「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の改定(消費者庁)
さて、コンプガチャ(コンプリート・ガチャ)問題は速い展開をみせて、今日、大手のソーシャルゲーム運営会社であるNHN Japan、グリー、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー、ドワンゴ、ミクシィ、KLabなどがそろってコンプガチャを中止することを決定したとのことです。
しかし、これで収束するのか、それともコンプガチャ以外の課金システムなどについても問題視されることになるのか、今後の動きが注目されるところですね。
この動きの中で、今日は消費者庁サイトの発表資料に「『インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項』の一部改定について」というのが出ましたので、一瞬、コンプガチャ問題について早々に消費者庁の考え方を公表したのかな、と思ってしまいましたが、さすがにそうではありませんでした。
→ 「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」改定版(消費者庁・PDF)
この「問題点及び留意事項」は昨年10月に出されたものであり、当ブログでも取り上げました。
→ 「「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の
問題点及び留意事項」の公表(消費者庁)」(11/10/28)
この中で、グルメサイトなどの口コミサイトの問題も取り上げられ、話題になったことは記憶に新しく、「ステマ(ステルス・マーケティング)」という言葉が一気に広まることになりましたが、今回は、ここのところに問題となる事例が1つ加わったというのが改定の内容となっています。
加わった事例は、次の通りです。
商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼し、自己の供給する商品・サービスに関するサイトの口コミ情報コーナーに口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上で当該商品・サービスに対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、提供する商品・サービスの品質その他の内容について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること。
これまで、問題事例として記載されていたものは2つで、飲食店事業者自身が、口コミサイトに、客のふりをして、使ってもいない地鶏が使われているかのように書いた場合と、ブロガーに十分な根拠もないのに商品の効果を書かせる場合が挙げられていました。
今回は、口コミ代行業者に依頼して口コミ投稿を多数させて評価を上げる行為が加えられたわけですね。前の2事例が、食材や効果についての不当表示のケースであったのに対して、今回の事例は、代行業者に依頼して、やらせ書き込みを多数させて口コミサイト上の評価、ランキングを上げる場合で、このような場合も、景品表示法上の優良誤認、有利誤認という不当表示に該当する可能性があることを示した点で意味があることになります。
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