「景品・表示の法実務」(丸橋透・松嶋隆弘編著/三協法規出版)
本日は、キャンプラザ京都で、京都弁護士会主催のシンポジウム「不当表示は許さない!-消費者のための表示規制のあり方を考えるー」に出席しています。
最近の不当表示事案に対する消費者の関心の高まりから開催されたものですね。6月の景品表示法の改正およびまもなく国会に提出されるであろう課徴金制度の導入のための改正作業もあり、ビビッドなテーマです。
ところで、景品表示法についてのまとまった解説書は限られたもの(代表的なものは、景品表示法〔第3版〕 景品表示法〔第3版〕 片桐 一幸 編 )しかなかったのですが、そのような中、新しい本が出版されたので、私もさっそく購入しました。
この本は、従来の解説書とは異なり、はしがきに書かれていますように実務家らによる「ユーザー目線」で書かれた点に特色があるかと思います。特に、全体の景品表示法の解説の後に置かれた、各論的な業界の取組(公正競争規約、航空業界、 エンタテインメント業界、電気通信事業、口コミマーケティング業界)や具体的なQ&Aの各編は一般読者の理解のためにも有用であると思います。
ただ、私も、最近2つばかり景品表示法についての原稿を書きましたが、ちょうど改正作業が進められている最中で、そのうち一部が先行的に改正され、また、食品表示法の立法などの動きもある中で、原稿を確定するのには悩ましい時期といえます。しかも、先日の改正は未施行であり、かつ、新旧条文で条文番号の移動があるため、形式的にも書きにくいのです。本書でも、改正についてはフォローされていますが、過渡期ゆえのわかりにくさは見られます。次回の課徴金導入改正が落ち着いてからの改訂を待たないと仕方のないことかもしれませんね。
本書で上記の口コミマーケティングに関して山口浩駒大教授が書かれていますが、もちろん私は自費購入で、かつ、何らの宣伝依頼は受けておりませんので、当記事はステマではないことを蛇足的に表明しておきます(笑)
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