「個人情報相談」6年間の傾向と2010年度の相談概要(国民生活センター)
10日、国民生活センターが「『個人情報相談』6年間の傾向と2010年度の相談概要」という報告書を公表しています。
→ 「『個人情報相談』6年間の傾向と2010年度の相談概要」
→ 報告書本文(PDF)
「6年間」というのは、個人情報保護法が2005年4月に全面施行されていますので、そこから6年経過したのですね。国民生活センターは、「個人情報相談窓口」を設置して、個人情報に関する相談を受け付け、助言・あっせん等や消費者庁と共催で個人情報保護法説明会を行ってきたものですが、国民生活センターの消費者からの直接相談制度が廃止されることになりましたので、この「個人情報相談窓口も今年3月末に廃止されています。(各地の消費生活センターなどは、別の組織ですので、個人情報に関する相談を受け付けています。)
そこで、この6年間に国民生活センター及び各地の消費生活センター等の個人情報相談窓口に寄せられた、個人情報相談の傾向と2010年度の相談概要をまとめたのが、この報告書です。
これらの相談は、6年間で合計63,179件。しかし、年度別推移を見ると、2006年度以降減少しており、2010年度の合計6,123件は2005年度の半分以下となっています。この原因として報告書は、「個人情報保護法の認知度が上がっていることや各省庁のガイドラインが見直され、充実しつつあること及び毎年、国民生活センターが消費者庁と共催で行っている説明会を通じて個人情報保護法の理解と周知に努めていることが考えられる。」としています。また、いわゆる「過剰反応」に関する相談も減少しているともしています。
2010年度の事業分野別の相談件数は、「情報通信分野」1,886件(30.8%)、「金融・信用分野」523件(8.5%)、「医療・福祉分野」160件(2.6%)となっています。
「情報通信分野」に関する相談の内容は、「知らない出会い系サイトから大量にメールが届く。自分の個人情報が漏れているのではないか」「インターネット掲示板に載せられた自分の個人情報を削除してほしい」等のインターネットに関連する相談や、「通信会社のコールセンターに電話したら、問い合わせ内容を録音すると音声案内が流れた。録音していいのか」等の相談も寄せられた、とのこと。
「金融・信用分野」に関する相談では「住宅ローンの審査に落ちた理由を知りたい」「融資を受けた消費者金融から、別人の契約書が送られてきた」「交通事故に遭った。相手の損害保険会社が、私の同意なく病院から診断書を取得したが、違反ではないか」等。
「医療・福祉分野」に関する相談の内容は「自分が受診した病院にカルテの開示を求めたら、開示手数料を求められた」「有料老人ホームで亡くなった義父の介護記録を開示させたい」「健康保険証を紛失した。悪用が心配である」等。
2010年度の内容別の相談では、自分の個人情報が不正に取得されたというような「不適正な取得」に関する相談が2,977件(48.6%)と約半分を占め、次いで、本人の同意なく個人情報を第三者に提供されたという「同意のない提供」に関する相談が1,604件(26.2%)、個人情報が外部に漏えいされたという「漏えい・紛失」に関する相談が1,289件(21.1%)となっています。
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