医薬品ネット販売規制行政訴訟で原告側主張を認める逆転判決(東京高裁)
2009年の薬事法改正に伴う厚生省令により、インターネットでの医薬品販売が規制されたことについて、ケンコーコムとウェルネットが行政訴訟を提起したことについては、以前ここで取り上げました。
→ 「医薬品ネット販売規制に対する行政訴訟提起(薬事法)」(09/5/26)
一審の東京地裁判決(平成22年3月30日)は、このような規制は合理的なものとして、原告敗訴となっていました。
そして、本日、控訴審の東京高等裁判所が、原告側の主張を認める逆転の判断を下しました。
まだ、詳しい判決内容について報道がなされていないのですが、そろそろ原告の会見も開かれるようですので、また、追記していきたいと思います。ひとまず、速報です。
【追記】(4/26 PM5:30)
判決直前の解説記事としては、これが詳しいですね。ただし、日時経過によりリンク切れになると思います。
→ msnサンケイニュース
「医薬品のネット販売 安全性か利便性か 26日の高裁判決で再燃も」
【追記】(4/26 PM9:20)
ケンコーコムのプレスリリースが出ています。判決要旨も載っています。しかし、判断理由については省略されていますので、詳しい中身はわかりません。
この訴訟では、原告は、ネットなどで販売する権利があることの確認と、それを禁ずる厚労省令の無効の確認などを求めていたのですが、今回の東京高裁判決は、その前者について認め、後者については認めませんでした。
この後者を認めず、前者のみを認めたという形式は訴訟の建前から納得もできるのですが、前者を認めた理由が掲載されていませんので、判決全文の公表待ちということになります。
【追記】(4/26 PM9:40)
その後の報道を見ると、改正薬事法が、第一類、第二類医薬品のネットなどによる販売を禁止することを、厚労省令に委任したとは認められないので、ネット販売の規制は「国民の権利を制限する省令の規定であり、国家行政組織法12条3項に違反する」という理由のようですね。
要するに薬事法という法律によって委任されていないのに、省令で禁止できないよ、ということです。
【追記】(4/27 AM7:40)
この判断理由からすると、ネット販売規制自体が違法とか違憲とか言っているわけではないので、国が、薬事法を改正してネット販売規制を行った場合は、その規制は有効とされる可能性は充分にあることになりますね。
そのあたりへの判決の言及がどの程度なされているのか、判決文公表が待たれます。
【追記】(5/6)
ケンコーコムの自社サイトのプレスリリースに「判決要旨」がアップされていますね。判決文のそのままではありませんが、おそらくは、裁判所がマスコミ用に作成した要旨ではないか、と思われます。
【追記】(5/9)
今朝のNHKの報道では、国は上記東京高裁判決に対し上告をすることを決めたとのことのようですね。
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