「実務解説職務発明」(商事法務)のご紹介と蛇足
弁護士・弁理士でもあり、現在特許庁で法制専門官をされている松田誠司さんから、特許法における職務発明規定の改正に関する新刊書籍をご恵贈いただきました。
職務発明というのは、企業において、従業員が職務上行った発明についての権利や報酬の取扱い等について定める制度です。
従前は、企業内の発明であっても、特許権は発明した従業員が取得するものとされ、それを前提とした制度となっていました。それが平成27年改正により、「契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、特許を受ける権利は、その発生したときから当該使用者等に帰属する。」(改正特許法35条3項)とされ、事前に企業側が対応しておけば、企業が特許を受ける権利を原始的に取得することになりました。
この改正に関して実際に立法を担当した松田さん他の共著によるQ&A形式の実務解説が上記の書籍ですので、企業の法務担当者などは必見の本かと思います。
ところで、ブログで書籍を紹介する場合に、その本を著者や出版社からいただいた場合、そのことを表示するかどうかは悩むところなんですが、アメリカのFTC広告ガイドラインの立場からは、書いておかないとステマとなり違法とされる可能性があります。日本ではそこまで詰めた議論にはなっていませんけれども。
たまたま、先日、アメリカ連邦取引委員会(FTC)が、広告であることを明示しなかったということで、老舗デパートのロード&テイラー(Lord & Taylor)を罰した、という記事が出てました。記事によれば、3月16日に同デパートがFTCに従う形で和解を行った、ということのようです。
要するに、衣料品などを全米で販売するデパートが、ネットでファッションに影響力のある女性50名に自社の衣料を贈り(報酬も)、それを着た写真を画像投稿サイトのインスタグラムに投稿させた、というものです。FTCガイドラインでは、こういった場合に、事業者との関係性を明示しなければなりません。
FTCガイドラインやステマについては、当ブログで以前から書いてる関係上、最近は、本をいただいた、ということを明示することとしておりますので、ご了承ください。
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