格安スマホ通信サービス(フリーテル)についての不当表示(優良誤認・有利誤認)に対する措置命令
消費者庁は、本日、プラスワン・マーケティング株式会社(東京都港区)に対し、同社の「FREETEL SIM」(フリーテル)と称する移動体通信役務に係る表示について、景品表示法違反(優良誤認表示および有利誤認表示)として措置命令を行いました。
→ 消費者庁公表資料 (PDF)
格安スマホ事業者に対する措置命令は初めてですが、報道に拠れば、本日の消費者庁の会見では、同社のみならず他の事業者にも適切な表示に努めるよう求め、格安SIMサービスは料金の安さに加え、通信速度の速さが選ぶ際の1つの大きなポイントであるので通信速度や各種の機能に関して適切な表示の確保にご留意いただきたい、と述べたとのことです。
今回、不当表示とされたのは、通信速度の優良誤認表示については、プラスワン・マーケティング社の自社ウェブサイトにおいて、遅くとも平成28年11月30日から同年12月22日までの間、あたかも、通信速度が、格安SIM事業者の中で、恒常的に最も速いものであるかのように示す表示をしていた、また、特定の日時及び場所における通信速度の測定結果において、他の格安SIM事業者が提供する移動体通信役務に係る通信速度よりも著しく速く、かつ、NTTドコモが提供する移動体通信役務に係る通信速度に匹敵するものであるかのように示す表示ををしていた、というものです。
具体的には、「『業界最速』の通信速度」、 「☑ FREETEL SIMなら速度が出にくい都内平日12時台でもこんなに速い!」、「※東京都港区新橋での通信速度観測の測定結果(某日12時台)」及び「※定点で3回測定を行った平均の数値です。」と付記された「I社 SIM」、「O社 SIM」、「フリーテル」又は「NTT docomo」とする移動体通信役務に係る通信速度の特定の日時及び場所における測定結果が、それぞれ、0.3Mbps強程度、0.2Mbps程度、5.8Mbps強程度又は6.1Mbps弱程度であったことを示すグラフを掲載するなどの表示をしていたものです。
SIMカード販売シェアの優良誤認表示については、同じく自社ウェブサイトにおいて、遅くとも平成28年11月30日から同年12月13日までの間、「SIM販売シェアNo.1」、「シェアNo.1!」と記載することにより、あたかも、移動体通信役務の提供を受けるために必要なSIMカードの販売数量に係る自社のシェアが格安SIM事業者の中で第1位であるかのように示す表示をしていました。
しかし、上記の各表示について、消費者庁が、同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されたものの、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められず、不実証広告規定により、優良誤認表示とみなされました。
有利誤認表示については、同じく自社ウェブサイトにおいて、遅くとも平成28年11月30日から同年12月13日までの間、「LINEのデータ通信料無料!」と記載するとともに、「AppStore」、「LINE」、「WeChat」、「WhatsApp」などのアプリケーションのアイコン画像を付記しつつ「FREETELなら各種SNS利用時のデータ通信料が無料!!」と記載するなど、あたかも、これらのアプリケーションの利用時に生じるデータ通信量が通信利用容量の対象外となるかのように表示していましたが、実際には、当該データ通信量の一部は通信利用容量の対象となるものであったというものです。
なお、国民生活センターは4月13日に「こんなはずじゃなかったのに!“格安スマホ”のトラブル-料金だけではなく、サービス内容や手続き方法も確認しましょう-」という格安スマホのトラブル相談が増えていることについて、報告書を公表しています。
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