貴金属の訪問買取りトラブル規制についてのパブリックコメント(消費者庁)
先日(9/27)、当ブログにて、ジュエリー販売に関して書いた記事「日本ジュエリー協会『2010年度お客様相談室相談概要』」中に、消費者庁の「貴金属等の訪問買取りに関する研究会」のことに触れましたが、本日付でパブリックコメント募集が公示されました。(この商法の実態などについては、前記事にリンクした国民生活センターの資料などをご覧下さい。)
「・・・消費者庁において、「貴金属等の訪問買取りに関する研究会」を開催し、トラブルの実態を把握・分析するととともに、当該トラブル解決のための規制のあり方について検討を行い、「貴金属等の訪問買取りに係るトラブルに対する法的措置について(案)」として、論点整理の案を研究会で提示しました。
今後、研究会でのとりまとめに向け、広く国民の皆様から、貴金属等の訪問買取りに係るトラブルに対する法的措置を検討する際の論点について、御意見を募集いたします。
お寄せいただいた御意見については、研究会でのとりまとめにおいて、参考にいたします。」とのことで、意見締切は、10月21日まで。
→ 「貴金属等の訪問買取りに係るトラブルに対する法的措置に
ついて(案)」に関する御意見募集
→ 研究会論点整理案(PDF)
「貴金属等の訪問買取りに係るトラブルに対する法的措置について(案)」
この論点整理案によれば、これらの業者についての苦情は昨年度から激増しており、勧誘の目的や事業者の氏名、買取る商品等について、訪問買取業者からきちんと告げられないまま勧誘を受けたといったものや、売渡者が勧誘を断っても退去せずに勧誘を続ける、勧誘が長時間にわたるなど売渡者が迷惑と感じるような勧誘を行う、威迫的な勧誘を行う、あるいは、認知症等の高齢者への勧誘を行うといった、訪問買取業者の勧誘方法についての苦情・相談が寄せられているようです。また、訪問買取業者の勧誘の際のトークの内容(日本一高く買い取る、など)について、真実であるかどうか疑義がある苦情・相談が寄せられているとのことです。
しかし、消費者保護法の代表格である特定商取引法は、このように消費者が売渡者となる形態の取引には対応していないなど、自宅での貴金属等の買取りに関して、不当と考えられる買取り及びその勧誘から売渡者である消費者を保護するための効果的な法令の規定が存在しないため、新たな法的措置が必要であるとしています。
そして、今後の法的措置として、論点整理案が示しているのは、
- 規制対象商品としては指定商品制(但し、新たなものについても柔軟かつ機動的に対象とできるような設計)
- 事業者名・勧誘目的等の明示義務
- 再勧誘・迷惑勧誘の禁止
- 契約書面の交付義務
- 不実告知・重要事項不告知の禁止
- 威迫・困惑を伴う勧誘の禁止
- 高齢者など判断力の不足する売渡者(消費者)への勧誘の禁止
- 債務不履行などへの是正(解約、返品対応の問題)
- 訪問買取りに係る売渡者(消費者)によるクーリング・オフ
などとなっています。その他に、このような商法については、消費者側が招請した場合を除いて、一律禁止すべきとの議論なども記載されています。
一般市民から買い取るという、これまでとは反対方向の取引でのトラブル事案であり、従来の消費者保護法などでは対処が難しいという場面であり、有効な規制を検討する必要がありますね。「売渡者によるクーリングオフ」などというのはとても興味深い制度ですね。
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