンスの不当表示(消費者庁)
昨日(12/14)、消費者庁は、株式会社SAKLIKIT(サクライキ・大阪市中央区)に対し、同社が販売する「CC+ DOWN LEGGINGS(シーシープラス ダウンレギンス)」と称する下着に係る表示について、景品表示法違反の不当表示(優良誤認)に該当するとして、措置命令を行いました。消費者庁と公正取引委員会の調査の結果を踏まえたものです。
健康食品などで多い「痩身効果」の表示ですが、本件は健康食品ではなく、レギンス(下着衣料)です。今回は景品表示法に基づく措置命令ですが、後記の通り、薬機法(旧・薬事法)の問題もあると思います。
→ 消費者庁公表資料 (PDF)
本件は、対象商品「CC+ DOWN LEGGINGS」について、自社のスマートフォンサイトなどに、例えば、
「何もしなくても24時間絶食状態!! 異常なスピードで体重が落ちる!! その威力はたった3日で-5kg減量! 7日後・・・-10kg 10日後・・・-14kg 21日後には下半身だけじゃない!? 全身の脂肪が痩せていく!! ↓↓↓」と記載するとともに、人の身体を比較した画像を掲載した上で「78kg⇒56kg!! 体重-22kg減!!」と記載
「ただレギンスを履くだけで・・・ [1]ミクロ単位の骨盤矯正 ↓↓↓ [2]強制循環呼吸法 ↓↓↓ [3]脂肪の無限∞燃焼 ↓↓↓ [4]毒素の大量排出 この4stepで 365日・・・ 脱ぎ捨てるまで痩身スパイラルが止まらない」と記載
「14日以内に全身の脂肪を削ぎ落とす!! ≫14日間着用≪」と記載するとともに人の腹部を比較した画像を掲載した上で「体重64kg⇒43kg 体重-21kg減 体脂肪率⇒驚異の9%」と記載
- 「体型が激変した体験者は 既に300名を超えています」と記載した上で「◎最低体重記録を更新しました!柴田茜様(29歳)3週間着用」と記載するとともに人の身体を比較した画像を掲載した上で「61kg⇒43kg ≫-18kg≪ 出産を期に15kg太ってしまいました。5年くらい何をしても全く落ちなかったのに・・・・CC+ダウンレギンスを履き始めたら、ここ数年の最低体重記録を更新しました。」と記載
することにより、あたかも、着用するだけで、短期間で容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていました。
しかし、消費者庁が同社に対して、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社は、当該期間内に資料を提出しなかった、というものです(不実証広告)。
本件のレギンスのように人体に密着して使用し、その人体に対する効能効果を宣伝する場合、これが医療機器と見られる可能性があります。医療機器としての認定を受けておれば、効能効果が認められる範囲でそれを宣伝文句に使うことは許されますが、そうでなければ、仮にそのような効能効果があったとしても、それを宣伝に使うことは薬機法に違反します。
本件の商品は、特に医療機器としての認定を受けてないと思われますので、上記のような宣伝が薬機法の違反行為とならないか、という疑いがあります。
もっとも、健康食品にせよ、未認定医療機器にせよ、単なるダイエットとか痩身などの表現が、必ずしも薬機法上の違法に直ちに結びつくものではありませんが、腹回りなど特定部位の痩身であるとか、「体内の脂肪等の分解、排泄」、「体内組織、細胞等の機能の活性化」、「宿便の排泄、整腸」、「体質改善」などと結びつくと薬機法違反となるものとされています。
すると、上記の同社サイトの表示では、単なる代謝を超えた体重減少を強調しているうえ、「全身の脂肪が痩せていく」、「レギンスをはくだけで、骨盤修正、強制循環呼吸法、脂肪の無限燃焼、毒素の大量排出」、「全身の脂肪を削ぎ落とす」などの表現を行っており、薬機法に違反する効能効果による広告ではないか、と私は思います。
なお、本件商品と同様の下着などには、医療機器の認定を受けたうえで、「弾性ストッキング」などとして販売している例があるようです。
また、こういった加圧式の下着(レギンス、スパッツ、ストッキング、タイツなど)はいろいろと出ており、私もランニングの時に履くスポーツ用タイツなどの商品が各社から販売されています。こういったものについて、衣服圧が高いことにより、脚などに悪影響を与える場合について、2011年に国民生活センターが報告書を出しています(報告書本体は次のリンク先からPDFにリンクしています。)。
【追記】 (2018/10/6)
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