景品表示法への課徴金導入に関する意見募集(消費者庁)
本日、消費者庁が、景品表示法への課徴金制度導入に関する改正法案についての意見募集を公表しています。
意見募集期間は9月4日までと1週間ちょっとしかありませんね。
6月の消費者庁の答申で明確でなかった点について、今回の案では、課徴金の率を売上の3%とし、リニエンシー(自主申告制度)により半額免除制度を導入、対象期間は3年間、規模基準として課徴金が150万円未満は免除、除斥期間は5年間、一定の被害回復措置を講じた場合の課徴金免除、といったような具体的な案が示されています。
意見募集の対象となっている改正法案の概要は以下の通りです。
不当景品類及び不当表示防止法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案(仮称)の概要
不当な表示を防止するため、不当な表示を行った事業者に経済的不利益を賦課するとともに、不当な表示により消費者に生じた被害の回復を促進する課徴金制度を導入する。
骨子
商品及び役務の取引に関する不当な表示を防止するための方策として、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37 年法律第134 号。以下「景品表示法」という。)に定められている措置命令に加え、不当表示を行った事業者に経済的不利益を賦課すべく、課徴金制度を導入する。
(1) 対象行為
ア 景品表示法において既に定められている不当表示の類型のうち告示によって指
定される不当表示の類型を除き、課徴金を賦課するものとする。
イ 不実証広告規制(効果又は性能に関する表示について事業者に一定の期間内に
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出がない場合に、当該表
示を不当表示とみなして措置命令の対象とするもの)に係る表示行為について、課
徴金賦課処分との関係においても、一定の期間内に当該表示の裏付けとなる合
理的な根拠を示す資料の提出がない場合には、当該表示を不当表示と推定する
規定を設けるものとする。
(2) 賦課金額の算定
ア 対象商品又は役務の売上額に一定の率を乗じるという算定式により、一律に算
定する。当該乗じる率を100 分の3とする。
イ 違反行為について自主申告した事業者に対し、課徴金額の2分の1を減額する。
ウ 課徴金算定の対象期間は、違反行為により一般消費者による自主的かつ合理
的な選択を阻害するおそれがあると認められなくなる日から遡って3年間を上限と
する。
(3) 主観的要素
違反行為を行った事業者が自らが注意義務を尽くしていたことの証明があったときは、例外的に課徴金賦課の対象から除外するものとする。
(4) 規模基準
課徴金の額が150 万円未満となる場合には課徴金を賦課しないこととする。
(5) 賦課手続
違反行為を行った事業者に対する手続保障として弁明の機会を付与するものとする。
(6) 除斥期間
違反行為がなくなった日から5年を経過したときには、課徴金の納付を命じることができないものとする。
(7) 被害回復
景品表示法は、課徴金制度のある他法(公正かつ自由な競争の確保を目的とする私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22 年法律第54 号)、証券市場の公正性・透明性を確保し、投資家の信頼が得られる市場の確立を目的とする金融商品取引法(昭和23 年法律第25 号)及び公認会計士法(昭和23 年法律第103 号))と異なり、消費者庁への移管に伴い、消費者の利益の擁護及び増進を目的とすることとなった。このことを踏まえ、商品及び役務の取引に関する不当な表示によって消費者に生じた被害の回復を促進するため、違反行為者が、以下の(Ⅰ)から(Ⅲ)までの要件を全て満たす場合に、課徴金の納付を命じないこととする。
(Ⅰ)当該違反行為に係る、課徴金算定の基礎となる「売上額」の算定期間における
商品又は役務の取引の相手方のうち、返金手続開始時点に違反行為者が当該相
手方及び取引額を特定できる者(以下「特定返金対象者」という。)を対象として、
次の(a)から(e)までの要件を満たす適正な返金手続を適切に履行していること。
(a) 返金を受けるのに必要な情報をあらかじめ周知すること。
(b) 明らかに不当な申出を行う者を除き、返金申出者に対し返金を実施すること。
(c) 返金に当たって、金銭の交付以外の手段を用いていないこと。
(d) 返金申出者各人に対し、各人に係る違反行為に係る商品又は役務の売上額に
前記課徴金算定率を乗じた金額以上の金額を返金すること。
(e) 返金期限が不当なものではないこと。
(Ⅱ)①特定返金対象者のうち返金申出者に対し、合計で、課徴金額以上の返金を
行ったこと、又は、②返金合計額が課徴金額未満であるときには、補充的に、独立
行政法人国民生活センターに対し、次の(a)及び(b)の要件を満たす寄附を行ったこ
と。
(a) 景品表示法に関する消費者被害の防止や回復のための活動への助成に充てる
ことを条件とした寄附であること。
(b) 寄附金額が、課徴金額から返金合計額を控除した残額相当額以上であること。
(Ⅲ)内閣総理大臣が指定する日までに前記各要件を満たす旨を報告したこと。
(8) その他
経過措置その他所要の規定の整備(例えば独立行政法人国民生活センター法の改正)を行うものとする。
« 「景品・表示の法実務」(丸橋透・松嶋隆弘編著/三協法規出版) | トップページ | 電子商取引準則の改訂(経済産業省) »
「法律」カテゴリの記事
- 「判例による不貞慰謝料請求の実務 最新判例編vol.2」(中里和伸弁護士著・LABO)(2023.07.07)
- トロビカーナ「メロン テイスト」に対する措置命令(消費者庁)(2022.09.06)
- 「食べログ」東京地裁判決と公取委実態調査報告書(2022.06.16)
- ドライヤーの広告に関する差止訴訟(ダイソンvsパナソニック)(2022.06.12)
- スシロー「おとり広告」で措置命令(景表法)(2022.06.09)
« 「景品・表示の法実務」(丸橋透・松嶋隆弘編著/三協法規出版) | トップページ | 電子商取引準則の改訂(経済産業省) »
コメント