大創産業(ダイソー)に対する下請法違反勧告(公取委)
中小企業庁と中国経済産業局が、100円ショップ「ダイソー」を展開する株式会社大創産業(広島県東広島市)に対して調査を行い、下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反する事実が認められたとして、2月17日付で、中小企業庁長官が公正取引委員会に対して、同法に基づく措置請求を行っていた件に関して、本日、公正取引委員会が勧告を出しています。
要するに、ダイソーで販売する商品の製造を委託している下請業者に対する下請代金を不当に減額したというものですね。
下請法違反に基づく公正取引委員会の勧告は、今年に入って7件目ですね。7件とも、下請代金の減額の禁止に違反する事案です(別の違反を含んでいる件もありますが)。
【違反事実の概要】
大創産業は、日用品等の製造を下請事業者に委託しているところ、下記行為により、下請事業者に責任がないのに、当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。減額した金額は、下請事業者178名に対し、総額2億7946万2435円である。
- 下請代金の支払について、現金により行うこととしている下請事業者に対し、「歩引」として、下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し、この要請に応じた下請事業者について、下請代金の額から当該金額を差し引いていた。(なお、同社は、下請事業者に対し、減額した金額を、返還している。)
勧告では、本件行為が下請法違反行為であり、今後行わない旨を取締役会決議で確認すること、本件に基づいて採った措置を自社役員、従業員に周知徹底し、今後違反行為を行わないよう研修等の必要な措置を講じ、周知徹底すること、などが大創産業に対して命じられています。
【追記】(3/29)
昨日も別件の下請法勧告が出され、また、今日は、中小企業庁から公取委への措置請求の案件が公表されていますね。どちらも下請代金減額の案件ですが、別記事にするほどでもないので、追記で書いておきます。
昨日の下請法勧告は、福岡造船株式会社(福岡市中央区)による、船舶製造、設計等の下請事業者に対する下請代金の減額事案(24名に対し、総額約1346万円)。
今日の中小企業庁の措置請求は、紳士服量販大手の株式会社コナカ(横浜市戸塚区)につき、下請代金減額の事実が認められたとして、下請法に基づき公正取引委員会に措置請求を行ったものです(10名に対して、総額約3074万円)。
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