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2017年6月26日 (月)

「私の愛すべき依頼者たち」(野島梨恵弁護士著、LABO刊)

 この程出版された「私の愛すべき依頼者たち」(LABO発行)を編集者の方よりご恵贈いただいて(関係性の明示)、すぐに読みました。ありがとうございました。

 著者は、女性弁護士の野島梨恵さん。面識は一切ありません(のはず)ので、前提知識なしに拝読いたしました。

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 ただ、前書き的な「口上」として、旭川弁護士会の中村元弥弁護士が書いておられます。中村さんについては面識はありますが、声の大きい人です(笑)

 北海道の士別で開業されたという、ある意味特殊な条件でのお仕事の話がつづられています。しかし、30年以上大阪で弁護士をやってる私から見ても、北海道の一部地域の特別な事件の紹介がされているとは思えません。よほど大企業の事案ばかりやってるとか、過払い事件をマスコミ広告をかけてしつこく追いかけてるとかの弁護士ではなく、いわゆる街弁(一般庶民、中小零細企業が依頼者の弁護士)であれば、私を含めて、多くのまじめに業務をしている弁護士にとって、「あるある」という話が紹介されているかと思います。

 法律の難しい話は、それほど出てきません。ただ、専門家的には結構細かいところで、重要な文章があるのですが、それはここでは置いておきます。

 肩肘張らない業務のお話(もちろん、それぞれではかなり大変なのはわかっております。)を読んで、先日、京都大学でお話を伺った、GPS捜査事件の亀石弁護士の雰囲気と近いなぁと思いました。だから、どうというわけではありませんが、業界も結構大変な中で、若い弁護士たちが淡々とまじめに業務を行っていることに力づけていただいています。

 この中には、「夫婦」など家族関係の話が多く出ますが、これらも、ワイドショーには出ませんが、我々の業務の中では、うなずける話ばかりです。夫婦や家族に関しての実際の事案をもとにしたものは、一般の方にとっても、別の意味でも面白く読めるのではないかと思いました。

 この本は、できれば一般の方々に読んでいただいて、弁護士の日常の仕事が(映画や小説やテレビドラマのような派手な事は通常は起りません。)、普通に、しかし、かなり個別に大変ないろいろなことに対応していることをわかっていただければいいな、と思います。

 それ以上に、法学部生、ロースクール生や新人弁護士を含めて、将来、弁護士を目指したい方々に、まずは普通(大半の)の弁護士の仕事をわかってもらう意味でも素晴らしい本だと思います。

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