やらせ業者によるグルメサイト「食べログ」投稿
カカクコム(東京)が運営するグルメサイト「食べログ」に、やらせ業者が口コミ投稿をしている事例があるという報道がされており、カカクコムの話では、やらせ業者39社が特定できているとのことで、提訴するなど断固とした措置をとる方針とのことですね。
この場合の法律的な問題としては、まず規約違反が考えられますし、落合弁護士がコメントされているように、場合によっては偽計業務妨害というような犯罪に該当する可能性もあるかもしれません。
また、そのようなやらせ投稿を依頼した飲食店についていえば、景品表示法や独占禁止法(欺まん的顧客誘引)に違反する不当表示、不当広告の規制も考えられます。ただし、やらせ業者(広告業者)自身に関しては、自らの事業の不当な表示を行ったものではないので、景品表示法の行政規制の直接の対象とはならないと考えられます。しかし、景品表示法違反行為について積極的に加担したのであれば、民法上、共同不法行為となって損害賠償責任の対象となる可能性は大であると思います。
このようなネット上の口コミ広告への事業者側からのやらせ投稿による宣伝の問題については、昨年10月に消費者庁が公表した「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(PDF)でも「口コミサイト」の問題として取り上げられ、上記の通り、不当表示に該当する可能性を指摘しています。
以前、当ブログで取り上げたことのあるアメリカ連邦取引委員会(FTC)の推奨広告に関するガイドラインも関連しますね。このガイドラインによれば、当該事業者と関連した投稿であることを具体的に開示しなければ違法ということになります。「私ら、あそこのもんですねん」というテレビ広告が昔ありましたが(関西だけかな)、しゃれでなければ、実際にそんな関係を開示すれば広告効果はなくなるので、事実上禁止されているのに等しいですね。
→ 「米「広告ガイドライン」改訂と「隠された広告」」(09/10/18)
この記事を書いたときには知らなかったんですが。ここで「隠された広告」と呼んだものは、「ステルス・マーケティング」というそうですね。一見して広告とはわからない形で宣伝するマーケティング方法のことです。
また、韓国でも同様のガイドラインができたことも昨年紹介しました。(文中の朝鮮日報の記事はリンク切れになっているようです。)
→ 「ブロガーの商品推奨記事に関する韓国の動き(韓国公取委)」(11/7/14)
【追記】(1/5)
facebook経由で、WOMマーケティング協議会が作成した「WOMマーケティングに関するガイドライン」のご紹介が、同協議会でガイドライン委員長をなさっている藤代裕之さんからありました。
このガイドラインでも、上記同様に、「関係性明示の原則」が謳われていますね。
任意団体による自主的なガイドラインではありますが、日本でも議論されていくのでしょうね。なお、「WOM」マーケティングとは「word of mouth」マーケティングで、要するに口コミですね。
なお、サンケイの夜の報道によれば、消費者庁が調査を始めているとのことのようです。
【追記】(1/6)
この件について、昨日からテレビのニュースやワイドショーで、大きく取り上げていますが、昨今目立つ、テレビの飲食店や旅館その他のお奨め番組、ランキング番組も同じ、というか、限られた公共の電波を使っている分、もっと問題だと思いますけどね。
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