美容室などを対象とした民事調停一斉申立(JASRAC)
日本音楽著作権協会(JASRAC)が、公式サイトで、本日、BGMを利用する美容室などの店舗に対して全国一斉に法的措置(簡易裁判所への民事調停申立)を行ったことを公表しています。
これは最近話題になった音楽教室から使用料を徴収する方針の件とは別の問題です。
「BGMを利用していながら、著作権の手続きをしていない美容室など」に対して調停申立を行ったとのことですので、おそらくは、CDやダウンロードした音源を営業時にBGMとして顧客向けに流していたのではないかと思われます。調停の具体的内容は記載されていませんが、過去の使用料相当分の支払いと今後の契約締結でしょうね。調停や裁判にはなりませんでしたが、JASRACからこのような要求が来た、という相談は何度か受けたことがあります。
本日の公表によれば、今回の一斉調停申立は、178事業者、352店舗に対して行われたとのことであり、そのうち163事業者、205店舗が美容室ということですので、美容室を主なターゲットにしたもののようです。
JASRACは、昨年6月にも美容室を主な対象としてに一斉調停申立を行っています(プレスリリース)。このときは、187事業者、212店舗に対する調停申立で、そのうち132事業者、151店舗が美容室とのことです。
この2016年6月のプレスリリースには、「BGMを流す施設の著作権管理を開始した14年前(2002年)は、有線音楽放送などの業務用BGMの利用が主流であり、著作権の手続きはそれらを提供している事業者が施設に代わって行っていたことから、ほとんどの施設が個別にJASRACに手続きをする必要はありませんでした。近年、BGMの音源が多様化(市販のCD、携帯音楽プレーヤー、パソコン、インターネットラジオ等)しており、こうしたBGMの利用については、施設ごとに著作権の手続きを行っていただく必要があります。」との記載がありますね。
一昨年にも一斉申立を行っていて、このときは171事業者、258施設(美容室、理容店、アパレル店、飲食店他)が対象になっており(プレスリリース)、このような一斉申立は今回が3回目とのことです。
この使用料請求は、現在の著作権法においては、当然にできるものと考えられますので、理美容室や飲食店などの経営者の方は気をつけないと、遡って多額の請求をされる可能性がありますので御注意ください。また、今後のBGM音楽使用については著作権法の専門家に相談されたほうがよいかと思います。著作権に関するネット上の情報は、法律的にはかなり間違ったものが出回っていますので。
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