光市事件、多摩談合事件と後見人横領国賠事件の判決
週末から仕事で東京に行っていたところ、土曜の夜から体調を壊してしまい、昨夕大阪に戻りましたが、おかげさまで調子も戻ってきたようです。前回書いたチュッパチャプス事件の判決文も公開されていますので、それについて書きたいところですが、そんなこともあって次回に回します。(追記:次々回になります。)
さて、今日は、裁判関係の注目されるニュースが多いですね。特に、光市母子殺害事件での上告棄却と、多摩談合事件の逆転判決の2つの最高裁第一小法廷判決は、既に報道もかなりなされていますが、重要な判決です。両方とも既に裁判所webサイトに掲載されています。
光市の事件はいろんな面で世間からも注目を集めている事件ですので、今夜以降、新聞、テレビで大きく取り上げられることでしょうね。ただ、死刑判決の重みは社会全体として冷静な立場から考えていかなければならない重大な問題だと思います。死刑の存廃の議論、存続するとして死刑適用の量刑基準、死刑判決後の執行の問題、無期刑のあり方など様々な問題が含まれます。なお、無期懲役で7年やそこらで仮釈放なんていう実態はないことは、昨年の当ブログ記事「『23年度犯罪白書のあらまし』と『無期懲役刑の仮釈放の実態』(法務省)」を参照下さい。(追記:今回の最高裁判決の宮川裁判官の反対意見を、次の記事で紹介しました。)
多摩談合事件は下水道談合事件に関する公正取引委員会の審決取消事件ですが、既に神戸大学の泉水文雄教授がブログで解説されています。
もう一つ、最高裁判決ではありませんが、報道によれば、実務上、今後大きな影響を与えるのではないかと思われる判決が広島高裁であったようです。
これは、成年後見人が財産を横領したとして、事故により脳障害を負った男性が横領金の賠償を国(後見人選任は家庭裁判所)に対して求めていた裁判で、一審の地裁判決では請求が認められなかったようですが、本日の控訴審判決で「選任後、長期間にわたって横領を防げなかった家裁に過失があった」として、請求金額の一部231万円の賠償を国に命じた、というものです。判決の詳細については不明ですが、後見人の行為による財産トラブルは最近も報道されているところであり、家庭裁判所の過失が認定されたとなると、今後の実務運用などにかなり影響が出るであろうと思われます。私も成年後見人をやっておりますので、直接関係してくるところです。
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