『平成27年改正個人情報保護法のしくみ』(日置巴美・板倉陽一郎著)
当ブログでも、先日来、個人情報保護法(とマイナンバー法)の改正について触れてきましたが、本年9月3日にようやく成立した改正法(公布は9月9日)についての解説書が出版されました。
今回の改正作業に深く関わってこられた日置巴美さん、消費者庁で個人情報保護部門におられたこともある板倉陽一郎弁護士の共著で、しかも、2200円、本文正味150頁と非常に買いやすく読みやすいものとなっています。
文章もわかりやすく、既に現行の個人情報保護法を理解されている方にも、また、ひとまず改正の内容を勉強したいという方にも良い本だと思います。
『平成27年改正個人情報保護法のしくみ』
日置 巴美 (著), 板倉 陽一郎 (著)
今回の改正は、大きく2つに分かれており、1つは個人情報保護委員会の新設(特定個人情報保護委員会の改組)であり、その他、法規制の中身(匿名加工情報等々)に関する部分です。そして、この個人情報保護委員会の新設に関する部分は来年1月1日から施行となり、その他の部分は公布(9月9日)から2年以内(未定)とされていますので、改正法による個人情報の規制等が適用されるのは少し先になります。
これに関係して、本書を読んで感心したのは巻末の個人情報保護法の条文資料(157頁~)のところです。
上記のように、今回の改正については、来年1月1日から施行される部分と公布後2年以内に施行される部分があり、それぞれ重要な部分です。しかし、当然ながら来年1月1日から残り部分施行までの間は、施行部分と未施行部分があるわけです。こういった場合、その時点で施行されている条文の参照が結構面倒な作業になります。
その点、本書では、「資料1」として、来年1月1日施行分(個人情報保護委員会の設置)を反映した全条文、「資料2」として、その他の部分が施行された時点での全条文が掲載されています。これは、法律実務家には大変ありがたく、この資料だけでも価値があります。
なお、「資料3」は今回の改正法附則抜粋(施行日や経過措置関連)です。
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