4月からは課徴金リスクがありますよ(景品表示法・消費者庁)
不当表示行為に対して課徴金制度を導入する改正景品表示法の施行が本年4月1日に迫って来ましたが、昨日も消費者庁が措置命令を出しています。
消費者庁は、昨日(3/15)、合同会社アサヒ食品(埼玉県川口市)に対し、同社が自社ウェブサイトにおいて行った「スリムオーガニック」と称する食品の痩身効果に係る表示について、不当表示(優良誤認表示)にあたるとして措置命令を行いました。これも不実証広告規定(景品表示法4条2項)によるものです。
→ 消費者庁公表資料(PDF)
同社サイトでは、あたかも、対象商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていましたが(実際の表示については、上記消費者庁資料をご覧ください。)、消費者庁が、同社に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社は、当該期間内に資料を提出しなかった、ということです。
4月に導入される課徴金は、優良誤認表示、有利誤認表示に対して課せられるもので、当然、本件のような不当表示もそれに該当することになってきます。
ただし、課徴金が150万円未満となる場合には課されないことになっており、課徴金の算定は売上金額の3%ですので、当該商品の売り上げが5000万円に満たない場合には課徴金が課されません。本件の商品は、報道によれば、約2100万円の売り上げとのことですので、この場合は課徴金の対象とはならないことになります。
しかし、当ブログでも紹介している最近の不当表示案件を見てみると、アディーレ法律事務所の広告に対する件は改正法が施行されれば課徴金対象となる可能性が高く、また、先日の広島県が措置命令を出した小顔矯正の事案も当該業者はわかりませんが、同様の広告を続けている業者によっては、このまま従来の広告を続けていると課徴金の対象となる可能性があることになります。
さらに、今回は景品表示法ではなく特定商取引法での業務停止命令でしたが、水素水についての勧誘時の不実告知は、優良誤認表示にも該当する可能性が高いものですので、こういった水素水飲料についても場合によっては景品表示法に基づく課徴金納付命令が発せられることも今後は考えられます。この対象となったナチュラリープラス社の2015年の売り上げは報道によれば、200億円を超えており、そのうち水素水飲料の売り上げはわかりませんが、そのシェアによっては、相当高額の課徴金を支払わなければならないことになります。
これまでは、不当表示に対する措置命令がなされても、その表示をやめればよい、ということだけで軽く考える事業者も多かったと思いますが、これからは多額の課徴金を負担するかもしれません。事業者は、消費者向けの宣伝、広告を含めた商品の表示、勧誘方法について、その裏付け根拠資料の有無を含めて、事前に十分な注意をはらっておかないと大変なリスクを負う結果になりますので、御注意ください。
« マルチ大手業者に対する業務停止命令(特定商取引法)と「水素水」の効能表示 | トップページ | ネットショッピングでの価格誤表示と売り主の責任 »
「グルメ・クッキング」カテゴリの記事
- トロビカーナ「メロン テイスト」に対する措置命令(消費者庁)(2022.09.06)
- 「食べログ」東京地裁判決と公取委実態調査報告書(2022.06.16)
- スシロー「おとり広告」で措置命令(景表法)(2022.06.09)
- 口コミ代行業者に関する記事にコメント載りました。(2019.12.23)
- 唐揚げ専門店による産地不当表示(景表法)(2019.10.16)
「法律」カテゴリの記事
- 「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.2」(中里和伸弁護士著・LABO)(2023.07.07)
- トロビカーナ「メロン テイスト」に対する措置命令(消費者庁)(2022.09.06)
- 「食べログ」東京地裁判決と公取委実態調査報告書(2022.06.16)
- ドライヤーの広告に関する差止訴訟(ダイソンvsパナソニック)(2022.06.12)
- スシロー「おとり広告」で措置命令(景表法)(2022.06.09)
« マルチ大手業者に対する業務停止命令(特定商取引法)と「水素水」の効能表示 | トップページ | ネットショッピングでの価格誤表示と売り主の責任 »
コメント