非嫡出子の相続差別規定の違憲判断(大阪高裁)
朝日新聞の朝刊に、大阪高裁が婚外子(非嫡出子)についての民法の相続差別が違憲である旨の決定をしていたことが報じられていますね。今年の8月24日付の決定のようです。記事によれば、嫡出子側当事者もこの決定に特別抗告はしなかったので、最高裁に行くこともなく確定したとのこと。
この問題については、最高裁の大法廷に回付された事件があり、今年中には違憲の最高裁判断が出されるのではないか、と注目が集まっていた事件がありましたが、当事者の裁判外の和解により、結局大法廷判断がなされないまま終了してしまっていました(報道もされたのですが、大震災の直前の決定だったこともあって、ご存じない方も多いようです。)。最高裁の最終的な決定の内容については、当ブログでも3月17日付記事でご紹介していますので、興味のある方はご覧下さい。
「非嫡出子(婚外子)の相続分についての最高裁大法廷判決が出なくなった件など」(3/17)
今回の事件も最高裁の判断はなされないままとなりますが、高裁としての違憲判断が出たことから、今後の実務運用に相当大きな影響があるものと思われます。このような問題は事例も稀ではなく、また、当事者間の利害も対立する場合も多いですので、弁護士業務的にも悩ましい問題です。現在の流れから考えて、非嫡出子差別の現行法を維持する理由は乏しく、早く立法的な解決をしてほしいものです。
【追記】(10/4)
朝日のスクープだったようで、他社が後追い取材をしているようですね。このブログ記事を見た報道機関複数から、この事件の代理人弁護士が誰か尋ねる電話が入っております(苦笑)
現在のところ、私は全然知りませんので、よろしく。
【追記】(12/1/29)
名古屋高裁が、平成23年12月21日判決で、適用違憲判決を出したようですね。別記事を書きました。
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