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2016年3月22日 (火)

特定保健用食品やいわゆる健康食品の広告表示などに関する報告書(消費者委員会専門調査会)

 先日、当ブログにて、トクホ(特定保健用食品)のトマト酢飲料の新聞広告が健康増進法の禁止する誇大広告にあたるとして消費者庁が勧告を行った事案を取り上げました。

 → 「トマト酢飲料(特定保健用食品)の広告表示に対する健康増進法に基づく勧告(消費者庁)」(3/1)

 このようにトクホ商品やその他いわゆる健康食品の広告表示については、問題が指摘されているところですが、3月16日に開催された第8回特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会(内閣府・消費者委員会に設置)では、報告書の取りまとめがなされたようです。
 この報告書は、トクホや健康食品の広告・表示や制度・運用について検討されたものを取りまとめるものです。なお、現時点で内閣府サイトに掲載されているのは、報告書(案)ですので、最終的な報告書ではありませんが、ほぼこのまま決定されたと思われますので、以下はそれを前提としています(後日、正式版が公表された場合は、この記事を書き換えるかもしれません。)。

 → 「第8回 特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」    
                            (内閣府・消費者委員会)

 報告書では、トクホや健康食品について、広告・表示について問題があることを確認し、その状況を踏まえて、必要な行政の取組などをあげています。

 その中の不正な表示・広告の適切な取り締まりのための行政の取組としては、(1)健康増進法に関する見直し(2)トクホの審査等取扱い及び指導要領に関する見直し、などとなっています。

 注目されるのは、問題のある「いわゆる健康食品」が依然として存在し、消費者にとって適切な製品選択が難しい状況が続いており、広告内容に疑義が生じた場合は行政側が実証しなければいけないことが迅速な法執行の障害となっているということで、健康増進法景品表示法と同じような「不実証広告規制」を導入することを検討すべき、としている点です。   
 「不実証広告規制」(景品表示法4条2項)とは、表示が優良誤認表示に該当するか否か判断するため必要があると認めるときは、消費者庁が期間を定めて事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、事業者が求められた資料を期間内に提出しない場合や、提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、その表示が不当表示とみなされるというものです。景品表示法の執行では、この制度がかなり活用されています。

 また、誇大広告を禁止する健康増進法31条「著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示」の「著しい」の具体例を充実するなど、所管省庁において、法違反か否かの判断基準を一層明確化する必要がある、ともされているうえ、一部の委員から「著しい」という文言を健康増進法から削除すべきという意見も出されたことを紹介しています。

 トクホ商品についても、一部の広告・表示が実際の効果より高い効果が期待できるといった誤認を消費者にさせている可能性があるなどの状況が認められ、トクホは、効果の面では、医薬品のような高い効果はなく、製品に記載されている摂取方法に従って利用することにより、効果が「期待できる」製品群であるけれども、消費者の中にはそういった製品であるということをあまり理解しておらず、安全である上に、広告・表示から連想する効果を得られると考えて製品を購入している人もいると思われる、としています。
 そして、「そのような状況の中で、消費者に誤認を与えるような暗示的な広告を行うことは、食品の機能性に期待をして特保をあえて選択し、購入している消費者にとって、適切な商品選択につながっていないといえる。」として、許可を受けた際に確認されている効果を超える効果を類推させる広告・表示を一切禁止するなど、「特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領」(消費者庁次長通知)の広告・表示のルールの見直しを行うことなどを提言しています。   

【追記】(4/13)

 上記の報告書を踏まえて、消費者委員会から関係大臣に対して、「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議」が出されました。

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