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2013年10月 3日 (木)

アブラハム・プライベートバンク株式会社についての金融庁への勧告(証券取引等監視委員会)

 かなり久し振りの連投になります。

 昨日あたりから、各報道機関から報じられていた、証券取引等監視委員会による「いつかはゆかし」のアブラハム・プライベートバンク株式会社(以下、アブラハム社)についての金融庁への処分勧告が公表されています。
                  
    → 証券取引等監視委員会の発表
                  
   証券取引等監視委員会と関東財務局長が、アブラハム社(投資助言・代理業)を検査した結果、法令違反の事実が認められたので、証券取引等監視委員会が、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法20条1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した、というものです。
   金融庁としては、この勧告を受けて、場合によっては業務停止等の処分を行うことになります。
                  
   法令違反の事実としては、
  1. 無登録で海外ファンドの募集又は私募の取扱いを行っている状況
  2. 著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為
  3. 顧客の利益に追加するため財産上の利益を提供する行為      
の3つが挙げられております。
                  
 ここでは、この内、2番目の「著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為」を取り上げてみたいと思います。
                   
   証券取引等監視委員会は、アブラハム社が、「雑誌、テレビ、電車の車内及びインターネット等において自社広告を展開することにより、近時、急速に顧客数を増加させている。」としたうえで、 これらの広告について以下のような問題のある表示が認められた、としました。                   
  •  雑誌記事広告におい て、助言サービス「いつかはゆかし」並びに国内証券会社及び国内投信会社が販売する積立商品の合計6商品を「国内外の主要積立商品比較(過去5年間の年平均利回り)」との表題の下、グラフにより比較し、6商品の中で「いつかはゆかし」が15.34%と、最も高い平均利回りを上げている                    と記載している。
                       
       しかし、過去5年間の年平均利回りとして15.34%というパフォーマ ンスを上げていた投資商品は、顧客が投資対象を選択するに当たり選択肢となり得る投資商品の一つではあるものの、アブラハム社は、当該投資商品の取得を顧客助言したことはなく、顧客がアブラハム社の助言を受けて当該投資商品を取得した事実もない。

  •  自社ウェブサイトにおいて、「類似の資産運用サービスと比較した場合、アブラハム・プライベートバンク株式会社の手数料は、業界最安値でございます。」と記載し、併せて、アブラハム社の調査に基づき作成した比較資料をその根拠として掲載している。                   
                       
       しかし、アブラハム社は、他社のサービスとの手数料比較に際して、アブラハム社の助言手数料を下回るサービスが存在することを認識しながら、あえて当該サービスを比較対象に含めず、それ以外の事業者との間でのみ手数料を比較している。               
  •  自社ウェブサイトにおいて、「金融機関や運用会社から販売手数料等はもらっていません。」と記載している。
                       
        しかし、アブラハム社及び親会社AGHは、特定の海外ファンドの発行者又は運用会社から、当社顧客による海外ファンドの購入額に応じた報酬を受領している。               
                      
  そして、証券取引等監視委員会は、これらの表示行為は、広告等において、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をする行為であり、金融商品取引法37条2項に違反するとしたものです。

  この勧告に基づく金融庁の処分は行政処分ですが、上記の違法表示行為の内容からみて、勧誘行為の実態によっては、行政処分にとどまらず、各顧客に対する詐欺等の問題が生じる可能性はありえない話ではありませんね。

【追記】(10/3)
 本日の勧告に対して、アブラハム社がプレスリリースを出しています。

  → アブラハム社サイトより

 昨日の報道段階のリリースもひどかったですが、本日のも、単に「ちゃんと運用してます。」というだけで、勧告内容に対する反論にはなっておらず、要するに、勧告内容には反論できない、としか読めないことになっています。そのことだけからも、この会社の危機管理の感覚を疑わざるをえません。
 勧告のいう法令違反は、運用内容がどうこうというのではありません。この会社の営業に関わった人達には猛省を促したい。これは、某大マスコミ、某エコノミスト、などを含めてです。
 私の興味分野である広告塔、広告媒体の責任についても、考えないといけない案件かもしれませんね。

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コメント

他人を騙して平気でいられる人達なので、反省することは無いと思います。
「手際が悪くてばれてしまった」ぐらいにしか思っていないのではないのでしょうか。

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