クラウドコンピューティングの法律(岡村久道・編)
2ちゃんねるの関連先への警視庁の家宅捜査があったことが報道されていますね。どうやら2ちゃんねる掲示板に大麻か何かを販売する投稿が削除されなかったことに関しての強制捜査のようです。まだ詳しくはわかりませんが、報道によれば、麻薬特例法違反のほう助の疑いでということなので、単なる販売者に対する捜査のための証拠集めではなく、2ちゃんねる関係者を被疑者としての捜査ということになりそうです。今後が注目されます。
さて、今回も本の話ですが、「クラウドコンピューティングの法律」(岡村久道編 民事法研究会発行)を買いました。
もちろんまだ全部に目を通したわけではありませんが、執筆陣も豪華ですし、現在のクラウドに関する法律問題が幅広く扱われています。
最近は、一般個人がパソコンを利用していても、常時インターネットにつながっていることが普通になり、何らかの形でクラウドを利用していることも多くなっていますので、このような形で法的な問題を整理していただけるのはありがたいことです。また、第13章には技術的な説明もなされています。
章立ては、以下の通りです。
第1章 総 論
第2章 情報システムの構築とクラウド─契約実務を中心に
第3章 情報セキュリティとクラウド
第4章 知的財産権とクラウド
第5章 個人情報保護法制とクラウド
第6章 消費者保護とクラウド
第7章 電子自治体―自治体クラウド
第8章 会社法上の内部統制とクラウド
第9章 金商法上の内部統制とクラウド
第10章 パブリッククラウドと内部統制およびその保証
第11章 裁判管轄と準拠法
第12章 クラウドと民事訴訟上の留意点
第13章 クラウド・コンピューティングの技術的側面
第14章 諸外国の機関とEUの動向
第15章 米国法制の動向
第16章 カナダ法制の動向
そして、執筆者は(敬称略)、以下の通りです。
岡村 久道(弁護士、国立情報学研究所客員教授)
大谷 和子(株式会社日本総合研究所法務部長)
宮川美津子(弁護士)
鈴木 正朝(新潟大学教授)
坂東 俊矢(京都産業大学教授、弁護士)
猿渡 知之(地方公共団体金融機構資金部長、元総務省総合通信基盤局高度通信網振興課長)
梶本 政利(独立経営コンサルタント、日本ITガバナンス協会事務局長)
丸山 満彦(デロイト トーマツ リスクサービス株式会社取締役・執行役員、公認会計士)
町村 泰貴(北海道大学教授)
下道 高志(日本オラクル株式会社)
新保 史生(慶應義塾大学准教授、経済協力開発機構(OECD/WPISP)副議長)
岡本 守弘(富士通株式会社法務本部コンプライアンス法務部シニアマネージャー)
石井夏生利(筑波大学准教授)
新しい問題にどのように従前の法律の適用を考えていくのか、また、従前の法律では不十分な点はどこなのか、といったことを考えるにもいい材料ではないかと思いますので、やや難しいかもしれませんが、法律学を学ぶ学生さんたちにも読んで考えてもらいたい本ですね。
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