ひとまず、「PPAP」商標登録出願騒動について
ベストライセンス社、上田育弘氏は、商標権まわりの仕事に関係している人には、以前から大変な有名どころであったわけですが、突然、ピコ太郎の「PPAP」関連で、新聞やテレビが取り上げはじめ、大騒ぎになっていてビックリしています。
今、人気の「PPAP」だから、というのも当然あるのでしょうが、やはり、ネット炎上の拡大の速さに今さらながら感じ入るしかないというところです。
この件について、詳しく解説する時間はとてもありませんが、テレビなどでの報道、それを見ての一般の方々のTwitterなどでの投稿を見ていると、誤解されている部分がいくつか見られますので、そこだけ簡単に指摘して、今回の記事とさせていただきます。
- 上田氏は、元「弁理士」で、元弁護士でも元税理士でもありません。
「弁理士」は特許など知的財産権の登録の出願、管理などを仕事とするための国家資格を持っている人です。 - 今回の「PPAP」については、ベストライセンス社が「商標登録をした」、「商標権をとった」ということではなく、商標権の登録のための「出願」をしただけで、特許庁が登録を認めたわけではありません。登録を願い出た段階にすぎません。
- これまでの同様の出願からみて、おそらく出願料は特許庁に支払われていないと思います。これを支払わないと、そもそも特許庁は登録の可否についての審査を始めません。
- 今回の出願で、出願料を払っても、特許庁は登録を認めない可能性がかなり高いと言えます。
- 仮に、認められて、ベストライセンス社が商標権を得たとしても、ピコ太郎が「PPAP」を歌えなくなる(こういう見出しの記事をいくつか見ましたが)、ということはありません。
以上です。
【追記】(1/27)
弁理士さんの詳しい解説記事がありましたので、ご紹介します。上の記事だけでは、根拠がわからない、という方はお読みください。かなり長いです。私が「詳しく解説する時間はとてもありませんが」と冒頭にかいたのがお分かりいただけるかと (笑)
→ 「PPAPの商標が他人に商標登録出願された問題の解説」
(ファーイースト国際特許事務所サイト)
【追記】(1/27)
待望してました栗原潔先生の解説が出ました。
ぜひご覧ください。
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