「コンプガチャ規制」に関する消費者庁長官記者会見要旨(※追記資料有り)
ソーシャルゲームの「コンプガチャ問題」も(世間的には)一段落といった感じになってきました。ただ、これで一件落着かどうかは、まだ様子を見る必要はありそうです。
そんな中で、5月9日の福嶋消費者庁長官記者会見の要旨が昨日公表され、記者との質疑応答の中で、コンプガチャ問題について、いろいろと述べられていますので、ご紹介します。なお、食べログなどの口コミサイト問題(ステマ)等に関しても触れられています。
結構長いので、詳しくは上記リンク先をお読みいただきたいのですが、現在の時点での消費者庁の考え方としては公式的な話になりますので、参考になります。
まず、これまでの消費者庁の考え方として、「ガチャでカードを取得することは、それ自体が消費者と事業者の取引ですから、そのカードが景品に当たるわけではありません。」という点を押さえたうえで、
「カードの特定の組み合わせによって、レアカードを得るということは、事業者からすると提供するということは、カードの取引を誘引する、カードの取引に消費者を誘引するための景品というふうに捉えることができると思います、レアカードについては。・・・・・一般論として、景品表示法上の問題点があると考えています。」とし、
「こうした考え方をきちんとまとめて、消費者庁の考え方として提示をして、事業者、もちろん消費者の皆さんにもですが、特に事業者の皆さんに注意喚起をしていきたいと思っています。」としています。
そして、この見解を出す時期については、実態の把握などに時間がかかっており、「今週中」(つまり先週中)には無理だが、できる限り速やかに、とのことです。
また、記者から「・・ガチャ自体についての当選確率について、各事業者にそれを出させる、明示させるということはお考えでしょうか。」との質問には、「必要があればそういうこともあり得るのかもしれません。」とするだけで明言はなかったようです。この点について、私は、不表示による不当表示の規制は検討可能ではないかと思っています(難しい問題があるのは承知してますが)。
そして、コンプガチャ以外に踏み込むことはないのか、という質問には、「(カード合わせの類型に)他のものでも当たれば、当然、それ自体も景表法上の問題がある」としています。
賭博罪、風営法に関しての質問には、「そういったものに無関心だということではありませんが、消費者庁が直接所管をしている法律の運用として、今、景表法上の問題点を明確にするというところに、今、消費者庁としては集中しています。」とかわしていますが、これは消費者庁の所轄外なので仕方のないところかもしれません。
もっとも、記者からの、関係省庁が集まって規制について取り組むことをしなかった、という指摘に対して、「そういう必要性があれば、あらゆる取組みを考えたいと思いますが、事業者の皆さん自身もソーシャルゲームプラットホーム協議会をつくって、自主規制といいますか、自主改善に取り組んでおられますから、そういったことへの協力もしていきたいと思いますし、適正なものになるように、あらゆる方法を模索していくつもりです。」との答弁がされています。
最後に、事業者の収益構造に関する質問について、「絵合わせで全体の収益のどのぐらいをあげているかということの御質問になると思うのですが、今の時点でそこまで正確な事業者の収益構造の把握まで全事業者に対してするというのは、とても難しいと思います。大手にある程度話を聞くということはあり得ると思いますけど、繰り返しですが、今回は景品表示法の禁止事項に当たるのではないか、当たる可能性があるというものについて取組みをしているわけです。」としたうえで、
「法律上に当たらなければ何をやってもいいかという話ではない。子どもの射幸心を法律に抵触しなければ幾らあおっても構わないとか、そういう話ではないです。それは社会的に非難されることもあるだろうし、先ほど言いましたような、自主的な取組みも事業者は行っている。自分たちの業界を健全に発展させていくためには、やはり社会的な批判を受けるような事業では駄目だと思います。そういうふうに事業者の方も認識して改善しようとしている取組みもあるわけですし、景表法だけですべてが解決するということを考えているわけではありません。」と述べておられますね。
【追記】(5/15 PM6:00)
消費者庁のインターネット消費者取引連絡会の第5回が今日開催されたようで、コンプガチャ問題も当然取り上げられたそうです。
既に、配布資料も公開されています。ゲームに関しては前回の第4回の配布資料にもいろいろとあります。ご参考まで。
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