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2014年9月 6日 (土)

開運商法に関する広告媒体事業者の責任に関する訴訟

 突然、デング熱騒動が始まりましたね。   
 私も、つい先日、代々木公園にほど近い渋谷におりましたが、蚊にさされることもなく、今のところは無事でおります。

  ちょっと、新聞や雑誌などの広告媒体事業者の責任に関して、興味を引く事柄がいくつか出てきましたので、それについて、2つほど記事を書きたいと思います。 

 その他に、朝日新聞と文春などの間で、週刊誌発売についての新聞広告の内容について紛争が勃発しているようですが、そこは第三者に対する広告媒体事業者責任とは別の問題ですので、今回はスルーいたします。

  なお、詐欺的な商法を行う事業者の宣伝広告に関して、その広告を行った新聞社や雑誌出版社、放送局、広告業者などの広告媒体事業者にたいする損害賠償請求に関して、私がまとめたものとしては、当ブログ(PC版)右上の記事

 「現代消費者法 no.6 特集:広告と消費者法」所収   
    4 広告をめぐる消費者被害救済の実務
      (1)広告をめぐる消費者被害救済の手法
 

があります。興味のある方は、前提の知識として読んでいただければ幸いです。

 

  雑誌広告で「運気が上がる」とうたうブレスレットなどを申し込むと、高額な祈禱(きとう)料などを払わされる「開運商法」の被害が深刻化しており、国民生活センターによると昨年度、被害者が請求された平均額は約100万円と過去最高である、との報道がなされています。 

「運気上昇どころか被害深刻 開運商法、請求額は過去最高」      
      (2014.8.27.朝日新聞)      
       ※新聞記事は日数経過によりリンクが切れる場合があります。)

「幸運」を手に入れるつもりが「不幸」を招くことも…-請求金額が高額化!!開運グッズや祈祷等を次々と勧める業者にご注意-
      (2014.6.国民生活センター)
 

 このような中で、被害者救済を行なっている開運商法被害対策弁護団が、大手雑誌社発行・発売の雑誌に掲載された広告による悪質な開運商法被害があったとして、今年8月に雑誌を発売した主婦の友、同発行元の主婦の友インフォス情報を被告として、東京地裁に損害賠償を求める民事訴訟を提起した、とのことです。
 開運ブレスレット業者・アマテルの広告が雑誌『全開運!しあわせ創刊2号』に掲載されたことに関するものです。この雑誌の内容については知りませんが、タイトルからすると、若干特殊なものかもしれませんね。

  なお、同弁護団はこれまでにも、開運商法に関する広告掲載出版社を相手取った訴訟を起こしています。 

 今回のような開運商法の場合の広告媒体事業者にも、基本的には、冒頭に揚げたような従来の賠償責任に関する議論の枠組みは当てはまるものと思います。

  ただし、広告媒体事業者の責任が生じる前提として、原則として、広告主自身の事業、広告内容が違法である必要があるところ、開運商法の場合、例えば、神社のお守り、縁起物や祈祷などのように、実際の効果を生じることが科学的には証明できないものだからといって、それらの商法(といっては神社や寺に叱られそうですけど、お許し下さい。)が詐欺などの違法性があるといえるわけではありません。なので、ここは、顧客側の期待内容、認識内容とも関連した、個別的、具体的な宣伝、勧誘の方法、内容によるということになりそうです。 

 ただ、本件の開運商法は、広告で、高額の開運ブレスレットを期間限定で無料提供するとうたうことによって、客を引きつけ、その客に対して、高額の祈祷料などを繰り返し要求するという方法で、客から金を収奪していくものでした。   
したがって、当該事業者自信の悪質性、違法性はかなり高く、事業者の特定商取引法違反などを含めた違法性は明確にある、と言っていいと思います。

  しかし、広告媒体事業者の責任の点から考えると、広告の商品・役務自体の虚偽(だけ)ではなく、それをきっかけとした、その後の収奪商法についての予見をしえたのかどうか、というところの事実関係が1つの重要なポイントになりそうですね。 

 この点で、もちろん、弁護団側は、充分に予見可能であった、としています。今後の訴訟経過には注目していきたいと思います。

  現在は、こういった開運商法のほか、健康食品など微妙な商品、サービスの広告が増えており(いわゆるバイブル商法含む)、こういった広告媒体事業者責任追及の場面は増加していくのではないか、と思われます。 

   (次回は、広告による名誉毀損についての雑感的なことを書く予定です。)

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