東京ガス(有利誤認表示)、東京ガス子会社2社(おとり広告)に対する景表法違反措置命令(消費者庁)
前回の記事「芸能プロダクションと芸能人との契約について公取委が調査との報道」はたくさんのアクセスがあってびっくりしております。ジャニーズファンなどの関心が高いようですね。
さて、本日、消費者庁は、東京瓦斯株式会社(東京都港区 「東京ガス」)と、その子会社である東京ガスライフバル文京株式会社(東京都文京区)、東京ガスイズミエナジー株式会社(東京都杉並区)(2社合わせて「子会社2社))に対して、それぞれが販売するガス機器に係る表示について、景品表示法に基づく措置命令を行いました。
→ 消費者庁公表資料 (PDF)
東京ガスについてはガス機器の有利誤認表示、子会社2社についてはガス機器のおとり広告を行っていたことが理由です。
まず、東京ガスについては、ガス展のイベント案内のチラシに、「メーカー希望小売価格」と「ガス展特価」を記載して、対象のガス機器にはメーカー希望小売価格が設定され、子会社2社の販売価格が当該メーカー希望小売価格に比して安いかのように表示していたものですが、実際には、メーカーは、希望小売価格を設定しておらず、東京ガスが任意に希望小売価格を設定し、東京ガス及び子会社2社がこれを「メーカー希望小売価格」として比較対照価格に用いていた、というものです。不当な二重価格表示ですね。
次に、子会社2社の「おとり広告」ですが、同じくガス展の案内チラシにおいて、上記の通り特価で販売するとしていた一部のガス機器について、実際には、ガス展で販売するための商品を準備しておらず、ガス展において全部について取引に応じることができないものであった、とされたものです。
告示「おとり広告に関する表示」の違反事例としては、昨年末のイズミヤなどの神戸牛に関する措置命令があり、当ブログでは触れており、「おとり広告」規制について詳しくはそちらをご覧下さい。
→ 「神戸牛のおとり広告に対する措置命令(消費者庁)」 (2016/12/21)
なお、今回の措置命令についての消費者庁のプレスリリースには、措置命令の他に、「東京ガスによるおとり広告の再発防止策」という事項が加えられています。
これは、当該「ガス展」が、東京ガスが企画の大枠を決定、推進するなどの実態にあるところから、今回、消費者庁が東京ガスが主体的に再発防止策を講じることが不可欠と判断して、東京ガスに対し、所要の取組を要請したところ、東京ガスから再発防止策の策定につき以下の報告があった、というものです。
- 東京ガスの「東京ガスのガス展」の広告については、東京ガスが作成するチラシ雛形を活用する広告のみならず、「東京ガスのガス展」を開催する販売業者が独自に作成する広告についても、東京ガスが確認する。
- 東京ガスは、東京ガスが企画、推進するイベントに係るチラシに表示されている商品について、あらかじめ販売業者と販売数量について情報共有し、一定数をガス機器メーカーに発注及び確保するとともに、当該商品についてイベント開始時に東京ガスが保有し、欠品を無くすように販売業者ごとに販売枠を設定するなどの仕組みを構築する。
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