A法律事務所の広告が不当表示(有利誤認)とされた事例
景品表示法に課徴金制度が導入される改正の施行は今年の4月1日ですが、この改正に関する消費者庁の説明会が昨日京都駅前のキャンパスプラザ京都であり、私も参加してきました。
ちょうど、昨夜に私が代表を務めている「独禁法公正取引研究会」の例会で新人弁護士さん相手に景品表示法の話をするところでしたので、タイミングの良い機会となっていたのです。
そして、京都での説明会を終えて、研究会出席のために大阪に戻るJRの車内で、これまた景品表示法に関する以下のニュースをスマホで見たのです。
なお、消費者庁による景品表示法の措置命令は今年に入って、株式会社ユーコーの空気洗浄機の事例に続いて2件目です。
昨日(2/16)消費者庁は、弁護士法人A法律事務所に対し、景品表示法6条に基づき、措置命令を行いました。
同事務所が供給する債務整理・過払い金返還請求に係る役務の表示について、景品表示法に違反する行為(有利誤認)が認められたというものです。
A法律事務所は、旧来型の法律事務所とは違って、日本各地に事務所を開き、テレビや車内広告など各種の宣伝・広告を積極的に行う営業方針を採っていることで有名な事務所で、その宣伝の仕方については、業界内でも賛否いろいろの意見があるところですが、今回はまさにその広告の方法が違法とする行政処分が出たことになります。
事例としては、1ヶ月のキャンペーン期間中に債務整理・過払い金請求等に関して契約すると着手金を無料にするなどと自己のホームページに掲載していましたが、実は、平成22年10月から平成27年8月までの5年近くにわたり、ずっとこのキャンペーンを継続してきていた、というものです。これが有利誤認に該当するとして、これらの表示をしないようにとの措置命令が出されました。
実は、この件は昨年に既に報じられているもので、消費者庁の指摘を受けたA法律事務所は昨年10月に全国紙において、顧客に解約、返金等に応じることを含めて謝罪の広告を掲載しています。
ただ、今回の措置命令の報道を見ると、A法律事務所は、毎月、継続を判断していて、不当表示にあたるとの認識はなかった、とコメントしているのですが、約5年間ずっと引き続いてこのようなキャンペーンを行うことについて、景品表示法上の問題がないと判断するというのは私としては信じられないものです。
ところで、実は、私の事務所の南50メートルの西天満交差点角には、50年くらい前からずっと「店じまいセール」をやっている有名な「靴のオットー」があるのですが、最近関西では報道されているとおり、後3日ほどで本当に閉店してしまうようです。それとこれと、どう違うのか同じなのかは皆さんで考えてみてください。
※ 文中、法律事務所名を匿名にしている点については特に深い意味はありません。
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