適格消費者団体によるジャニーズファミリークラブへの規約是正の申入
今日は、別の記事をアップしたので、これは明日に公開しようと思ったのですが、せっかく書いてしまったこともありますので、早めに出しました。
さて、特にニュースにはなっていなかったようですが、NPO法人「消費者被害防止ネットワーク東海」(Cネット東海・杉浦市郎理事長)が、本年10月18日付にて、ジャニーズファミリークラブに対して、その会員規約の内容が消費者契約法に鑑みて不当ないし不適切な条項があるとして、規約の是正の申し入れをしていました。Cネット東海は、消費者契約法13条に基づいて内閣総理大臣の認定を受けている適格消費者団体です。
ジャニーズファミリークラブは、Wikipediaによれば、「ジャニーズ事務所に所属する各タレントの公式ファンクラブの母体となる組織」とのことです。 Cネット東海の公式サイトには、この申し入れのお知らせとともに申入書のPDFファイルもアップしておられるのですが、どうやらファンの方々が殺到しているようでアクセスしずらい状況となっているようです。
申入書の内容を簡単にご紹介しますと、
第1として、会員規約2条に関して、ジャニーズファミリークラブ側が、規約を予告なく改訂でき、それが閲覧出来る状態になったときから有効となる、という点に関し、申入書では、このような一方的な規約変更は消費者契約法10条に抵触し無効であるとしています。したがって、規約変更の場合は、効力発生の相当期間前にネット等適切な方法で会員に告知した場合に効力が生じるものとすべきであり、会員の個別の同意がなく規約を変更できるのは、限定された要件(5つ挙げています。)全てを満たす場合に限られるとすべき、としています。
第2に、会員規約4条2項、3項、5条では、退会処分とされた会員は、損害賠償等の一切の権利行使ができない、ジャニーズファミリークラブはそのサービスに関し、いかなる責任も負わない、などの規定がされており、このような免責、損害賠償の放棄の規定は消費者契約法8条1項1号、3号に抵触するので、規定を改めるよう求めています。
そして、第3として、会員規約4条3項において、会員が資格喪失した場合、理由の如何を問わず、入会金、年会費の返還はできない、とされていることに関し、これは消費者契約法9条1項により、契約の残期間に応じた平均的損害の範囲を超えるべき部分は返還すべきであるので、規約を変更する旨求めています。
この申入書では、ジャニーズファミリークラブに対して、その見解や対応を、11月18日(つまり明日)までに書面にて回答するよう求めていますが、さて、どんな回答がなされるのでしょうか。
なお、申し訳ありませんが、この記事に関して、お電話やメール等でご質問等をいただいても対応することは一切できませんので、あしからずご了承ください。また、私は、他の消費者団体などには関与しておりますが、このCネット東海さんとは直接の関係はなく、公開された申入書の内容以外の状況については全く判りませんので、その点もご了解ください。
【追記】(11/19)
続編として、消費者団体による差止請求の簡単な説明を書きましたので、よろしければ次記事もご覧下さい。
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