改正景品表示法・課徴金納付命令に関する考え方の公表(消費者庁)
不当表示行為に対する課徴金の導入を内容とする改正景品表示法(平成26年11月改正)が今年4月1日から施行されます。
この改正法施行にともなう「景品表示法施行規則」と「課徴金納付命令の基本的要件に関する考え方」(以下、「考え方」)などが本日公表されています。また、課徴金制度に関する事業者向け説明会の開催の案内も同時に公表されています。
(以下、条文番号は、原則として4月施行後のものとします。現行(3月まで)のものについては、現行○条と表記します。)
このうち、「考え方」(正式には、「不当景品類及び不当表示防止法第8条(課徴金納付命令の基本的要件)に関する考え方」)は、今回導入される課徴金制度について、その運用の透明性および事業者の予見可能性を確保するために作成されたものです。
「考え方」の構成は、まず景品表示法の不当表示規制のうち、課徴金の対象となる「優良誤認表示」と「有利誤認表示」について概要を示したうえで(これらの規制自体は今回の改正で変更されていない。)、課徴金額の算定方法として、「課徴金対象期間」、「課徴金対象行為に係る商品又は役務」、「政令で定める方法で算定した売上額」を、想定例を示しながら解説しています。
そして、対象行為を行った事業者が、不当表示に該当することを「知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められるとき」(景品表示法8条1項但書)には、課徴金の納付を命じられることはない、と規定されていることから、「相当の注意を怠った者でないと認められるか」否か、についての解説がなされています。これについては、既に景品表示法26条(現行7条)に基づいて公表されている「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」に沿うような具体的な措置を講じていた場合は、「相当の注意を怠った者でない」と認められると考えられるとしていますので、企業としては、この指針を遵守する体制を構築しておく必要があります。また、この点についても、「考え方」は、想定例をいくつか挙げています。
続いて、「規模基準」(算定した課徴金額が150万円未満の場合には納付を命じられない。景品表示法8条1項但書。)の考え方および想定例が挙げられ、最後に「不実証広告規制」に関して、課徴金納付命令に関する景品表示法8条3項と、従前からの措置命令に関する景品表示法7条2項の両規定の関連について触れられていて、前者が「推定する」、後者が「みなす」とする効果の点が異なるが、その他は同様であるとして、景品表示法8条3項の適用についての考え方、「合理的」の判断基準や資料提出手続についても、後者に関する従前の運用指針の考え方が妥当するとされています。
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