Facebookページでの「いいね!」水増し
ネット選挙運動が解禁された参議院選挙も終わりました。今回の選挙でのネット利用や違反行為については、今後いろいろと検証されていくことになるかと思います。報道されているところでは、候補者のフォロワー(登録者、閲覧者)の数が不自然だとか、外国人がほとんどだとか、そういった問題も出ていますが、ここらのことも選挙民、候補者、選挙管理委員会それぞれの立場で考えていく必要があるかと思います。
さて、その問題とちょっと似ているのですが、FacebookやtwitterなどのSNSでの商業利用に関して、そのアカウントについてのフォロワーの数などについても疑問が投げかけられるようになってきました。
たとえば、Facebookでは、事業者はFacebookページというものを作ることができます。私も作っており、左のサイドバーにリンクボタンを置いております(Facebookの登録はなくても読めますし、特に危険はないですので、よろしければご覧下さい。)。
このFacebookページについて、今後も情報を得たい閲覧者などが「いいね!」ボタンを押すと、そのページの「いいね!」の数が増えます。この数が多ければ人気のページとなるわけですね。
ところが、この「いいね!」の数を増やす商売があるというのが、次の読売の記事です。(※新聞記事は後日リンクが切れると思います。)
→ 読売「「いいね!」件数水増し…「消費者誤認」指摘も」(2013/7/27)
いろんな方法はあるのでしょうが、結局は、バイトに「いいね!」をクリックさせるなど、本来の消費者の評価と関係なく数を増やすということですね。
記事中の山口浩駒澤大学教授のコメントは私もその通りだと思います。
消費者庁は「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(PDF)で、
「商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼し、自己の供給する商品・サービスに関するサイトの口コミ情報コーナーに口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上で当該商品・サービスに対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、提供する商品・サービスの品質その他の内容について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること。」
も問題となる事例としており、これは、代行業者による多数の書き込み投稿によって、ランキング評価などを上げる行為についても、景品表示法上の不当表示に該当する可能性があるとの見解を示しています。
Facebookページの「いいね!」を不当に増やす行為とか、twitterでのフォロワー数を不当に増やす行為も同様の行為ですので、消費者に対する欺まん的な行為であれば、不当表示に該当する可能性は高いものと思います。
なお、前にも書きましたが、山口教授も関与されているWOMマーケティング協議会(WOMJ)のガイドラインでは、こういった行為も含めた「消費者行動偽装の禁止」をうたっています。
→ WOMJガイドラインについてはこちら(PDF)
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