消費者安全法による財産被害防止のための注意喚起(SIMフリー携帯通販や投資・利殖商法など)
昨日、消費者庁は、SIMフリーのスマートフォンの通信販売を申し込んで代金を支払っても、商品が届かないというトラブルについて、消費者安全法に基づいて、業者名(SKS Telecom)などを公表しています。サイト上の表記では香港の業者となっているようです。SIMフリーというのは、SIMカードを差し替えれば、どこの携帯事業者にも対応できるもので、日本国内では一般には販売されていません。
→ 消費者庁公表資料(PDF)
→ ITメディア記事
最近の法改正で消費者安全調査委員会が設置された消費者安全法ですが、「消費者安全」というと何となく商品によって怪我をしたり健康を害したりなど、生命・身体に対する危害をイメージします。しかし、消費者安全法が対象としているのは、こればかりでなく、経済的な財産被害も対象になっています。
もっとも、新設の消費者安全調査委員会が調査の対象とするのは、生命・身体被害に関する事故に限られるのですが、消費者安全法全体が対象としている「消費者事故等」には、生命・身体事故の他に、「虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であって政令の定めるもの」が事業者によって行われた事態(同法2条5項3号)も含まれています。
そして、この「消費者事故等」については、これによって被害が拡大したり、同種、類似の消費者被害の発生が生じることを防止するため必要な場合には、内閣総理大臣(この場合は要するに消費者庁ですが)が、その「消費者事故等」の態様や被害状況などの被害発生、拡大のための情報を地方自治体に提供したり、一般に公表できることになっています(同法38条1項。なお、先般の法改正以前は15条なので注意。)。
冒頭の今回のSIMフリー通販業者の件も、この規定に基づいて公表がなされています。今回のような、外国との通信販売の被害に関して公表されたのは初めてではないかと思われます(間違ってたらご指摘ください。)。
この件は別にして、最近、この消費者安全法の規定(旧15条含む)で公表された事案は、以下のように、利殖・投資詐欺商法に関するものがずらっと並んでいます。
- 「鉱山の採掘、鉱物に関する権利」(株式会社ABAなど)23.10.21
- 「医療機関債」(医療法人社団真匡会など)24.1.20
- 「風力発電に関する土地の権利」(エコエネルギー開発合同会社など)24.2.14.
- 「太陽光発電事業に関する加盟店募集」(サンパワー株式会社など)24.2.17.
- 「外国通貨の両替」(株式会社EXパートナーなど)24.3.13.
- 「天然ガス施設運用権」(大京産業株式会社)24.7.13.
- 「透析装置製造事業に関する信託受益権」(株式会社ケアテック)24.8.22.
- 「iPS細胞に関する知的財産分与譲渡権」(株式会社三栄)24.11.2.
いろんな「権利」を考えるものだと感心してしまいますが、この手の輩は常に新手の材料を探し出して、高齢者など資産のある人を狙ってきますので、ご家族を含め充分にご注意ください。
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