口コミサイトやらせ投稿問題に関する消費者庁長官記者会見要旨(『ステマ』)
年明け以降バタバタとしていて、ブログ更新が10日以上あいてしまいましたが、前回の食べログの口コミ問題の続きです。この問題は報道後、ネット上ではかなり話題になり、これまであまり見かけなかった「ステルス・マーケティング」という言葉や、さらにそのネット略語らしい「ステマ」という言葉もよく見かけるようになりました。
ネット上の議論を見ても、やらせ口コミ投稿に対しては、いろいろな意見が見られますが、今日、ロースクールの授業で学生に意見を聞いたところ、こちらでも、責任追及できるという意見と、できないのではないかという意見がほぼ半分でした。
今夜、日経は、「ヤフー知恵袋」に、空港構内の飲食店がやらせ投稿を業者に依頼していた、というニュースを流しています。しかし、このようなケースは、おそらく氷山の一角だろうと思います。
そして、同じく本日、消費者庁サイトに、1月11日に行われた福嶋消費者庁長官の記者会見要旨がアップされていますが、ここでもこの問題が中心になっています。
まず、冒頭の長官の話では、現在、やらせの口コミ投稿によるランキング操作について、事実関係について事実関係の調査をしているところであり、「やらせの結果としての情報が実際のもの、あるいは競争事業者のものより著しく優良、または有利であるという誤認を消費者に与えるということがあれば、その口コミ情報というのは、景品表示法上の不当表示ということになり得ます。ですから、そういう事実が判明した場合には、厳正に対処しますが、まずは事実関係について確認をしているところです。」とのことです。
そして、記者との質疑応答で、福嶋長官は、
景品表示法上どうするかということが見えていないが、いずれにしても、こういう口コミサイト等で適正な表示がされるように、消費者が適正な選択できるような、適正な表示になるように、そういった適正化に向けた取組を関係事業者に促すような消費者庁としての取組は、やりたいと思っている、例えば、昨年示した留意事項を改定して、更に示すということもあるでしょうし、それはまたその時点で検討したいと思う、としています。
口コミを装っているのに実際は広告であることを示さなきゃならないと義務づけるような制度改正などは考えているか、という今後の「ステルス・マーケティング規制法」のような立法論的な対応に関する質問に対しては、
「なかなか景表法の体系からして、やらせの口コミサイトを、やらせをもって違法とするということは、景表法の体系自体からすると難しいと思うんですね。
じゃ、どういう法律があるのかというと、なかなかどの法律で縛るのかというのは、難しい点があるだろうと思います。ただ、別に法改正を本格的に検討したわけでは全くありませんので、感覚的なものですけれども。明らかに社会的にといいますか、道徳的には好ましいことではないわけですし、消費者にとっても好ましいことではないわけですが、そういうものをすべて法律で縛れるかというと、難しいところがあるんだろうと思います。」
と、明確に具体的な方向性は示されていません。
前にも書きましたが、私としては、今回のような口コミサイトへの投稿での「やらせ」「サクラ」の問題だけでなく、テレビやラジオ、新聞、雑誌などの従来の媒体でのものも含めて、「ステマ」の規制は行われるべきものだと思います。これを法規制ではなく、それぞれの自主規制で、まず行うべし、という意見も貴重なものと思いますが、いずれにせよ、広く議論されるべき問題であると思います。
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