「違法ダウンロードの刑罰化についてのQ&A」(文化庁)
著作権法改正案が国会で可決成立し、いわゆる違法コンテンツのダウンロード行為に刑罰が適用されるようになったことは(施行は10月1日)、先日、当ブログでも触れました。
→ 「違法ダウンロード行為の刑罰化へ(著作権法)」(6/20)
これについて、文化庁が、どのような場合に刑罰の適用があるのかなどについて、Q&Aを公表しました。
今回、刑罰対象となったダウンロード行為は結構難しく、このQ&Aがひとまず現在の行政の見解として理解の参考になります。ただ、改正法はかなり微妙なところがあり、もっと拡大して恣意的に解釈される危険性ははらんでいます。
この今回問題とされた違法ダウンロード行為に限らず、基本的に著作権法違反行為は刑罰が適用されます。その反面、最近は一般個人でも、ホームページやブログへの掲載行為が著作権法違反に該当してしまう場合が結構あります。
安易に「公表されているものだからいいだろう。」とか、「これくらいは許されるだろう」と思って、問題意識もなく、文書、画像、音楽などを使用していると、突然、取締りの対象になるということも絶対にないとはいえません(悪質なものでなければ、突然、逮捕ということはあまりないとは思いますが。でも、Winny事件の例もありますしね。)。
この違法ダウンロード刑罰化についての問題点などは、前にもご紹介しましたが、壇俊光弁護士の見解をご覧下さい(と、人任せですみません。)
→ ITメディア
「違法ダウンロードに刑事罰・著作権法改正で何が変わるか 壇弁護士に聞く」
今回は「違法コンテンツのダウンロードの刑罰化」という刑事的な問題ですが、もちろん著作権侵害行為(複製権侵害など)は民事的にも違法ですので、突然、著作権者から警告される場合もあります。
著作権侵害行為といっても、ちょっとコピーしたりとかだと、なかなか表面化しないし、わかったとしても権利者もそれほど悪質ではない一般個人の行為に対していちいち細かいことは言わない場合も実際には多いのですが、ネットで堂々と世間に公表されるとなると、影響も大きく権利者も黙っておられないので、紛争となるケースも少なくありません。その意味では、影響力のある人気サイトの運営者は要注意ですね。
他人のホームページの内容を使ってしまい(個人ではなかったですが)、権利者から著作権侵害を主張された民事事件を担当したことがあります。該当部分の削除だけですめばいいのですが、それなりの損害賠償請求もされますし、その他、新聞などに謝罪広告を求められることもあります。新聞の謝罪広告というのは、その掲載紙や地域の広さにもよりますが、かなり高額になり、損害賠償額よりも高くつくことも珍しくありません。いずれにせよ、ホームページやブログに他人の書面や写真、映像、音楽などのデータを承諾なく掲載する行為については充分にご注意ください。
(なお、著作権法には違反していなくても、名誉毀損や信用毀損、業務妨害などに該当する場合はもちろん法的な問題になります。この場合、以前にも書きましたが、その内容が真実かどうかは原則として関係ありませんので〔例外については省略〕、「事実だからいいだろう」ということにはなりません。その点も要注意ですね。)
私も、このブログを書くにあたっては、かなり著作権などについて気は使っているつもりです。事情によっては、わかったうえで、あえてギリギリを狙う場合はありますが、基本的には、ニュース記事なども含め、そのまま文章をコピペしたりはしていません(はずです)。
【追 記】(7/14)
壇俊光弁護士が、この文化庁Q&Aについて記事を書かれたので、追加リンクしておきます。
→ 壇弁護士の事務室
「文化庁 違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A」
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