「経口補水液」の広告・表示に関する消費者庁要請
昨日付(8/31)で、消費者庁食品表示企画課長から、自治体の衛生担当部局宛に、 「特別用途食品と誤認されるおそれのある表示について(周知)」という事務連絡が出ていました。
→ 消費者庁公表資料 (PDF)
要するに、最近の猛暑の中、電解質組成を調整した清涼飲料水について、 「経口補水液」という名前と共に、広告・表示に、「脱水時」、「熱中症対策」等と記載して、脱水症状を起こしている人を対象とした病者用食品であるかのように表示している事例が散見されるけれども、このような表示は、病者などの健康の保持・回復等の特別な用途を食品に表示する場合は、内閣総理大臣の許可を受けなければならないとする健康増進法26条1項に違反するおそれがある、というものです。
さらに、このような表示の清涼飲料水の中には、脱水時等に経口補水療法を行う際に用いられる組成を参考として、強制的に体内に水分及び電解質が吸収されるよう調製されているものがあるが、特に、ナトリウムが多く含まれている製品については、脱水でない状態で大量に摂取した場合、ナトリウムの過剰摂取につながる可能性があり、腎機能に問題のない健常者であっても、ナトリウムの摂取量と腎臓により排泄される量が定常状態になるには、数日かかるといわれており、血圧や心臓への負荷等の影響も懸念される、とのことです。
このような問題を踏まえて、自治体の担当部局には、管轄の関連事業者に対して、以下の3点を周知して欲しい旨を要請しています。
- 脱水時における水分及び電解質の補給を目的として調製された清涼飲料水に、「経口補水液」又はこれに類する広告その他の表示をするためには、特別用途食品の許可が必要であること。
- 熱中症対策と称して、清涼飲料水と特別用途食品としての許可を受けたものを区分せず同一の棚に陳列して販売する等により、消費者に対して、当該清涼飲料水が特別用途食品としての許可を受けたものと誤認されるような表示をした場合、健康増進法31 条1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがあること。
- 健常者が、水分及び電解質の補給を目的として調製された清涼飲料水を、脱水予防等のためとして短時間に大量に摂取した場合、ナトリウム過剰摂取等による健康リスクが生じるおそれがあることに留意の上、当該製品の成分調製内容に適した広告その他の表示を行うこと。
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